韓国紙・中央日報に新年から縁起のいい、韓国人としては誇らしげな記事が載っていた。(2020.01.02)
韓国、BBクリームの核心原料を初めて国産化…「脱日本」強小企業がやり遂げた
BBクリームといえば、10年ぐらい前に日本で流行った韓国の化粧品じゃないか。
だから、てっきりすべてが韓国製だと思っていたら、実は核となる部分は日本がつくっていたとは。
いままでのおこないから日本の輸出管理強化をくらった韓国では、必要な材料が思い通りに入ってこない。
日本の憎たらしい措置を“輸出規制”と呼ぶ韓国ではいま、いろんな分野で国産化という「脱日本」が進められている。
日本に依存しないというのは韓国がよく言う「克日」に通じるし、愛国心を気持ちよくくすぐる。
こういう話題は読者受けするから、「国産化に成功!」という話題は韓国紙もよく記事でとり上げる。
1910~45年まで日本は朝鮮半島を統治していたから、韓国には建物や言葉、習慣などで日本に由来するものがたくさんある。
それらをまとめて「日帝残滓」と言う。
「日本が韓国からハングルを奪った」という論理のもと始まった国語純化運動に代表されるように日本統治時代に導入された概念を言語化した者さえ「日帝残滓」と呼ぶ韓国では、過半数の韓国人が排斥に賛同している。
残滓とは「残りカス」という意味で、言葉だけを見ればかなり侮辱的で差別的だ。
まあ韓国からみたら、日本はそれほどひどいことしたということなんだろう。
社会にある「日帝残滓」を削除することは、克日や脱日本と同じで韓国では正しいことと考えられている。
昨年末、友人の韓国人にもう忘年会をしたかきいたら、「韓国では『送年会』と言います。『忘年会』は日本語ですから」と言われた。
これも「日帝残滓」だったか。
でも、以下の単語はすべて日本語由来の言葉で、いまではすっかり韓国社会に定着しているから、日帝残滓の清算は現実的にはむずかしい。
哲学、教師、教科書、算数、主観、客観、理性、芸術、文学、心理、科学、技術、権利、義務、大統領、首相、長官
言葉は概念やニュアンスをともなっているから、BBクリームのように簡単に韓国製へ切り替えることはできないのだ。
日帝残滓に対する見方は韓国内でもいろいろあって、「一匹残らず駆逐してやる」というエレンのような強硬派もいれば、それに反発する人たちもいる。
それでこんなふうに韓国でよく議論になるのだ。
朝鮮日報の記事(2019/12/17)
ソウル市・慶尚南道など韓国の一部自治体が、「日帝残滓(ざんし)をえぐり出す」として条例で「勤労」という言葉を一括して「労働」に変え、論争が起きている。
日帝残滓を理由に「勤労」を「労働」に言い換える韓国自治体
反対派に言わせると、勤労という言葉は「勤労挺身隊などに由来する日帝強占期の遺物」だから、使ってはいけない。
首都ソウルではすでに「労働」を使っている。
一方で、勤労という単語は「朝鮮王朝実録」という歴史書の中でも使われているから、必ずしも日帝残滓とは言えないという意見もある。
でも一度、「日帝残滓」の疑いをかけられると、そういう“色”がついてしまうから、「倭色」のイメージを払拭するのはむずかしい。
そんなわけでいま韓国では、「勤労」を「労働」に言い換える動きが京畿、光州、全北、釜山などの各自治体へと広がっている。
でも、「働」という言葉は日本人がつくった和製漢字なのだけど。
日帝残滓を消して別のものにかえるべきか?
いや待て。そもそもそれは本当に日帝残滓なのか?
そんなコップの中の争いはきっと今年もあるはずだ。
原料の国産化もふくめて、これから韓国の「脱日本」がどれだけ進むか見てみよう。
さっそく中央日報の記事で、韓国産業通商資源部の長官がこう強調している。(2020.01.02)
「材料・部品・装備企業が強固に支える産業生態系を構築して『揺れない産業強国』を実現する」
韓国産業通商資源部長官「韓国産高純度フッ酸液、早期生産能力を拡充」
本気で産業強国の実現をめざすなら、グループA復帰を放棄して背水の陣でのぞめばいいのだけど、それは絶対にしないのが韓国という国。
こちらの記事もどうぞ。
>残滓とは「残りかカス」という意味で、言葉だけを見ればかなり侮辱的で差別的だ。
「残りかカス」ではなく「残りカス」でしょう。(単純な書き間違いとは思いますが。)
韓国の場合、「日帝残滓」とは言うものの、どちらかと言えばその「残滓」の方が「本体」よりも量的に多くて価値も高いのじゃないですか?漢字語を含めて、近代的なもの・概念・思想はほとんど併合時代に日本から導入したものですよね。
まあ、そういうつまらないプライド(見栄?虚飾?そういう漢字語も既に理解不能なのでしょうな)にこだわっている限り、韓国がほんとうの意味で日本レベルまで発展することは永久に無いと思いますよ。自国に対する本当の誇りや伝統文化とはいったい何であるのか、政治的主張の議論を離れて、もう一度よく考えてみるべきですね。でも、パリパリが常で、立ち止まって深く考えることが苦手な韓国人には無理かな。
「かカス」は書き間違いでした。
ご指摘ありがとうございます。
近代的な概念は統治時代の前にも、幕末・明治時代に日本人が漢字訳した言葉を朝鮮人が本国に伝えたものもあります。
そうした言葉をいま消しても、そうした考え方が韓国社会の発展に寄与したことは消せないのですけどね。
本当に気分しだいです。