インド人の発想で相撲の映画を作ったら、日本人も興味津々だった

 

きょねんの12月ごろ、あるインド映画に日本人の関心が集中した。
まずはネット上の声を拾ってみよう。

・意味わからなさすぎて笑った
・「インドに漂着した力士」のパワー高過ぎる
・寿司に釣られる力士wwww可愛いwwww日本人をなんだと思ってんだwwww(多分私も釣られる)
・最後はやっぱり力士が踊るのか
・滅茶苦茶くだらなくて面白そうだ
・国技館貸してやれよw
・インド人が手足が伸びるヨガの達人だったら完璧に日本でウケる

ある日インド人のサーファーが海岸を歩いていたら、日本人力士が流れついているのを見つけたことから2人の友情物語が始まった。
インド人が修行のトレーニングを手伝って、その力士が日本の土俵に復帰するというハートウォーミングな映画だ。
「海岸に漂着した力士」もそうだけど、他にもインド人が力士に寿司を見せてやる気を引き出すといったインド人的な発想が日本人に受けてネットで注目を集めた。

 

日本では海岸に椰子(やし)の実が流れついたことから、島崎藤村が想像力を働かせて詩をつくったけど、やっぱりインド人は発想力が違った。

海の日の沈むを見れば 激(たぎ)り落つ異郷の涙
思いやる八重の汐々 いずれの日にか故国(くに)に帰らん

椰子の実

夕日を見て、遠く離れたふるさとを思って泣くというのは日本人の情緒に合っている。

 

さてこのインド映画「SUMO」で力士を演じている日本人は、元幕下「東桜山」でいまは俳優をやっている(らしい)田代良徳さん。
ご自身のインスタグラムには、「私の初映画(準主演)が12月25日に公開が決定しました!クリスマスに公開!日本での公開はまだ決定してませんがとても楽しみです」と期待を語っている。
ちなみにハッシュタグは「#お相撲さんドットコム #チェンナイ #南インド #インド映画」だ。

ここにあるように日本での公開は決まっていないし、最後に力士やインド人が踊るかどうかもわからない。

「日本人力士」という素材をインド人が好き勝手にあつかうとどんな映画になるのか?
それは予告から想像してほしい。
監督は力士を、身体はデカいけどやさしくて誰からも愛されるキャラクターという設定にしている。

 

日本に住んでいるインド人にこの映画について聞いたら、彼はまったく知らなかった。
そのインド人がネットで調べて教えてくれた記事を見たら、監督はこの映画をモディ首相と安倍首相が見て、次の首脳会談で日印の外交関係が深まることを願っているようだ。

Director
He also hopes Indian Prime Minister Narendra Modi and his Japanese counterpart Shinzo Abe will watch the movie and give their diplomatic seal of approval in their next summit.

A Japanese sumo-wrestling champion walks into a Tamil film. Hilarity ensue

「インドの海外に漂着した力士」というパワーワードは安倍首相の関心を引き付けられるだろうか。

 

おまけ

世界で相撲は日本を象徴するもので、人気や知名度がとても高い。
数年前にトヨタが安全技術をアピールするために公開した動画「七人の力士-SEVEN SUMO-」も海外で高い注目を集めた。
この発想は日本人っぽい。

 

 

現在のインド人が考えるイギリスの植民地統治、その闇と光

インド 目次 ①

インド 目次 ②

インド 目次 ③

 

2 件のコメント

  • 相撲(力士)が外国映画で登場したのを初めてみたのは、「燃えよドラゴン」(古いな)の中の1シーンでした。ブルース・リーが、香港警察の命を受けて、格闘技マニアであるマフィアの大ボスが支配する島に潜入するのですが、その大ボスと顔を合わせた広間の場面で、背景に、柱に向かってテッポウを打ったり立会い・取組みの稽古をする力士が、他の格闘家たちと一緒に登場していたのです! (なぜかとても嬉しかった。)
    あの映画で、柔道着みたいな道着を着ていた空手家やカンフー使いは大勢登場したが、なぜか、柔道家は登場しなかったなぁ。殴ったり蹴ったりする派手な場面がないからかな?
    少なくともその時代(60年代)の香港や米国では、柔道よりも、相撲の方が「日本に独特の格闘技」として知られていたみたいですね。

    なお、インド映画であれば、きっと最後は全員総出で踊るのでしょう。歌舞伎の総踊りみたいなもんです。

  • 海外の映画で日本のアイテムが登場するとうれしくなりますね。
    力士は巨体で裸体で独特ですから、映画でのインパクトも大きいと思います。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。