“日本人”だから？アメリカが韓国社会の人種差別に怒り

韓国でサッカーは国技と言っていいほどの高い人気がある。

そんな韓国の国民的スター・孫興民（ソン・フンミン）選手がヨーロッパで人種差別の被害を受けたということで韓国世論がいま沸騰中だ。
でも韓国ではきょねん、一部の人間や自治体が日本人に対して人種差別をしていたという残念なオチ。
前回そんなことを書いた。

韓国はまあ、とにかく忙しい。
反日が盛り上がって最近はやや下火になったと思ったら、今度は反米の炎が燃え上がった。
そのターゲットにされたのが駐韓アメリカ大使のハリス氏。
ハリス氏は北朝鮮との和解・友好に突き進む韓国政府に対して、「米国と協議しなければならない」とブレーキをかけたことなどで、大統領府・政府・与党政治家からぶったたかれているのだ。

中央日報の記事（2020.01.20）

「北に頬を叩かれ、米にうっぷん晴らし」…韓国党、与党・政府・青瓦台「ハリスたたき」批判

駐韓国大使として、時として厳しい言動が見られるため、韓国内の新聞では傲慢や無礼、偏見、無知であるとして酷評、ヘイトスピーチされることがある。

ハリー・B・ハリス・ジュニア

ハリス氏の母親は日本人で、本人はひげを生やしていることから、20世紀前半に韓国を統治していた日本人総督になぞらえてハリス氏を批判する国会議員まで現れた。
政治家が反日ムードをあおるから、国民もそれに呼応する。

朝鮮日報の記事（2020/01/18）

与党を支持するネットユーザーの間からは、ハリス大使を「チョッパリ（日本人の蔑称）混血人のグンパリ（兵士の俗称）」「米国籍の倭寇」など侮辱的な言葉で非難する声が相次いだ。

韓国与党・政府・青瓦台、米大使に「朝鮮総督」

北朝鮮が韓国に「おじけづいた犬、バカの境遇」とボロクソ言ったときには何も言い返さなかったのに。

ハリス氏への批判を超えた個人攻撃はすさまじく、そのことは別の朝鮮日報の記事（2020/01/18）にも書いてある。

韓国与党支持者ら、「ひげが日本の巡査みたい」「ハリスを追放せよ」と非難

ここまでくると、一線を越えている。
「大人の対応」と言って、見て見ぬふりをするのはただの無責任。

アメリカの主要メディアCNNが人種差別（Racism）だと韓国側を非難した。（January 17, 2020）

Racism, history and politics: Why South Koreans are flipping out over a US ambassador’s mustache

ハリス氏がアメリカ人であるにもかかわらず、日本人の血統を問題にするのなら、アメリカの基準では人種差別になる。

But Harris isn’t Japanese, he’s a US citizen. And calling him out for his Japanese ancestry would almost assuredly be considered racist in the United States.

ハリス氏への攻撃が起こる理由として、CNNは韓国社会の同質性の高さ（homogenous society）、言い換えれば多様性の低さをあげた。

South Korea is a homogenous society without racial diversity like the United States. The CIA World Factbook doesn’t even list other ethnic groups living in South Korea on the country’s page, instead just referring to the country as “homogenous.

韓国ではどこに行っても同じ人種の人間ばかりで、黒人・白人・アジア人・ヒスパニックといった様々な人間のいるアメリカとはまったく違う。
だから韓国では「xenophobia（外国人を嫌う感情）」が驚くほどあるという。

「日本人」を理由に誰かを批判するのなら、世界基準では人種差別になる。
こうなると韓国側もあわてて火消しに走る。

朝鮮日報の記事（2020/01/20）