海外メディアは日韓対立の現状と原因をどう見てる?

 

「今の日韓関係はどんな感じ?」と聞かれたら、ためらうことも迷うこともなく「戦後最悪ですね」と答える。
この最大の原因は元徴用工問題で、責任はそれを生み出した韓国側にある。
この問題は1965年の請求権協定で日韓両政府が解決を確認した。にもかかわらず、きょねん韓国の最高裁判所がこの合意をひっくり返して、日本企業に賠償を命じてしまった。
こうして生まれた国際法違反の状態を韓国政府が放置してきたことで、気づいたときには戦後最悪の出来上がり。

そんないまの日韓関係や対立について、海外はどう見ているのか?
国際社会に大きな影響力をもつイギリスBBCの記事(2 December 2019)を見てみよう。

South Korea and Japan’s feud explained

韓国と日本のfeud(確執・不和)を説明してくれるらしい。
それによると両国は7世紀から何度も戦闘があって、日本は朝鮮半島を侵略しようとした。

They have fought on and off since at least the 7th Century, and Japan has repeatedly tried to invade the peninsula since then.

 

は?
7世紀には白村江の戦いがあったけど、あれは百済から援軍の要請を受けてのことで、日本の侵略ではない。
そのあとは、あえて言えば豊臣秀吉の朝鮮出兵だけだ。
韓国併合も、韓国側にとっては不愉快だろうけど、国際法にもとづいた合法的なものだった。
何度もあった(repeatedly)という日本の侵略とやらを知りたい。

 

こんな謎歴史のあと、元徴用工問題での韓国側の要求の中心は、日本が“適切な賠償”(appropriate reparations)を払うことだと説明する。

Japan pay what they consider to be appropriate reparations for atrocities committed during the Japanese occupation of the Korean peninsula from 1910 to 1945, particularly the use of forced labour.

 

これもおかしく、不条理だ。
日韓請求権協定にもとづいて、日本は韓国側にばく大な経済支援金をわたした。
これによって元徴用工の個人請求権は「解決済み」と、2005年にノ・ムヒョン政権が確認している。
元徴用への補償義務は「韓国政府が負う」と韓国外務省もはっきり言ったのだから、元徴用工への賠償金は韓国政府が払えばいい。
その責任を日本企業に負わせて、お金を“二重取り”するのは韓国にとっておいしすぎる。

でも、BBCの記事は韓国政府の責任に触れることなく、上の文章には、1910~45年に日本が朝鮮半島を統治していた間、強制労働などの残虐行為(atrocities committed)があったとある。
くれについては別のところで、もう少しくわしい説明がある。

By the late 1930s, Japan was starting to mobilise for war. It began to force people to work in the factories and mines, or enlist as soldiers

 

日本は1930年代後半に動員を開始して、国民を工場や炭鉱で“強制労働”させたり兵士にさせたりした。
これは1939年の国家総動員法による。
労働力を確保するため、国家(厚生大臣)に強制的に人員を徴用できる権限をあたえたのだ。

でもこれは当初、朝鮮人は免除されていた。
朝鮮人にも適用されるようになったのは1944年で、その年の8月8日に「国民徴用令の適用を免除されていた朝鮮人にも実施する」という閣議決定がされた。
その翌年に日本が降伏して戦争が終わったから、韓国の主張する徴用令にもとづく「朝鮮人強制連行」は11カ月で1年間にも満たない。

また、「Why isn’t the issue settled?」(なんで問題が解決されないのか?)という項目では、韓国の外交官ユ・ウィサン氏の説明だけがある。
それによると理由は2つ。

one, the 1965 deal did not “settle all the problems related to our colonial past”, and two, that it “took away citizens’ individual rights to ask for reparations”.

 

1965年の条約では、過去の植民地時代についてのすべての問題を解決していなかった。
それとこれが個人の賠償請求権を奪った。
「あの合意は不完全で、あれで解決されたことにはならない」といまになって言い出すのは韓国のよくやることで、日本政府はもう相手にしていない。

竹島問題は解決していなかったから、たしかに“すべて”ではない。
でも倍賞問題は完全に解決して、韓国政府もそれを認めた。
BBCは韓国の外交官だけではなくて、日本の外交官に日本政府の立場を読者に伝えるべきだ。

 

日本は歴史上、何度も朝鮮半島を侵略しようとしたと何の話か分からないことを書く。
日本は韓国人に残虐行為(atrocities committed)をしたというけど、その具体的な内容は書かない。
朝鮮人への徴用が適用されたのは1944年なのに、日本人に適用された「By the late 1930s」と書く。
韓国政府が元徴用工問題の解決を確認したことや、元徴用工へお金をわたすことは一切書いていない。
1965年の合意によって、請求権については「いかなる主張もすることができない」ことを定めているのに、BBCの記事にはそれもない。

全体的に日本を加害者で悪者、韓国を被害者にしているから、この記事を読むと、韓国と日本のfeud(確執・不和)の原因はほとんど日本にあるような印象を受ける。
これだけでは判断できないけど、BBCの意見は日韓関係に対する欧米メディアの一般的な見方を表していると考えていいと思う。
情報戦では日本はかなり劣勢とみていい。
少なくても、「韓国の約束破りを世界は笑っている」なんて認識はしないほうがいい。
 

 

こちらの記事もどうぞ。

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

日本はどんな国? 在日外国人から見たいろんな日本 「目次」

外国人(アメリカ人とヨーロッパ人)との会話がで盛り上がる話題

 

4 件のコメント

  • >国際社会に大きな影響力をもつイギリスBBCの記事(2 December 2019)
    >BBCの意見は日韓関係に対する欧米メディアの一般的な見方を表していると考えていいと思う。

    もう1点、欧米在住の韓国人・韓国系移民による執拗なプロパガンダがそれなりに成果を挙げていることも指摘したいと思います。このブログの記述を見ると、まるでBBCが韓国系移民の影響を全く受けずに自分達だけで自主的に取材をしてその結果このような記事が出ているように聞こえますが、実際には、そうではありません。
    韓国人はよく日本のことを「日本による海外ロビー活動がー」と非難するけど、それはまさしく、自分達の海外における日本に対するヘイト活動のことを鏡に映しているようなものです。

  • 日本もロビー活動をもっと積極的にやるべきですね。
    韓国とは摩擦を起こしたくないという大人の対応をしていると、将来の日本人が迷惑します。

    >実際には、そうではありません。
    これは何か具体的な根拠はありますか?

  • 日本は敗戦国なのでじっと黙って耐えるということがすっかり身についてしまっているのでしょう。
    日本の自衛隊は立派な軍隊だとアメリカの軍事評論家がいっているそうですが、じゃあ実際に日本が憲法9条やめますとなったらおそらくそれこそ今度は世界中から叩かれるんだろうなと思います。
    世界大戦時の日本ってそんなに凄かったのかとちょっと誇る気持ちはありますが憲法9条を誇りたいです。

    朝鮮半島内による日本軍の大量虐殺は韓国側の言い分で聞くけど国内では聞いたことないと思ったらやっぱり!
    kokonさんのこの記事の内容を日韓会議の時は毎回韓国に教えてあげないといけないなと思います。
    日本政府なぜしないの~? まだまだ耐えるべきと思っているのかなぁ?
    それにしても併合されたことは忘れないのにもっとも基本の国の取り決めを忘れるとは(>_<)

  • 日本政府の「大人の対応」には本当にガッカリです。
    でも、最近は国連で韓国側に言い返したり、海外メディアに反論を載せたりと以前よりは打って出ています。
    ただ、いままでの長い長い沈黙が痛かったです。
    日本好きのアメリカ人も慰安婦を「性奴隷」と誤解していて、私がそれを否定すると怒り出すぐらいですから。
    根拠を求めても、当然そのアメリカ人は出せませんでした。
    現在の日本はいいですけど、第二次世界大戦中の日本は欧米からいまも嫌われていて、韓国側がそれをうまく利用して情報を出していると思います。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。