【多民族国家アメリカ】日本とは違うドラマ制作での配慮

 

数年前、知り合いのアメリカ人に「日本には“肌色”という色がある」と言ったら、「はっ?」と理解不能な顔をされた。

白人・黒人・アジア人・サイヤ人・ヒスパニック系など(変なのが混じってる)、世界中の人種や民族が集まっている多民族国家のアメリカでは「スキンカラー」なんて色はないという。
でも、「ないこともない」と言って、スマホで見せてくれたのは12色セットのクレヨンの画像。
アメリカではこれが肌色になるらしい。

でも最近では「人種差別」の意識が高まって、日本でも肌色はなくなりつつある。

クレヨン・クーピーペンシル・絵具等で従来の肌色を薄橙(うすだいだい)やペールオレンジ (pale orange) 等と言い換える場合がある。

肌色

 

さて、1994年から2004年まで世界中でヒットした「フレンズ」というアメリカドラマがある。
「フレンズって言ったら、けものだよね?」という人たちの一つ二つ前の世代で、アメリカドラマにや英語学習に興味のある人たちにとって、フレンズといえばこのドラマのこと。

 

 

「社会に出てもなかなか大人になれない」という若い男女のライフスタイル、友情や恋愛を描いたドラマで、まあくわしいことはウィキペディアさんに聞いてほしい。

フレンズ_(1994年のテレビドラマ)

ちなみに、最終回のコマーシャル料金は30秒で約2億円。

 

ドラマでよく使われたアメリカっぽい部屋

 

フレンズの主要メンバーの1人「ロス」を演じた俳優のデヴィッド・シュワイマーさんが英紙のインタビュー記事で、アメリカでのドラマ制作ならではの苦労を話している。
フレンズのキャストはみんな白人で、ダイバーシティ(多様性)に欠けていることは当時から気になっていた。
これではアメリカらしくない。
日本でいえば、上級国民だけのドラマだったらきっと共感はわいてこない。
だから、もっと人種構成に配慮するべきだとスタッフに語ったという。

「海外ドラマNAVI」の記事(2020.02.02)

だから何年も僕はスタッフに呼びかけて、おかげでロスの初期のガールフレンドにはアジア系の女性がいたし、のちにアフリカ系の女性ともデートすることになったんだ

『フレンズ』は差別的?若者からの批判に”ロス”がコメント

主要キャストのひとり

 

アメリカ社会を考えたら、「肌色が白だけ」というのはマズい。
まあそれは分かるけど、「主要キャスト全員がアフリカ系だったりアジア系のバージョンもあるべきなのかもしれないね」というところまで必要なのか?
アメリカで人種差別批判をかわすためには、そこまで考えないとダメということか。

ほかに宗教にも配慮して、ロスをユダヤ教徒に設定したという。
それでクリスマスだけでなくて、ユダヤ教の祭り「ハヌカー」もドラマに登場させた。
日本のドラマと違って、異文化を学ぶいい機会になる。
はっきり覚えてないけぢど、ろうそくを使ったハヌカーらしきシーンを見た記憶がある。

 

日本とアメリカでの番組制作で必要な配慮の違いは、「パワーレンジャー」を見ればわかる。
これは日本の「スーパー戦隊シリーズ」がアメリカへ輸入されて作られたもので、パワーレンジャーでは多民族社会を反映して、性別や人種などがなるべく均等になるよう設定されている。
人種差別批判がこないよう“バランスよく”キャスティングする点が日本のテレビ番組とは違う。

 

パワーレンジャーのキャラクター
ボクが知ってる戦隊モノなら女性は1人で、黄色はカレー好きが絶対条件。

 

 

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アフリカの旅(国)が、こんなにひどいなんて聞いてなかったから。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。