親韓派の日本人は、約束破りの韓国をどう擁護するか?

 

朝日新聞系の「論座」で、韓国にくわしい慶応大学名誉教授・小此木政夫氏が朝日新聞編集委員とのインタビューで日韓関係について語っている。(2020年02月09日)

日韓は「良きライバル良き友に」~小此木教授の願い

ケンシロウとラオウですか。
強敵と書いて「とも」と呼ぶような。

さて韓国通としての小此木教授の「原点」だと思うけど、韓国留学で実感した変化についてこう書いてある。

下宿させていただいた延世大学の先生と家族は本当に親しく面倒を見てくれて、子どもたちもなついてくれました。私は韓国の庶民が好きでした。
留学を終えて日本に帰る時、私は、自分が半分、韓国人になってしまった

 

「庶民が好き」と語るご自身の立ち位置が気になるところ。

さて、いま戦後最悪と言われる日韓関係だけど、その最大の原因は徴用工訴訟問題にある。
そしてそれについては、「日韓それぞれに責任がある」というどっちもどっち論は通じない。

外務省ホームページを見れば一目瞭然。
この問題は1965年の請求権協定ですでに解決済みで、日韓はこの合意を守ってこれまで関係を築き上げてきた。

国民の間の請求権に関する問題は「完全かつ最終的に解決」されており,いかなる主張もすることはできない(第2条)ことを定めており,これまでの日韓関係の基礎となってきました。

大韓民国による日韓請求権協定に基づく仲裁に応じる義務の不履行について

 

「いかなる主張もできない」と確認したにもかかわらず、いま韓国側はあれでは不十分で終わりにはならないと言っている。

上の記事で、そんな韓国を教授はこう擁護した。

韓国が1965年の日韓条約や請求権協定まで後戻りして、改めて問題を提起している。1965年体制そのものが韓国側から問われているという事態が『深刻』なのです

 

主張はしてない、問題提起だ。とでも?
もう言葉遊びのレベルだけど、韓国の約束破りをそんなふうに正当化する日本人は他にもいる。

時間の経過と事実だけを取り出してみよう。
韓国側は問題の解決を約束して、日本から5億ドルの経済協力金を受け取った。
そしてすべて使い終わると今度は、日本企業に賠償命令を下してまたお金をとろうとしている。

「韓国は合意を破っていない。韓日では「解釈」が違うのだ」という言い訳が通じる世の中になってはいけない。
「韓国側から問われているという事態が『深刻』なのです」と書くけど、これでは韓国は絶対善だ。
まるで日本の態度に問題があるようだけど、終わったことを蒸し返して「改めて問題を提起している」韓国こそおかしい。
これじゃエンドレス。

 

日韓両政府は1965年に「完全かつ最終的に解決」を確認したけど、韓国には日本に謝罪を求める人や条約を不平等と思う人もいた。
そんな思いをくみ取って教授はこう言う。

あの条約そのものが円満に結ばれたわけではない。いったん決めたことだから、と考えてはいけないのです。

 

両国国民がすべて納得する合意なんて非現実的で不可能だ。
政府が合意した以上、国民の不満をなだめるのはそれぞれの政府の仕事のはず。
約束というのは、一度決めたことを最後まで守ることに意味がある。
「と考えてはいけないのです」と一方の国が言い出して、途中変更を認めていたらキリがない。
だから日韓両政府は「いかなる主張もすることはできない」と釘を刺したのだろう。

教授の話を聞いた朝日新聞編集委員は韓国の立場をこう弁護する。

「約束」より「正義」を重んじる韓国と、約束を反故にすることが「ゴールポストを動かす」ように見える日本との根本的な違いだろう。

 

約束を反故にすることは「ゴールポストを動かす」ことに他ならない。
慰安婦問題も同じで、韓国側があとから解決条件を変えようとするからいつまでも終わらない。
でも親韓派の日本人だと「ように見える」が限界で、「ゴールポストを動かす韓国が悪い」とは書けないのだろう。

この記事全体を見ると、直接そう言えないけど、韓国政府の立場に立って日本へ譲歩をせまっている。
本来いかなる主張もできないのに「問題提起した」と言ったり、「いったん決めたことだから、と考えてはいけない」と日本を非難して約束破りの韓国を擁護する。
半分ではなくて、すっかり韓国人の発想になってしまった。

日韓関係悪化の原因は約束を破った韓国にある。
関係を改善させたかったら、韓国が約束を守るしかない。
でも、親韓派の日本人にはこれが言えない。
韓国に間違った希望をあたえると、対立はさらに深まるのに。

 

インタビュー記事にはこんなコメントが寄せられている。

「お互い 冷静な対話によって道を再開させて頂けませんか?
韓国の皆さんにも、美味しい日本のビールを飲んでもらいましょうよ!
昨年 6月末の状態まで戻して頂けませんか?」

韓国政府が合意を守ることが先。冷静な対話はそのあと。
「6月末の状態まで戻して」というのは、対韓輸出の管理強化をおこなう前に戻すということで、ムン政権の主張そのまま。
話し合いと言いつつ、実際には日本に譲歩をせまるのは上の記事と同じ。
自分の言葉を自分で裏切る相手とは、良きライバルにも良き友にもなれない。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

 

2 件のコメント

  • 個人的に韓国人と仲がよいのと、国同士の問題とは別です。
    冷静にみれば、どちらが無茶をしてきているかわかりますよね。
    仲が良いのなら、逆に韓国の方を説得できませんか?韓国でそんなことできる雰囲気かどうか分かりますよね。

    韓国が合意に不満であれば、私ならいっそのこと合意を破棄してどうぞ日本側に請求してくださいと。
    その代わり、日本が渡した8億ドルと韓国に置いてきた日本の資産を一旦すべて返してね。そうしてから新たな条約を結びましょうと言いたいですね。(まあこれは日本はしないでしょうし、しかも韓国も金額が膨大すぎて返せない返さないでしょうからね)

    ちなみに
    >「約束」より「正義」を重んじる韓国と、約束を反故にすることが「ゴールポストを動かす」ように見える日本との根本的な違いだろう。
    これって結構すごいこと言ってますね。朝日新聞は「約束」は守らなくてもいいものだと言い切っているも同然ですやん。

  • 客観的に見れば約束を守った側と破った側のどちらが悪いかは議論の余地がありません。
    でも、最初から「日本が悪い・韓国が正しい」と結論が決まっている人は受け入れられませんから、「解釈が違う」とか言って正当化します。
    いままではそれで通じてきたんでしょうけど、いまはもうダメでしょう。
    約束を反故にしてもゴールポストを動すことにならないと見えるようでは、いつでも韓国は何でもできてしまいますよ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。