【n番部屋事件】韓国を激震・激怒させた大規模ネット性犯罪

 

いま韓国を震撼させている「n番部屋事件」をご存じだろうか。

2018年からことし2020年3月まで無料通信アプリを使って行われていた、組織的で言葉をうしなうほど悪質なデジタル性犯罪・性搾取事件のこと。

「博士」を名乗る管理人(首謀者)がネットで高収入をちらつかせて「アルバイト」を募集する。
それに応じた女性が性的画像を送ると、管理人は「家族や友達に見せるぞ」「殺してやる」などと脅迫して、女性にさらに過激な画像や動画を送らせていた。
これを集団で行っていたのだ。

こうした被害者を「奴隷」と呼んでいた管理人は、「もっとひどい目にあいたくなければ他の女を連れてこい」と要求して、次々と奴隷を増やしていく。
被害者を“加害者”や“共犯者”にさせることで秘密を共有させ、事件の発覚を防ごうとしたのだ。

これは会員限定の課金制チャットグループで、高い金を払えばより過激でワイセツな動画を見ることができるシステムになっていて、「1番目の部屋」「2番目の部屋」といくつもあったこから「n番部屋事件」と呼ばれるようになった。

「n番部屋」の利用者はいまのところ26万人とされ、被害女性は未成年16人をふくめて74人にのぼる。この数はこれから増えるだろう。

アメリカ誌ニューズウィークの報道(2020年3月24日)によると、犯人らの行為はこれ以上ないほど鬼畜。

「ナイフで皮膚に奴隷と刻ませる」「膣内に虫やはさみを挿入する」「男性公衆トイレで強姦/自慰」「床をなめる」など常軌を逸した酷い行為を強要されていた。

韓国激震 常軌を逸した極悪わいせつ動画SNS「N番ルーム」事件の闇

 

10歳未満の幼女のビデオも複数あって、会員は金を払ってこれらを視聴していたのだ。

さらにくわしい情報はここをクリック。

N番部屋事件

 

この事件が明らかになると、韓国社会は怒りと混乱につつまれた。
中央日報(3/25)

性搾取撮影物を違法製作・流布して数多くの人が共有して見た事件は韓国社会の人権意識がどれほど遅れているのかを見せる象徴的な事例となるだろう。

「n番部屋の人格殺人」最後まで捜し出して厳罰せよ=韓国

 

これに参加していた側、課金を払って動画を視聴していた人間の個人情報も開示せよという要求がいま韓国社会で猛烈に高まっているから、「個人情報保護」の壁をぶち破ってこれは現実になりそう。

それである40代男性は、「博士部屋にカネを入れた。事件がこんなに大きくなるだろうとは思わなかった」という遺書を残して漢江に飛びこみ命を絶った。

 

韓国では、こんな組織的な性的虐待・搾取事件がどうして起きたのかという原因究明をしている。

米誌ニューズウィークの報道(2020年3月30日)で、専門家(韓国サイバー性暴力対応センター代表)のソ氏がこの事件の背景となった韓国社会の恥部をこう語った。

韓国社会に「レイプ文化」が存在し続ける限り、このような犯罪は再び起きる可能性があると指摘した。(中略)容疑者たちの間に違法の動画や写真を見たがる「レイプ文化」が存在したことはほぼ確実であり、だからこそ彼らは欲望を金に換える仕組みを構築したのだと、ソは語る。

極悪ネット性犯罪「n番部屋」は韓国の女性蔑視文化の産物

 

「レイプ文化」というのは韓国のメディアやポップカルチャーが女性に対する性的暴力に“寛容”であるため、強姦事件が多発する社会環境のことをいう。
かなり過激な表現だけど、いまの韓国社会は変わらないといけないという思いがソ氏には強いのだろう。

ちょうど一年ほど前、韓国では「人気アイドルスターが多数かかわったデジタル性犯罪」(中央日報)が起きて大騒ぎになっていた。
一般人だけか分からないけど、女性に性暴力を加えて違法盗撮し、その動画を今回のようにネットで共有していたことが露見。
中央日報によると、動画を視聴していた男性らは被害女性の“品評”を日常的にしていて、「違法撮影を性暴力・犯罪ではない、軽い遊び程度に考えている認識が衝撃的だ。」という。

 

当時の中央日報の紙面

 

日本で人気アイドルが性的動画を違法で盗撮して、複数の人間とチャットルームで楽しんでいたら「衝撃的」では済まないぞ。

 

ハンギョレ新聞(3/29)は韓国で児童・青少年性搾取物犯罪が以前から多かったことを問題視する。

昨年10月、警察庁は米法務省と協力して、児童性搾取物を共有する「ウェルカムトゥビデオ(W2V)」の捜査結果を発表した。当時、世界各国で310人の利用者が検挙されたが、このうち223人が韓国人であり、運営者も韓国人だった。

n番ルーム事件、「犯罪団体組織罪」の適用は可能か?

こういう犯罪での刑罰をアメリカと比べると、韓国はかなりゆるいらしい。

 

今回の「n番部屋事件」で犯人の武器は女性たちの個人情報で、被害者の名前・生年月日・自宅の住所や家族関係などを入手して女性を「奴隷状態」にさせた。
中央日報は韓国社会のそんなゆるい情報管理を批判する(2020.03.27)

結局、粗末で無責任な官庁と公務員が性犯罪をほう助したとみられる。この事件に対する捜査でこの部分もはっきりと糾明されなければならない。

社会服務要員も見られる個人情報…官庁が「博士部屋事件」犯罪をほう助=韓国

 

さて、ここまでの報道は理解できるのだけど、よく分からないのが朝鮮日報で、なぜかこの異常で大規模な性犯罪を日本に結び付ける。(2020/03/25)

「n番部屋で起きていることが日本でも同じように起きている。AVが規制もなく、まるでエンターテインメントのように拡散されていることは問題だ」と指摘した。

成人コンテンツ王国・日本のネットユーザー「n番部屋事件は他人事ではない」

 

役所から個人情報がもれて、それを利用した犯人が10歳以下の幼女をふくめて70人以上の女性を奴隷にして「常軌を逸した極悪わいせつ動画」を26万人に視聴させて金をもうける事件なんて、日本でいつ起きた?

日本には日本の問題があるけど、それと「n番部屋事件」は直接関係ないし、全国紙がこんな報道をするべきではない。
ちなみに匿名のツイッターでそんな指摘があったらしい。

「韓国社会の人権意識がどれほど遅れているのかを見せる象徴的な事例となるだろう。」という中央日報の指摘や問題喚起ならわかる。
この問題は日本をからめずに韓国自身が取り組む案件だ。

 

 

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2 件のコメント

  • 「n番部屋で起きていることが日本でも同じように起きて」はいませんよね。まったく見当違いもはなはだしい。一種のフェイクニュースですね。それがもしフェイクニュースでない、当然の考え方だと言われるならば・・。

    おそらく、「n番部屋で起きていること」を望んでいる人がいるからこそ、そのサイトの会員が26万人にも達したのでしょうね。もしもそうでないと言うのであれば、少なくとも、その朝鮮日報の記者はそうなのだろうと確信します。

  • これと日本は一切関係ありません。
    日本のメディアなら韓国と結びつける悪意のある報道はしないでしょう。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。