紀元前753年から476年、日本でいえば弥生時代から古墳時代にかけて、地中海周辺に古代ローマという国(帝国)があった。
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イタリア半島中部に位置した多部族からなる、都市国家から始まり、領土を拡大して地中海世界の全域を支配する世界帝国までになった国家の総称である。
植民地や奴隷制度、民主主義などその後のヨーロッパを特徴づけた思想や制度はこの時代のものだから、古代ローマはヨーロッパの原型や原点ともいえる。
いまの日本にも古代ローマの影響はある。
ローマの軍人で政治家のカエサル(英語でジュリアス)の名からJuly(7月)、皇帝アウグストゥスからAugust(8月)という月の名称がつけらたし、ローマ人がギリシア文字をもとに作ったのが日本でもおなじみのローマ字だ。
この地図は、ローマという一都市から始まって大帝国となった古代ローマの移り変わりを表したもの。
町工場から世界的企業にのぼりつめるような成り上がり感がありますね。
さてここからは、もし食事中なら、それを済ませてから読み進めてほしい。
古代ローマの公衆トイレにはこんな「テルソリウム」という木の棒があって、人びとはトイレットペーパーの代わりに排便後のお尻の“処理”をしていたといわれる。
そんなローマで庶民の娯楽は剣闘士による闘いで、人間同士だけでなく、ライオンなどの猛獣と剣闘士を闘わせて人びとはその「ショー」に熱狂した。
剣闘士は奴隷と同じで(動物に近い存在と蔑視されていたかも)、人権なんてぜい沢なものはなく、猛獣に負けた剣闘士は最も不潔な用途専用の棒(テルソリウム)を喉に押し込んで自殺したという話が古代ローマの哲学者セネカの手紙にある。
きのうそんな記事を書いたところ、なんという偶然、きょう4月21日はローマの建国記念日だった。
紀元前753年4月21日に国王ロームルス(ロムルス)が「ラティウム」という地に国をつくる。
その約100年後、紀元前660年から始まる皇紀が日本にあるように、この年を起点にしてローマ建国紀元も生まれた。
初代ローマ王ロームルスが古代ローマを建国したとされる、西暦換算で紀元前753年を元年(紀元)とする紀年法である。
ロームルスにはレムスという双子がいて、彼らは軍神マルスの子どもで狼によって育てられたというから、ロームルス・レムスは史実ではなくて伝説の存在だ。
狼の乳を飲んで育ったロームルスとレムス
軍神マルスという最強オヤジから生まれたロームルスとレムスは人間界で無双しまくりで、各地を征服支配して勢力をのばしていく。
のちにロームルスはレムスを倒して、紀元前753年4月21日にラティウムで初代ローマ国王となる。
「ローマ」という国名は彼の名にちなんでつけられたという。
王になったロムルスは、まずはじめに、パラティーノの丘の周辺に城壁をめぐらせた。都市建設の意思表示である。神々に犠牲を捧げての式も、厳かにすませる。
その日は、紀元前七五三年の四月二十一日であったという。このローマ建国の記念日は、以後一千年もの歳月、絶えることなく毎年祝われる祭日になった。「ローマ人の物語 1 (新潮社) 塩野七生」
きょうでローマは2773回目の誕生日をむかえる。
ちなみに「ラティウム」というのはローマのある地名で、ここに住む「ラティウムの人々」がラテン人(ラティニ)と呼ばれるようになったという。
そして彼らの言葉「ラテン語」から派生したフランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語などを話す人びとが「ラテン人」となった。
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>いまの日本にも古代ローマの影響はある。
>・・・ローマ人がギリシア文字をもとに作ったのが日本でもおなじみのローマ字だ。
日本語で「ローマ字」と言うと、「アルファベットを使った日本語の書き表し方」のことであると誤解する人も多いのではないですか。ここでブログ主さんが言われているのは「ローマ文字」あるいは「ラテン・アルファベット文字(英語だったらA~Zの26文字)」のことですね。
>「ラティウムの人々」がラテン人(ラティニ)と呼ばれるようになったという。(改行)そして彼らの言葉「ラテン語」から派生したイタリア語、スペイン語、ポルトガル語などを話す人びとが「ラテン人」となった。
ここにもう一つ、フランスもラテン系民族のひとつに加えるべきだと思います。フランス語は、ラテン語の一派である「ロマンス語」に分類される言語です。あと、ベルギー・ロマンス語とか、ルーマニア語なんかもそうだと思います。
イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、そしてフランス語が元々ラテン語から分派した言語であり、英語やドイツ語とは系譜が異なるものであることは、単純な文を比較してみれば分かります。
◆英語:I love you、ドイツ語:Ich liebe dich(イッヒ・リーベ・ディッヒ) これらは、主語+動詞+目的語 の語順です。
◆フランス語:Je t’aime(ジュ・テーム)、イタリア語:Ti amo(ティ・アーモ)、スペイン語・ポルトガル語:Te amo(テ・アーモ) こちらは、主語(私は、フランス語Jeのみ他は主語省略)+目的語(あなたを)+動詞(愛してる)の順番。
つまり、昔のラテン語は、日本語と同じように「目的語+動詞」の語順だったのです。また英語と違い、主語も明らかな場合は省略してよかった、これも日本語と似ていますよね。
たしかにフランス人も代表的なラテン系のひとたちですね。
忘れてました。