【社会的距離】日本人とアメリカ人の発想や価値観の違い

 

新型コロナウイルスの感染拡大が地球規模で広がるいま、その恐怖から身を守る適切な距離「ソーシャルディスタンス」(社会的距離)の重要性が世界で話題になっている。

その距離はだいたい2mとされているのだけど、「他人とは2メートルの距離をとってください」という伝え方ではつまらないし分かりにくい。

それでこのまえ聞いたラジオでは「傘を持って友だちと並んで歩くときの距離」とか「ビートルズひとつ分(メンバー4人が並んだ距離)」とか言っているのを聞いたし、「東京ズーネット」は動物園の強みをいかして、「ハシビロコウが翼を広げた距離」とか「柴犬3匹分」と独創的に社会的距離を発信している。

 

 

 

企業の中には、空間を開けた新しいロゴを作ったところもある。

「メルセデス・ベンツ」のロゴでは真ん中のまきびし(忍者かっ)がずいぶん小さくなって、「ソーシャルディスタンスを守ってくれてありがとうございます」というメッセージが添えられている。

 

 

これは同じく自動車メーカーのアウディ

 

 

社会的距離については、最近知り合いのアメリカ人がこんなニュースをシェアしていた。

 

*英語でアニメといえば日本のアニメーションのこと。ディズニーなどのアニメは「アニメーション」という。

 

世界的な知名度と権威のあるアメリカ疾病予防管理センター(CDC)が、新型コロナの感染リスクを最小限にするために他人と6フィート離れることを推奨し、そのために公共の場ではアニメキャラクターがプリントされたTシャツの着用をすすめた。

こうすれば自分に近づく人を大幅に減らすことができる。
特に未成年者のキャラクターのあるTシャツが(上の写真のような)、最も効果的であるとCDCの担当者は話し、あるアニメファンは「I always knew there would be a day when this shirt would prove useful」(このシャツが役立つ日が来ると前から知っていた)と得意げに言う。

 

記事によるといまはパンデミックの影響で、アニメTシャツの需要が高くて手に入りづらい状況にあるから、保健当局は、適切なシャツがない場合は入手可能なもので自分の服を作ることをすすめている。

Currently, anime shirts are still in short supply from high demand due to the pandemic. Health officials have recommended fashioning your own outfit out of whatever is available if no suitable shirts can be found.

CDC Recommends Wearing Anime Shirts to Socially Distance Others Away From You

 

記事へのコメントを見ると、「オレのサイズで安いTシャツがない!」とか「アヘ顔のシャツを着て街に出てやる」とある。

・The only problem are these T-Shirt ain’t cheap and don’t have my size!
・Good idea. I will wear ahegao shirts in public places

 

「マジか!」と思ってあとでそのアメリカ人に聞いたら、これはジョークニュースでCDCはそんなことを言っていない。
こういうのを楽しむ文化がアメリカ社会にはあって、彼も面白いと思ってシェアしたらしい。

でもこのニュースがアメリカ人の見方や価値観を反映しているのはホント。
小中学生の女の子がデザインされたTシャツを街中で成人男性が着ていたら、周囲はドン引きして自然とソーシャルディスタンスはとれるという。
このジョークニュースにある発想や感覚はアメリカ的で、「傘を持って友達と~」という日本人とはやっぱり違うと思う。

 

前に外国人から聞いた知ったことだけど、海外では「ヘンタイ」という日本語が本家とは別の意味で使われている。
英語版ウィキペディアの説明をみると、日本以外で「hentai」といえばアニメや漫画のポルノ作品のことをさす。

Outside of Japan, hentai (変態 or へんたい; listen (help·info) English: /ˈhɛntaɪ/; lit. “pervert”) is anime and manga pornography.

Hentai

 

これが外国人のイメージする「hentai」の具体例(英語版ウィキペディアで紹介されている絵)
この絵を好きな大人ではなくて、この絵自体が「ヘンタイ」にカテゴリーされる。

 

海外でこんなTシャツを着て歩いていたら警察官がくる。

 

 

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3 件のコメント

  • うーん、困ったな。あまり学校の先生のように煩いことを言いたくはないのですが・・・。
    「現実社会において(感染防止のために)他人との間に物理的な距離を取ること」を「ソーシャル・ディスタンス」と表現するのは、間違いです。その用法は、聞いていてものすごく違和感がある。
    正しくは、social distancing とか to socially distance (この場合のdistanceは動詞です)とか言います。このブログ中で紹介されている外国人によるツイートでも、socially distancing others away って書いてあるでしょ? また、最初に紹介されている「東京ズーネット」のツイートでも、「ソーシャル・ディスタンシング」と正しく書いてありますよね。

    なぜ、social distance ではマズいかと言うと、これを日本語に翻訳すると「社会的(関係における)距離」、つまりは「敬遠」「拒否」「差別」というような意味になってしまうからです。「ソーシャル・ディスタンスを確保しよう」と主張すると、これは「(感染防止のために)差別するべきだ」などという物騒な意味になってしまうのです。これは今、メディア等で最も「やっちゃいけないこと」とされているはずの行為。英語版Wikipediaでも注意してありますよ。調べて見てください。Social distance(←「差別」のこと), Not to be confused with Social distancing.(←sociial distancing と混同しないように!)とね。

    TVのアナウンサーも、新聞も、その他のメディアも、英語が得意なはずの都知事なんかも、どうして間違いを指摘しないのでしょうかね? カンベンしてほしいなぁ。こういう大人たちを見ると、やはり子供時代からの英語教育は必要としか言えないなぁ(あまり自分はその意見には与したくないのですが)。

  • 英語のわかる人から見たらツッコミどころはあるでしょうね。
    アイスコーヒーとかコンビニエンスストアも文法的には間違いですし。
    でもまあいまの日本では日本語になってしまいましたが。

  • さきほど、NHKのニュースでは、「ソーシャル・ディスタンシング」とボードに書いて放送してました。やっとかよ。日本の代表的メディアが、情けない。
    また、WHOでも「フィジカル・ディスタンス(物理的な距離)」と言い換えを始めたようですね。
    アフリカ人が事務局長になってはイカンという訳ではないけど、もうちょっと聞き取りやすい訛りの少ない英語で会見してほしい。少なくとも代表的な国際機関の長なのだから。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。