let’s多文化:いろんな宗教・アニメ好きの外国人と初詣に行く

 

きょねん2019年の1月1日、外国人と豊川稲荷へ初詣に行ってきた。
唐突ではございますが、これからそのときの多文化交流を書いていこうと思う。

「外国人が日本の初詣を体験したら、どこで何をおもうんだろう?」という興味を内に秘めて観察していると、まずアメリカ人がお寺(豊川稲荷だけどここは仏教寺院)の正門で見た光景に衝撃をうけた。

 

 

仏教の寺の目の前で、白人のアメリカ人がキリスト教の宣伝をしている!

「本当に野蛮な行為ですね。アメリカ人として恥ずかしいです」と申し訳なさそうに言うけど、ここにいる日本人はほとんど気にしていない。
くわしいことはこの記事を。

外国人が初詣で衝撃!アメリカ人キリスト教徒の“歪んだ信仰心”

 

そんな日本人の寛容さというか、宗教への無関心を知ったあと、外国人一同は本堂に到着する。

地元の人は「豊川稲荷」と呼ぶのだけど、ここは正式には「妙厳寺(みょうごんじ)」という仏教寺院。
だから、「鳥居があるところ=神社」と理解していた外国人がこれを見て、「あれ?ここはお寺?あれ?」とわけわかめ状態になる。

 

 

日本では神道と仏教がごっちゃになって信仰される「神仏習合」が伝統的な信仰スタイルだから、こういう一見でたらめなことがある。
明治政府が神道と仏教をハッキリ分けるように命令を出したけど、日本の歴史にもとづく信仰を崩すことはできなかった。

1871年(明治4年)、神仏分離令に基づき、妙厳寺にも神仏区別の厳しい取り調べが及ぶが、翌年には稲荷堂をそのまま寺院鎮守として祀ることが認められる。

豊川稲荷

 

このときはキリスト教の文化圏(アメリカ人とリトアニア人)、イスラーム教の文化圏(インドネシア人とトルコ人)、ヒンドゥー教圏のインド人がいたけど、みんな口をそろえて、神仏習合なんて信仰の仕方は聞いたことがないと言う。

そりゃそうだ。
キリスト教の教会の敷地内にイスラーム教のモスク(礼拝所)があるというのは、その逆をふくめてありえない。
キリスト教・イスラーム教・ユダヤ教の共通の聖地「エルサレム」では、三教が集合してても習合まではしていない。
ただ、聖カタリナ修道院のように、キリスト教の修道院の中にモスクがあるという奇跡的な例外はある。

やっぱり日本人の考え方はスペシャルだ。
*豊川稲荷へ来るまでの車中で、初詣は神道と仏教のどちらの行事か厳密に分かれていないから、“気分”で好きなところに行ってもいいと話すと、彼らにはこれもよく理解できないようだった。
どうでもいいことはないけど、神社でもお寺でもどっちでもいい。
 

さて、次は参拝。
参拝では賽銭がお約束だけど、お金を投げ入れて神様仏様に頭を下げて合掌するのは宗教行為だから、これはスキップして見ているだけでもいいと外国人に話す。

前に韓国人の大学生を京都の清水寺へ連れて行ったとき、「わたしはキリスト教徒ですから、参拝はできません」と言われたことがある。同じ理由で、彼はおみくじを引くこともできなかった。
これは強制するものじゃないから、それはそれでいい。

このときはみんな参拝を「日本の文化」ととらえて、同じように賽銭をして手を合わせていた。

ヒンドゥー教徒のインド人の場合は、仏教はインドで生まれた宗教でヒンドゥー教とは「兄弟」だから、仏に祈りをささげてもまったく問題ないと言う。
ヒンドゥー教と仏教はバラモン教という同じ母体から生まれた宗教だから、ブラザーといえばブラザーか。

バラモン教 (Brahmanism) という名前は後になってヨーロッパ人がつけた名前で、仏教以降に再編成されて出来たヒンドゥー教と区別するためにつけられた。

バラモン教

 

「なあ、賽銭はいくらがいいんだ?何かきまりはあるのか?」とリトアニア人がきくと、「五円玉ですよね!」とトルコ人がこちらを見て言う。

五円が神様や仏様とのご縁に通じることを知ってるなんて、この土耳古人、日本の文化をよく知ってるじゃないか。
この考え方は日本国内でどんどん進化していて、これを強化した「十分なご縁」で15円とか他にもこんな説がある。

「二重にご縁がありますように」で25円
「始終ご縁がありますように」で45円
「五重のご縁」で55円

ちなみに500円は「これ以上の硬貨(効果)はないから縁起が悪い」ということらしい。
でもこれはすべて言葉遊びで、まったく根拠はない。
出雲大社は「大切なのは神様に対して真摯な気持ちでお祈りをすること」と言っている。

 

さすがにトルコ人にここまでの理解(誤解)はないだろうけど、日本に3カ月いるだけで、「五円=ご縁」にたどり着くだけでも大したものだ。

日本文化を学ぼうとする真摯な姿に感動して「帰りに五平餅を買ってあげよう」と思っていたら、そのトルコ人、じつは「ご縁」という言葉を知らなかった。

じゃあ、なんでさっき「五円玉ですよね!」と喜び勇んで言ったのかたずねたら、アニメの「ノラガミ」で見たという。

 

 

「ノラガミ」とは夜ト(やと・やぼく)という神が主人公のアニメで、賽銭の5円をもらえば化け物退治からおむつ交換までなんでもするという物語。
とても便利な神さま「デリバリーゴッド」の夜トは仕事の前金で5円を受け取ったときに、「あなたにご縁があらんことを」と決め台詞を言う。

このトルコ人はノラガミが大好きでよく見ていたから、「賽銭=五円玉」のイメージがすっかり頭にインストールされてしまった。
*ただし、決め台詞までは覚えていない。
「いや、10円でも1000円でもいくらでもいいよ」と言うと、「マジで!」と驚くトルコ人に驚いたでござる。

外国人と初詣に行くと、いろんな発見があって面白い。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

仏教 目次

キリスト教 「目次」

イスラーム教 「目次」

ヒンドゥー教・カースト制度 「目次」

日本人の宗教観(神道・仏教)

 

2 件のコメント

  • アニメって恐ろしい(>_<) そこでアニメがでてくるなんて! 私「ノラガミ」知りません。 トルコ人のほうが詳しいでござる。 なるほど~初詣は宗教色がありますが文化と言えば文化ですよね。 風習だもんね。
    帰りに五平餅は食べなかったんですか? おいしいですよね♪

  • ボクよりアニメにくわしい外国人はよくいます。
    じつはノラガミもこのトルコ人から聞いて見たんですよ。
    外国人があれを見たら神道を知るいい機会になります。
    帰りはトルコ人がやってるケバブ屋があって、トルコ人同士ということで安くしてもらったからそれを食べました。
    初詣の屋台をトルコ人がやってるというのも自由ですね。

  • コメントを残す

    ABOUTこの記事をかいた人

    アバター

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。