フランスのジャーナリストで日本通として知られたロベール・ギラン(1908年 – 1998年)は、昭和初期の日本を見てこう思った。
日本ではすべて二重なのだ。和洋二通りの暮らし方・旅館とホテル・日本料理と西洋料理・和式洋式の建築(中略)しかもそのどれもがわれわれ西欧人を喜ばすためでも観光客目当てでもなく、日本人自身のためなのだ。日本はまさに『二重文明』の国である。
「日本絶賛語録 (小学館)村岡正明」
和風か洋風かの二者択一ではなくて、日本人はそれぞれの良さを活かしたり和洋折衷としてうまく組み合わせたりして共存させてきた。
それがこうやって外国人を驚かすこともある。
日本はまさに和と洋の「二重文明」の国で、新しさと古さの二重性でいまでも外国人を驚かせる、というかあきれさせることもあるのだ。
ここでは在日インド人の話に耳を傾けよう。
きょうは6月5日で、この日の記念日には「たまごの日」「ろうごの日」「みたらしだんごの日」といろいろあるのだけど、ここでは”こいつ”を取り上げたい。
2014年6月5日にソフトバンクグループが感情を認識できる世界初のパーソナルロボット「Pepper」を発表したことから、この日がペッパーくんの誕生日になっている。
ペッパーについてくわしくはここを見てくれ。
2014年12月1日にはネスレ日本のネスカフェにて接客を開始し、同年12月20日に公開された映画『ベイマックス』では、コンピュータの音声役で日本語吹替版に出演している。
ペッパーにはもうひとつの世界初があって、量産されたヒト型ロボットとしてもこれが初めてだ。
鉄腕アトムの国の国はリアルでもすごかった。
こんな感じでペッパーはいまいろんなお店で利用されていて、日本人にとっては全然めずらしくない。
でも、浜松の大学で学んでいたインド人留学生が銀行で初めてペッパーを見たときは、まったく予想していなかったから「マジかっ」と思わず立ち止まって、後ろに人に迷惑をかけたほど驚いた。
すぐにスマホで撮って「これが日本の銀行だ」とSNSにアップしたところ、かなりの反響があったらしい。
東京や大阪ではなくて浜松のような地方都市でも、銀行や病院、携帯ショップなどでペッパーが置いてある日本の普通が彼には衝撃的で、日本に対して来日前に持っていた「ロボット大国」のイメージは間違っていなかったことを確信した。
*ここまで疑いもなくペッパー、ペッパーと書いてきたけど、ひょっとしたら彼が見たのは別の人型ロボットかもしれない。まあどっちでも彼の驚きは変わらない。
「新幹線に乗って東京へ行ってスカイツリーから見渡せば、日本が世界で最先端の技術力を持つ国ということは誰でもわかる」と話す彼だけど、そんな先進的な日本でときどきインドより”遅れている”面があって不思議に思うこともしばしば。
彼がコンビニでバイトを始めたとき、ペッパーと同じく「マジかっ」と思ったのは店内にファックスが設置されていたこと。
いまのインドでファックスを使う人はいないし、現代のIT技術の発展を考えれば、彼の感覚ではこれは完全に時代遅れ。インドで現物を見たことがないと言う。
「日本人はまだこんなモノを使っているのか?」と疑問に思ったけど、狭いコンビニの店内に無駄なものを置くはずがない。
バイトをしていると予想以上に多くの人が利用していて、ファックスは店に利益をもたらすからいまでは納得している。
たしかにファックスがこれほど活躍する国は日本が地球最後かも。
日本の芸能事務所などではFAXで情報のやり取りをすることが多く、特に有名人が結婚・離婚・妊娠などの重大事項をプレスリリースする際などは、本人もしくは所属事務所がテレビ局や新聞社にFAXで送信することが多い。
日本は相変わらず「二重文明」の国。
世界最高レベルの技術力を持ったロボット大国であると同時に、インド人がビックリするようなアナログ天国でもあった。
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そりゃファクシミリは日本人の発明品ではないが、実質的に実用化して市場へ普及させたのは日本企業ですからね。前にも言いましたけど、日本人は漢字などアルファベット以外の文字(象形文字や表意文字)も使っていて、文書に挿絵とかすぐに入れますから、なかなかデジタル文字通信には置き換わりませんよ。
そもそも、今では簡単に日本語入力できるようになったとはいえ、PCではローマ字入力かな漢字変換、スマホやタブレットではフリック入力という風に、入力方法がまだ完全に統一されてないくらいですから。日常生活では、デジタル入力に比べて、紙に手で書く方がずっと早い場合はとても多いですよ。
また、FAXとは一種のスキャナーでもあり、一度FAXに通してしまえばデジタル変換されてしまうので出力はデジタルになります。入力をアナログ手書き方式にするか、最初からキーボードデジタルでやるか、その違いだけです。
与えられたスマホ画面の上のボタンを押すだけで、自分自身の手で文字も絵も描けないようなことをしていると、それは愚民化への道にまっしぐらでしょう。一部のエリートではなく、国民全体の平均的な教育・生活レベルとしては、インドに比べて日本の方が断然上回っていると思います。今後もそうであり続けるでしょう。
このコラムも長いでしょうから、既出しているかもしれませんが…
(一応、トップページでいくつか当てはまりそうなワードで検索はしてみた)
大阪に、金剛組という世界最古の企業があります。聖徳太子が四天王寺を建立する時に創業したのが578年。1400年以上の歴史のある会社です。残念ながら2005年に金剛一族の同族経営から高松建設の子会社に移っているようですが。
そして近くには日本一の高さの現代建設、あべのハルカスがあります。
金剛組の本社ビルの看板前から、あべのハルカスを望むことができて、最古と最先端を同時に捉えることができる。今や映えるフォトスポットとして外国人にも人気の場所になっています。
たしかにあのへんは古代と最新を感じられるところですね。