韓国・正義連とユン氏の「神聖な権力」、元慰安婦の一言で瓦解

 

いま韓国社会をカオス状態にしている尹 美香(ユン・ミヒャン)氏。

この人物は元慰安婦を支援する市民団体・正義連(日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯。ながっ)の元理事長でいまは国会議員をしている。

日韓の最大の外交問題だった慰安婦問題において、正義連の前身である挺対協(ていたいきょう)の時代からトップだったユン氏は、元慰安婦を後ろ盾に絶大な権力を握ってこの問題を左右してきた。

韓国社会においてユン氏が、人を超えて神のような影響力を手に入れたことは韓国人にとっても驚異的で、朝鮮日報が記事(2020年05月24日)でその背景を分析している。

慰安婦問題をよく知る研究者の中には、挺対協の覇権主義が今の悲劇を生み出したとみる人もいて、挺対協の問題点をこう指摘。

「慰安婦問題は全て挺対協を通さねばならない」という独裁の下で、小さな反対の声も認められなかったというのだ。慰安婦問題に対するさまざまな見方や解決策は即座に「親日」と見なされた。

尹美香はどのように「神聖な権力」になったのか

 

ここでいう「親日」とは裏切り者や売国奴のような意味で、自分たちのやり方に異を唱える人間がいたら、正義連は相手にこのレッテルを貼って黙らせる。
韓国社会で「親日」のイメージを付けられると、ネットで個人攻撃などをされてかなり大きなダメージを受けるから、例外的な勇者でなければみんなこれを嫌がる。

政治家でも宗教家でも人間なら批判されることはあるけど、それを許さないというのは「神聖な権力」を持っている証拠で、ユン氏を頂点とする正義連はまさにその集合体。

 

でも、人間が神聖な存在になったら危険だ。
そんなことは前から分かる人には分かっていて、2004年には女性学者のキム氏が「挺対協はおばあさんたちではなく、組織と活動家たちのために運動をしているのではないのか」と指摘した。

それはまったくもって事実。
正義連(挺対協)が元慰安婦を利用して国民や政府から金を集めたけれど、元慰安婦のためにはほとんど使われていなかったことが今では明らかにされている。

 

 

世界史で「神聖な権力」といえば、何といっても中世ヨーロッパのカトリック教会だ。
人びとに神の意思を伝える存在として、ローマにあるサン・ピエトロ大聖堂(上の写真)でヨーロッパ中のカトリック教徒を絶対的な力で支配する。

ローマ教皇をトップに神の代理人となったカトリック教会は自分たちへの批判を絶対に許さず、そういう人間がいれば「異端」と呼んで、異端審問(いたんしんもん)を行って拷問を加えたり殺害することもあった。

このへんの歴史に興味のある人はここをクリック。

1234年にはスペイン、1255年には北フランスへと広がり、アルザス、ラインラント全域に恐怖と怒りを引き起こした。その後、14世紀にはオーストリアに異端審問所が設置され、多くの異端者が迫害された。

異端審問

自分たちを正義の化身と考え、批判的な人間には「親日」のレッテルを貼って、社会的に抹殺する正義連とそっくり。

 

反対や批判を徹底的につぶすことで、カトリック教会の権力はより神聖化していく。

そんなカトリック教会が神聖性を奪われて、影響力を大きく落としたきっかけはカネだった。
16世紀にカトリック教会は「この札を買えば、あなたの罪が消えますよ」と言って信者に贖宥状(しょくゆうじょう)の販売を始める。

もちろん聖書にそんな記述はなく、これはカトリック教会が人びとをだまして金集めをしていただけ。
これを見たルターが怒り、カトリック教会に異議を唱えて宗教改革の炎がヨーロッパ全土に燃え広がった結果、カトリック教会に対抗できるほどの大きなキリスト教勢力、プロテスタントが生まれた。

カトリック没落の引き金となった贖宥状だけど、これはサン・ピエトロ大聖堂の建設費を集めることが目的だったというのはマメ。

 

 

正義連とユン氏の「神聖な権力」が崩壊したきっかけも金。

国民や政府から集めた億単位の金を「慰安婦おばあさんのために使った」と主張するけど、実際にはそんなことはなく、私利私欲のため使っていたことを内情をよく知る元慰安婦が暴露する。
元慰安婦を支援していることが世間の支持を集めて、正義連やユン氏の権力の源泉となっていたのに、その元慰安婦に否定されたことで「神聖な権力」が一気に崩れた。

例えるなら、中世のヨーロッパで神が地上に現れて、「カトリック教会は間違っている」と人びとに言ったようなもの。
こんなことをされたら、「いままでオレたちは騙されていたのか!」となってカトリック教会の権威が地に落ちるのは必然。

次々と湧き出るカネの横領疑惑に対して、「一切の不正はない」と正義連やユン氏は言うけど使用先は絶対に明かさない。

6月9日付の朝鮮日報の紙面を見てほしい。
これだけても、この組織がいままだけどれだけ腐敗していたのか見えてくる。

 

 

「尹美香はどのように「神聖な権力」になったのか」と全国メディアの分析対象となった時点で、もう正義連やユン議員の神聖は完全になくなった。

とはいえユン議員はいまや巨大与党の一員となって、政治的権力に守られた身だから簡単にはくたばらないはずだ。

中央日報がこう報じるけれど(2020.06.05)、ユン議員が検察の調査に協力するわけがない。

「国会防弾服」着た尹美香氏…不逮捕特権あっても検察の召喚調査に応じるか

韓国社会はとんでもないモンスターをつくり上げてしまった。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。