前回の記事で、韓国最大の発行部数を誇る朝鮮日報の「危機感」を紹介した。
次第に遠ざかる韓日、破局へ向かうのか
このコラム(2020/06/20)では、韓日関係がいま破局へ向かっていることを不安視しているのだけど、その原因は、2018年に日韓請求権協定をひっくり返して日本企業に賠償を命じた韓国最高裁との判決と、それによって生まれた国際法違反の状態を放置してきた文政権にある。
にもかかわらず、韓日両国政府が「相手に屈服を強要した。外交は存在しなくなった」と朝鮮日報は韓国側に都合のいい「どっちどどっち論」を展開して嘆くだけ。
韓日友好のために、日本に合意違反や国際法違反を認めてくれというのはさすがに無理。
いまの日韓関係にとって最大の危機は、元徴用工訴訟で原告側が差し押さえた日本企業の財産を現金化すること。
すでに裁判所が認めているから、8月4日を過ぎればそれが可能になる。
どこの国でも政府の仕事は国益、国民の生命と財産を守ることだから、日本企業の財産が不当に奪われる事態になったら、日本政府も「極めて遺憾」と言うだけじゃ済まなくなる。
韓国に対して、それなりの「報復」を取らざるを得なくなるはずだ。
日本としてはこれが本当のデッドラインで、これ以上は譲れない限界線だけど、朝鮮日報によると文政権や与党内は「資産の売却を既成事実化しているムード」で、具体的な対応策を取らずにまた放置する気らしい。
日本は公式には認めていないけど、いま韓国に対して行っている輸出管理強化には、元徴用工問題について、文政権から具体的で誠意ある対応を引き出す狙いがあるだろう。
半導体製造に必要な部品が手に入らなくなると、韓国側にとっては死活問題だけど、これは禁輸ではないから、ちゃんと手続きをすれば韓国への輸出は認められている。なんだかんだ言って日本は大人。
それに韓国側もこれまでの日本依存を改めて、脱・日本を掲げて部品の国産化や調達先を他の国に求めていて、それはそれなりに成功しているようだ。韓国の報道が正しいのなら。
でも、日本と韓国には超えられない壁があった。
解釈によって「日本に勝った!」という精神勝利は置いといて、現実のはなし、国際社会での信用力において日韓は比べ物にならないことは朝鮮日報も素直に認める。
輸出規制は「国産化」で乗り切ることができるかもしれないが、金融分野の「国産化」はあり得ない。基軸通貨の発券国(日本)との争いは最初から相手にならない。日本が金融カードを切るふりをしただけで、韓国は傷を負いかねない。
次第に遠ざかる韓日、破局へ向かうのか
毎日新聞の記事「日本はなぜ、韓国に一本取られたのか」(6/20)には、日本政府による「輸出規制」は日本企業にダメージを与えた「愚策」だったと書いてあるけど、こういう韓国紙の報道を見ると、あちらには勝者の余裕がまるでない。
ネット用語でいう「効いてる効いてる」という状態にしか見えないのが不思議。
韓国に一本取られたかもしれないけど、日本がその気になったら、国産化不可能の金融分野で圧力を加えて韓国経済の「命」を取ることもできる。
そんな「破局」を避けるためには文政権が自分の言葉を守るしかないけど、いまから資産売却を既成事実化しているようだからそれは無理っぽい。
朝鮮日報のコラムにも、文大統領については「無為・無策で一貫している」と的確に批判し、金融カードを切ることを含めて日本が報復をすれば「被害は企業や一般国民が被ることになる」と不安になっている。
でも、約束を守らず日本に被害を与えたのなら、それなりの報復を受けるのはやむなし、是非もない。
基軸通貨の発券国を怒らせるというのはそういうことだ。
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政府レベルでの日本人と韓国人の違い:即時撤回 vs 慎重確実
そりゃ、韓国経済を破滅させようと真面目に考えたら十分に可能でしょうけど、そんなことを日本政府がやるはずがない。いくら「嫌韓派」の国民が強く求めようともです。韓国政府とは違い、日本政府は、世界秩序に対してより責任の重い経済大国なのですから。より国際常識のある政府であって当然です。
ただし、韓国が日本側の「報復」を恐れるあまり過剰な反応を示して、社会が自壊・自滅してしまうかもしれません。それはもはや日本の責任じゃない。