日本の先生が生徒の髪をスプレーで黒染め←外国人はどう思う?

 

「学校のこの指導は適切だったのか、それとも行き過ぎか?」という問題はいつの時代になっても起こるらしい。

読売新聞の記事(6/30)

高1女子の髪は「色が目立つ」、女性教諭ら4人がスプレーで黒染め

ざっくり書くとこんな感じ。

・千葉の県立高校に通うある女子生徒は、中学時代に髪を脱色していた。
・学校側は何度もそれを注意していて、「頭髪検査を6月1日に実施する」と生徒全員に伝える。
・当日、女子生徒の髪の色が目立っていたことで、教師は「8日までに直すように」と期限をもうけて言い渡す。

その後の教師の行動がいま問題視されている。

8日には、黒染めが不十分だと改めて指導。翌9日、女性教諭2人を含む教員4人が校内で、スプレーを使って女子生徒の髪を染めた。10日にも再び黒染めが不十分だとして注意した。

女子生徒はこのあとから欠席や遅刻をするようになった。

 

さて、これにネットの反応は?

・いまだにこんな昭和チックな高校あんのかよ
・レディーガガにでも訴えたらアホな教師どもを世界的に吊るし上げてくれるんじゃない?
・どうでもいい事に心血注ぐよな
・黒くするまで停学で良いだろ
・昭和時代はニュースにもならない日常風景でしたな
・別に髪なんてピンクでも緑でも好きにすりゃいいと思うがなあ
・いまどき、こういうところもあるんだなw
普通に傷害罪レベル。

 

学校の校則には「脱色や染色は禁止」という規定があるけど、県教委によると「どの県立学校でも、地毛を染める指導はしない方針」を出しているから、今回の学校の指導は後者に違反している。
*教師がスプレーで髪を黒く染めたことについて、県教育委員会は「本人の同意を得ている。適正な指導だった」と言うけど、生徒本人には「強要された」と主張が食いちがう。

女子生徒にも先生にも責任はあるのだけど、生徒が学校に来なくなるというのは別問題になるから、学校への風当たりは厳しそうだ。

 

 

この日、日本に住むトルコ人とメールでやり取りをしているときに、この出来事について意見を聞いたらこんな返事がきた。

I see, I often see in manga that its prohibited to dye your hair, well it is early for children for sure but if their guardian doesnt say anything I guess it should be fine, there is no dye restriction in Turkey and it’s very rare to see children dye their hair.

髪染めを禁止するのは(日本の)マンガでよく見た。
子供たちがそうするのは早すぎると思うけど、保護者が何も言わないのなら「良し」とするべき。
トルコの学校では脱色や染色を禁止する規則はないし、子供が髪を染めるのは本当にまれ。

ということでこのトルコ人にとって、4人の先生がスプレーを使って女子生徒の髪を黒く染めたというのはもはやマンガやアニメの出来事。

 

 

アメリカとヨーロッパでの未成年者に対する体罰の合法性

「赤」は学校や家庭での体罰を容認、「青」は学校での体罰だけを禁止、「緑」は学校でも家庭でも体罰は禁止されている。

 

くわしいことは「学校内における体罰#各国の状況」をご確認あれ。

 

知人のイギリス人女性が日本の高校で英語を教えていたときにも今回と同じことがあって、「あり得ない!あれは指導ではなくて体罰だ!」と怒っていた。
イギリス全土は別として彼女が知っている範囲では、教師が生徒に罰をあたえるときは段階がしっかりと決められていて、事前に生徒にも周知されている。

具体的な内容は忘れたけど、乱暴な言葉づかい、暴力行為、不純異性交遊(昭和感!)、飲酒や薬物使用などを生徒がおこなったら、ほぼ自動的に休日の外出禁止、停学、退学などの処分が下される。
そのルールが嫌なら生徒は入学を拒否すればいいし、同意した以上はそれを守る義務がある。
だから基本的には、教師が事前のマニュアル通りにことを進めても生徒は文句を言えないし、社会的な問題にもならない。

この「イギリス方式」を今回のケースに当てはめると、入学する前に「3回注意しても髪の色を元にさなかったら停学」といったルールをきめておいて、その同意を条件に生徒の入学を認めておけばよかった。
これは先生を守ることにもなる。
でも、罰則としてスプレーでの黒染めはさすがに無理だろうけど。

 

いまネットで調べてみたら、あるイギリスの小学校では問題行為をした子供にはまずは「注意」をして、それでもダメなら「警告」を出す。
「警告」しても子供の態度が変わらなかったら、「5分間のタイムアウト(教室から離れる)」を命じられてどこかの部屋に行く。
次の段階はひとつの授業時間まるごと「タイムアウト」で、5番目は一日中タイムアウトになる。

 

 

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日本はどんな国? 在日外国人から見たいろんな日本 「目次」

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2 件のコメント

  • >入学する前に「3回注意しても髪の色を元にさなかったら停学」といったルールをきめておいて、その同意を条件に生徒の入学を認めておけばよかった。
    >これは先生を守ることにもなる。
    >でも、罰則としてスプレーでの黒染めはさすがに無理だろうけど。

    根本的にはそういう問題ではないと思いますね。
    その先生たちは、もしかすると大事になりそうな思い切った行動を取る前に、「誰かに相談してみる」ことをなぜしなかったのでしょう。自分たちだけで考えて決めたことが絶対に正しいのだと、どうしてそのような「狭いものの見方」的な考え方をするのでしょう。
    企業や官庁や政治家の不祥事と同じです。タコツボのように自分たちの世界を閉ざして世の中の目を届かせないようにして「身内だけの価値観」に基づいた行動を取れば、必ず判断を間違えますよ。学校の生徒達だけでなく、日本の世の中に普遍的に存在するいじめだって、それと同じような価値判断の感覚が原因です。
    広い視点を持って、世の中の色々な人達とつきあい、外国人ともコミュニケーションをはかり、これからの世の「常識」を身につけるようにするべきですね。

    おや、このブログ主の主張することと同じ路線になってしまいました。

  • 学校内で学年主任や校長などと話し合ったと思いますよ。
    県教委に相談したかは分かりませんが。
    まあ学校内の常識でやってしまったのでしょう。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。