ハッキリ言って今の日本で、中国の印象は良くはない。
でも中国には、反日を抜きにして日本を冷静に見て、優れたものは学ぼうとする面もある。
2016年11月7日のサーチナに、「中国は、日本の学校教育に学ぶ必要がある」という記事があった。
中国メディアが示す「日本の学校教育の優れた点」から見えてくるもの
この中国紙では、日本の教育が素晴らしい点として、最初に「礼儀を重視すること」をあげている。
まず、「知識より前に礼儀から始める」点だ。学校ではまず、子どもたちに他人とのコミュニケーションや、他人へのリスペクト、動物や自然に対して優しく接すること等を学ばせるとした。
あとは、「学校では児童や生徒が自ら清掃を行う」ことや「大部分の小中学校で給食が行われている点」をあげている。
それは今回の記事とは関係ないから、興味がある人はこの記事を見てほしい。
礼儀とは、相手に敬意をしめす行為のこと。
その点、日本人は世界からの評価が高い。
だから、世界のベストツーリストに選ばれたこともある。
「世界ベストツーリスト」の日本人が、外国でしてはいけないこと。
でも、宗教に対する知識不足から、世界の人を怒らせてしまったこともあった。
セネガルの小(中?)学校
今の日本で「あなたは、何の宗教を信じていますか?」と質問されたら、一番多い答えは「無宗教です」だろう。
たいていの日本人は宗教に関心がなくて、あまり宗教のことを知らない。
知らなくても、特に困らないから。
多くの人にとっては日常生活と宗教は関係がないし、日本では宗教のことを知らなくても生きていける。
日本が鎖国をしていて、自給自足ができたらそれでも良かった。
でも、今は国際化の時代。
日本にやってくる外国人は、初めて2000万人を超えた。
海外旅行にでかける日本人も多い。
イスラーム教にも縁がなかった人でも、「関係ない」と言うことができなくなってきている。
浜松市のスーパーにあった「ハラルフード」
イスラーム教の戒律に沿った食べ物で、豚肉やアルコールが禁止されたムスリムでも安心して食べることができる。
前の記事で書いたけど、食事や地下鉄でのマナー違反ならまだいい。
でも、宗教に関することはそうはいかない。
宗教のタブーに触れること、マナー違反や考え方の違いではとてもすまなくなる。
マナー違反なら相手を不快にさせるだけど、タブーを犯したら激怒させてしまう。
でも、「礼儀を重視すること」に価値をおいているはずの日本人が、イスラーム教のタブーに触れてしまって国際問題を起したことがある。
今回と次回に、そのことを紹介したい。
一般常識として、何をしたらイスラーム教徒を強く怒らせてしまうかを知っておいてもいい。
知らずにしてしまうと、自分が大変なことになる。
イスラーム教には、クルアーン(英語読み:コーラン)という聖書がある。
イスラーム教徒にとっては神(アッラー)の言葉で、とても神聖なもの。
これを汚したり、冒とくするような行為は絶対に許されない。
コーラン(クルアーン)
イスラーム教の根本聖典。
アラビア語で「音読されるもの」を意味する。天使ガブリエルによってムハンマドに啓示された、神の教えの記録とされる。
114章からなり、第3代正統カリフのウスマーンの時代に現在の形にまとめられたとされる。(世界史用語集 山川出版)
にもかかわらず、2001年の富山県で「コーラン破り捨て事件」が起きた。
20代の日本人女性が、この神聖なクルアーン(英語:コーラン)をはさみで切って捨ててしまったのだ。
この女性がこんなことをした動機は、ある人間に恨みを持っていたという個人的なもの。
その恨みから、こんな嫌がらせをしたという。
女性はパキスタン人が経営する中古車販売店の前で、クルアーンをはさみで切って破り捨てた。
イスラーム教のタブーを犯したとなれば、これは個人の問題ではすまされない。
「コーランはただの本じゃない。私たちの命だ」と日本国内のイスラーム教徒が激怒して、富山に殺到することとなった。
その時の緊迫した状況を読売新聞の記事が伝えている。
この日は、県内だけでなく、関東、近 畿、中部、など全国各地から集結。イラン、イラク、アフガニスタンなど他のイスラム教国の人も集まった。
さらに、在日パキスタン大使館の書記官や、在京の パキスタン日刊紙記者も駆け付け、国際問題に発展する恐れも出てきた。県警などに捜査要望 コーラン破り捨てたのはだ?イスラム教徒300人が集結 県庁正面玄関では気勢
この20代の女性は、こんな大きな事態になるとは想像していなかっただろう。
この事件がボクの印象に残っているのは、カレー屋で働いていたインド人からこの話を聞いたから。
「日本とインドの違いは何ですか?」
と、ボクがそのインド人に聞いたところ、彼がこの「富山コーラン破り捨て事件」をあげていた。
「こんなことは、インドでは考えられない。インドでヒンドゥー教徒がクルアーンを破り捨てたら、インドの各地で暴動が起こって何百人も死んでしまう」
そんなこと言っていた。
日本人がインド行くと、驚くことばかり。
でも逆に、インド人が日本にきたら「信じられない!」ということがたくさんある。
日本では、宗教の争いが起きず平和に過ごすことができる。
それはとても良いことだけど、長所は視点を変えれば短所にもなる。
宗教に対する鈍感さもその一つだ。
こちらの記事もいかがですか?
「Why did you come to Japan(You は何しに日本へ?)」は失礼な質問?
コメントを残す