【修羅場の語源】阿修羅とインドラ神(帝釈天)の戦闘シーン

 

先日、モデルの小倉優香さんが生放送中のラジオ番組で、とつぜん「辞めさせてください」と番組降板を直訴して、共演者をあわてさせる出来事があった。(らしい)

事前に何も知らなかったケンドーコバヤシさんは驚いて、「申し訳ないけど、事務所の方で…。我々には何の権限もない」と言うのがやっとだったとか。

そのあとの展開はスポニチアネックスの記事(2020/7/31)にある。

終了後、あまりにも勝手な行動に番組スタッフが激怒。同局関係者によると、「小倉さんのマネジャーは取り乱して号泣。収拾がつかずに修羅場だったと聞きました」という。

小倉優香 ラジオ生放送中に「辞めたい」スタッフ激怒 降板不可避

 

ここで取り上げたいのは、小倉さんがつくり出した「修羅場」。
激怒・号泣・取り乱す・収拾がつかなくなる。そんな場を目の当たりにしたとき、日本人はこう表現する。
ではこの修羅場とは、本来はどんな場所だったのか?
それをこれから書いていくので、すでに知ってる人はここで離脱しちゃってください。

 

 

この白いゾウに乗った赤い神さまはインド神話にでてくる雷神・軍神のインドラで、バラモン教では最高神になっている。
巨大なヘビの化け物「ヴリトラ」を倒したインドラは無類の強さを誇り、神々の頂点に立つ存在だった。
*この神が仏教に帰依して帝釈天となる。

インドラについてはこの記事をどうぞ。

ヒンドゥー教の軍神インドラ:インド人と日本人の見方

 

この英雄神インドラに戦いを挑み、ほぼ互角に渡り合ったのが「修羅場」の主人公である阿修羅。

 

中国・敦煌の壁画に描かれた阿修羅(6世紀)

 

悪神で戦闘神でもある阿修羅の攻撃力はすさまじい。

この阿修羅とインドラ(帝釈天)がぶつかって、激しい戦闘がおこなわれた場所を「修羅場」と言う。
これはインド神話や仏教の話で出てくる。

右端に三面六臂、赤色身で日月を持つ阿修羅が軍勢を率いて盾を並べて布陣している。これに対し左端の帝釈天は白象に乗り、陣を構える。中に大海があり三竜がおり、海の中で帝釈天軍と阿修羅軍が戦うという絵図である

修羅場

 

いまの日本人の日常生活では、浮気現場に妻や夫が入ってきたり、生放送中に「ここで言います。辞めさせてください」と言ったりすると「修羅場」が現出する。

そんな場面は世界中にあって、例えばこれはベトナムで現れた修羅場。

 

 

 

でも神話の戦いと違って、人間界の修羅場ではどちらかが一方的にやられることがよくある。

さてインドラと戦った阿修羅はその後どうなったか?
阿修羅は心を入れかえて仏教に帰依して、帝釈天と同じ仏法の守護者となりましたとさ。
これで修羅場はなくなり、めでたしめでたし。

 

仏教の守護神となった阿修羅(興福寺)

 

さらに、悪鬼も逃げ出すような勢いでインドラと戦う阿修羅の様子から「阿修羅の如(ごと)く」という言葉が生まれた。
グランブルーファンタジーの「修羅の如く」も阿を省略しただけで同じ言葉。

そして戦闘神・阿修羅の住む、争いや怒りが永遠につづく世界を「阿修羅道(修羅道)」という。
仏教では人が亡くなると、天道・人間道・阿修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道の6つの世界(六道)に生まれ変わると言われる。
人間道のワンランク下が阿修羅道だから、六道の中では「中の上」になる。

 

これはまったく知らなかったけど、若者言葉かネット用語で「修羅い」という言葉があるらしい。
これは修羅場を語源とする新しい表現で、状況が混乱して何が何だか分からなくなるとこの言葉を使う。
「小倉さんのマネジャーは取り乱して号泣。収拾がつかずにマジ修羅い」というふうに使うのだと思う。

古代のインドラと阿修羅との戦闘シーンから、本当にいろんな言葉が生まれた。

 

いま偶然、スポニチアネックスのこんな記事(7/31)を発見。

古舘伊知郎 生音楽番組での一番の修羅場明かす「23回も放送禁止用語 寿命が3年縮まりました」

「俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる」なんてアニメもあるし、日本人はこの言葉が大好きなのか、それともよくそんな状況をおこすのか。

 

 

仏教 目次

キリスト教 「目次」

イスラーム教 「目次」

ヒンドゥー教・カースト制度 「目次」

日本人の宗教観(神道・仏教)

【世界よ、これが日本の仏教だ】中国人とイギリス人に衝撃!

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。