はい、クイズから始めます。
次の日本人はだれでしょう?
「外国のもの一切を大あわてに同化しようとした時代に、かれがいつも用心深く、控え目に出た点も、かれの功績である。彼こそは疑いもなく、心からその国家と国民の繁栄を念じていた君主であった。そしてかれの生涯が、めずらしい幸運に恵まれていたように、かれの治世は、その国家にとって、まれに見る幸運の時代であった(ベルツ 明治時代)」
「日本絶賛語録 小学館」
答え:明治天皇
明治天皇(ウィキペディア
前回、欅坂46が世界で「大炎上」していることについて書いた。
この騒動のきっかけは、欅坂46がハロウィンコンサートで、ナチス・ドイツの軍服に見える衣装を着ていたこと。
これが海外にも伝わって、アメリカのユダヤ系人権団体「Simon Wiesenthal Center」が、所属会社と秋元康氏に対して謝罪を求める国際問題になってしまった。
デーリー・ミラー紙の記事(2016/10/26)では、イギリス人の視点から ナチスと欅坂46の衣装を比較している。
この画像が分かりやすい。
Japanese girl band cause outrage by dressing in NAZI-style outfits
でも実は、イギリスのヘンリー王子(通称:ハリー王子)も、過去に同じようなことをしている。
2005年の仮装パーティーで、ナチス・ドイツの制服を着ていたのだ。
当然これも大問題となった。
こんなことがヨーロッパで許されることではない。
ナチス・ドイツを肯定するというのは、「私は人種差別主義者です」というようなもの。
再び世間に出てくるためには、自分が犯した行為に対して謝罪や反省をすることが求められる。
日本語でいえば、「禊(みそぎ)」が必要となる。
日本では、スキャンダルを犯した芸能人や不祥事をした政治家が、また元の舞台に復帰するためには、禊をしないといけない。
世間を騒がせた芸能人や政治家がおこなう禊は、「自分がしたことをじゅうぶんに理解し反省して、生まれ変わりました」ということを何らかの方法で世間に示すことだ。
そうしたら、人びとがその人を受け入れてくれる。
世間から「復帰が早ぎる」と言われるのであれは、まだ禊をすませていなかったことになる。
ベッキーは、禊にずい分時間がかかっているみたいだけど。
これは、お寺の「卍」。
ハリー王子がしていたナチスのかぎ十字とは、向きがまったく違う。
ハリー王子にとっての「禊」とは、「ナチスとホロコーストについてしっかり理解すること」だった。
父チャールズは、ヘンリーと兄ウィリアムに、ドイツが国民の支持の元で起こしたホロコーストを理解するため、映画「シンドラーのリスト」を鑑賞することと、アウシュビッツを訪問することを命じた。
(ウィキペディア)
ハリー王子がナチスの仮装をしてしまったのは、知識や認識不足が原因だったとまわりの人が判断したのだろう。
でも、単に知識不足だというのならまだいい。
これが、「どういうものかを知っていたけど、あえてそれをした」となると人種差別が動機になってしまう。
「知らなかったから、それをしてしまった」ということであれば、事実を知ればいい。
だからハリー王子は、シンドラーのリストを見たりアウシュビッツ収容所に行ったりして、ナチスやホロコーストについて知ることを父親から命令されたのだろう。
ヘブロン(イスラエル)
警備にあたるユダヤ人の兵士
以前の記事でも書いたけど、イギリスの学校では修学旅行でアウシュビッツ収容所に行くところがある。
友人のイギリス人は、「ヒトラー・ナチス・アウシュビッツ収容所(ホロコースト)」のことはドイツの問題ではなくて、イギリスやヨーロッパ、さらには人類の問題と考えていた。
ボクが中学・高校生のときにナチスやホロコーストについて習った記憶はあるけど、内容は薄かった。
今の日本の学校ではどうか知らないけれど、
たとえばボクは、ナチスがユダヤ人を虐殺したこと(ホロコースト)は知っていたけど、なんで虐殺したのかという理由については知らなかった。
何でナチスはユダヤ人を絶滅しようとしたのか?
これは、ホロコーストが起きた年代や殺された人の数を記憶することよりも、大事なはず。
ホロコーストはあまりに大きな出来事だから、いろいろな理由がある。
だから、そのうちの1つを紹介したい。
このユダヤ人絶滅という「ユダヤ人問題の最終的解決」を決定したのはヒトラーだけど、これに深く関わっていた人物に「アイヒマン」がいる。
アドルフ・アイヒマン(ウィキペディア)
ホロコーストに深く関与し、指揮的役割をしていた人物。
アイヒマンはユダヤ人を「一人残らず殺さねばならない理由」をこう言っている。
ユダヤ人は、ドイツ国民の永遠の敵であり、殲滅(せんめつ)し尽くさねばならない。われわれに手のとどくかぎりのユダヤ人はすべて、現在のこの戦争中に、一人の例外もなしに抹殺されねばならない。
今、われわれが、ユダヤ民族の生物学的基礎を破壊するのに成功しなければ、いつかユダヤ人がわがドイツ国民を抹殺するであろう
(アウシュヴィッツ収容所 講談社学術文庫)
もちろん、これだけがホロコーストの理由ではない。
ぜひ調べてみてほしい。
なお、先ほどのアイヒマンは、アルゼンチンに逃亡してひっそりと暮らしていた。
けれど、イスラエルが執念の捜査でアイヒマンを見つけ出して処刑している。
この映画のような出来事もウィキペディアに書いてある。
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