日本は伝統と近未来が出会う国:外国人に増上寺が人気の理由

 

フランスの人類学者レヴィ=ストロースは大の親日家で、何度も訪れた日本をこう表現した。

民族学者、文化人類学者として私が非常に素晴らしいと思うのは、日本が、最も近代的な面もおいても、最も遠い過去との絆を持続し続けていることができるということです

「日本賛辞の至言33選 (ごま書房)」

1993年に勲二等旭日重光章を授与されたレヴィ=ストロース

 

トルコが西洋と東洋の出会うところなら、日本は伝統と未来が交わる国。

数千年の歴史を誇る中国には建物や芸術品などすばらしい文化があったけど、戦争や文化大革命などの混乱で多くが破壊されてしまった。
それで中国人が日本に残る伝統文化を見て、「でもルーツはうちらだから」と嫉妬のようなことをつぶやいたという記事をこのまえ書いた。

【中国人の“嫉妬”】伝統文化で日本と比較して何を思う?

 

世界最古の木造建築物・法隆寺は奈良にあるし、伊勢神宮や京都などへ外国人を連れて行くと「保存状態がすごくいい」と感心する人が本当に多い。

日本政府観光局(JNTO)が外国人に向けて作った動画でも、日本のそんな魅力を全面的にアピールしている。

 

 

友人のリトアニア人(ヨーロッパの国)は京都で清水寺や北野天満宮などの神社仏閣めぐりをしたあと、東京に行ってチームラボの展示を見て、「日本は伝統と未来が出会う国だね」といった感想を話していた。

また東京観光した中国人は、秋葉原でメイドカフェやゲームソフト探しを楽しんだあと、明治神宮に行ったときのギャップがすごく印象的だったと言う。
日本のポップカルチャーは色と音と光の洪水だけど、神道の世界は静寂と清潔につつまれている。
まったくの別世界がすぐ近くにあるのがとても日本らしい、とその中国人は話していた。

 

日本を「伝統文化と近未来の共存する国」ととらえる海外メディアや外国人はたくさんいて、そんな人たちがその象徴としてよく取り上げるのが東京にある増上寺。

14世紀に聖聡(しょうそう)によって建立された増上寺は、江戸時代になると徳川家の菩提寺として栄えた。
まーくわしいことはホームページを確認してくれ。

17世紀中頃の増上寺は、広大な寺有地に120以上の堂宇、100軒を越える学寮が甍ぶきの屋根を並べる、とても大きな寺でした。
当時は、3000人以上の学僧のお念仏が、全山に鳴り響いていたと言われています。

増上寺について

歌川広重の『名所江戸百景』に描かれた増上寺

 

 

 

このお寺が訪日外国人に人気のある理由は、すぐ後ろに東京タワーがそびえ立っているという恵まれた立地にある。
インスタ映え(instagrammable)をよろこぶ気持ちは万国共通。
この構図が「伝統文化と未来が同居する日本」をよく象徴しているから、写真うつりの良い(フォトジェニック)な場所として、日本を旅行する外国人がよくSNSに投稿している。
京都・東京、秋葉原・明治神宮と違って、ここなら伝統文化と近未来を一枚の写真に収めることができる。

 

 

 

左手前に増上寺がある

 

トリップアドバイザーで外国人の口コミを見ると、東京タワーにからめて評価する人がよくいる。

・A must visit in Tokyo.
It is just below Tokyo Tower which makes it a great photo spot.

・The temple with the backdrop of the Tokyo Tower is well worth visiting.

・Tokyo Tower view in the background was cool also.

日本らしい所に行きたいと言う外国人がいたら、増上寺はおススメ。

「非常に素晴らしいと思うのは、日本が、最も近代的な面もおいても、最も遠い過去との絆を持続し続けていることができるということ」というレヴィ=ストロースの気持ちを感じられる。と思う。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。