【中国人の“嫉妬”】伝統文化で日本と比較して何を思う?

 

SNSを徘徊したところ、あるグループで中国人がこんな質問を投下したのを発見。

 

 

機械翻訳だから精度はイマイチだけど、「日本には茶道、刺繍(刺しゅう)、書道といった伝統文化があるの?それともなくなった?」みたいなことが書いてある。

いやいやいや。
どれもふつうに残っているけど、この中国人は日本の何を見てこう思ったのか?

それはいいとして、この質問に寄せられた中国人のコメントを見てみよう。

・好像比中國還要完好的保存了這些傳統文化
・沒文革沒有丟失

伝統的な文化は、中国よりむしろ日本のほうがよく保存されているという。
それに中国は文化大革命で多くの伝統文化を失った。

中国では王朝が滅びるときに都が破壊され、燃やし尽くされることがあるから、そのときに失われた職人や伝統文化は多いはず。
それに対して日本では革命が一度も起こらず、古代から天皇家がそのまま続いているから、その点では伝統文化がよく残されているかもしれない。

文化大革命時の破壊活動についてはこれをご覧あれ。

陶磁器や金魚や月餅など、古い歴史を持つ商品の生産や販売まで「旧文化」とされ、職人や関係者は帝国主義者として吊るし上げられた。芸術性よりも実用性が重視され、景徳鎮の窯や浙江省の養魚場は破壊された

文化大革命・旧文化の破壊

博物館の職員は文化財を破壊されないように、毛沢東の肖像画や語録を貼り付けたという。
それがあると、紅衛兵も手が出せなかったようだ。

 

北京の天安門広場に集合して、毛主席語録を掲げる紅衛兵(1967年)

 

ほかにこんなコメントも。

・你看看安倍的書法和習的書法,就知道了。

安倍首相と習近平国家主席の書いた文字を見れば分かる。

2人の筆跡はそんなに違うのか?
と思って「安倍首相 習主席 筆跡」で検索したら、けっこう衝撃的な画像が出てきた。
著作権の関係でここには載せられないけど、安倍首相の達筆に比べると周主席の残念さが際立つ。2つを並べられると、中国共産党の主席としては屈辱的かも。
この比較は香港のネットで話題になって、「これは相当恥ずかしい」「日本が真の中国文化の継承者だな」といったコメントがあったらしい。

 

今回の中国人のコメントでは、日本の方が伝統文化がよく残されていることや世界的に有名であることは認めつつも、「でもその起源はわが中国にある!」と指摘する人が何人かいた。

でもそれはどうだろう?
例えば今回出てきた茶道を取り上げると、喫茶の習慣は中国から伝わったけど、茶道は日本で生まれた文化だ。畳も日本生まれで中国由来ではない。
だから起源の定義しだいで、このへんはいろんな解釈ができる。
それと、同じ主張をする人が他の国にもいるから面倒くさい。

でもこうやって中国の人たちは日本に対して、「伝統文化の宗主国」としてのメンツをなんとか保とうとしているのだろう。
起源や由来を強調するのは嫉妬の裏返しでもある。
魯迅はそういうのを「精神勝利」と呼んだ。

 

 

ところで、いま中国の学校では書道を習わないのか?

そんな疑問がわいたからボクがそれを質問すると、ある中国人がこんなコメントをくれた。

「習わないです、書道は塾などで習えますが、学校側は勉強しか教えないです、それに部活などもありません、中国の学生は大学まで勉強に一筋です。」

中国の学校すべてがそうか分からないけど、茶道部や書道部などの部活動はないようだ。

では、中国の若い人たちはどうやって中国文化を体験するのか?という質問の答えがこれ。

「弓道と茶道など、中国にはもうないです、中国の国文は主に50%は中国古代の詩や文章などで、これを習えば体験は無理だけど、想像ぐらいは出来ます」

どうやら中国で伝統文化というと、職人技の物より昔の中国人がつくった漢詩がメインらしい。

ただ近年では中国が経済的に豊かになって、むかしの文化を復興しようとする団体がだんだん増えいるという。
この中国人いわく、現在の中国はこんな感じ。

「中国には(倉廩實而知禮節,衣食足而知榮辱)ということわざがあります、今の中国はまさにその通りです。」

日本語でも似たような言葉があったな。ひょっとして…、と思って調べたら、「衣食足りて礼節を知る」のことわざ起源が「倉廩實而知禮節,衣食足而知榮辱」だった。

これは中国の古典「管子」にある、「倉廩(そうりん)実(み)ちて則ち礼節を知り、衣食足りて則ち栄辱(えいじょく)を知る」という言葉が元ネタ。
モノが豊かになり不自由がなくなって、初めて礼儀に関心を向ける余裕がでてくる。着るものや食べるものがあって、名誉や恥というものを知る。

そうか。
じゃあこれから中国人がルネッサンス(文化の復興)に成功すれば、心に余裕が生まれて「日本の伝統文化の起源は中国にある!」と言わなくなるのだろう。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。