「中華人民共和国」の7割は“日本語” 日本由来の言葉をご紹介

漢字が日本へ伝わったのは、4世紀後半から5世紀のころと考えられている。ベトナムや朝鮮半島でも漢字は使われていたが、歴史の中で消えていき、今では、漢字を日常的に使用している国は日本と中国しかない。
「漢字は中国人がつくった文字」ということは誰でも知っているが、逆に「日本人がつくって中国に伝わった漢字」というものもある。

以前、中国人の日本語ガイドからこんな話を聞いて驚いた。

「中国に『働』なんて漢字はありません。『人が動く』と書いて『働』になるんですね。日本人らしい考え方だと思います」

彼は日本語を学んでいたから、「畑」や「峠」といった漢字も知っていた。これらは日本人が考案した漢字だから、中国語には存在しないのだ。
中国人が日本語を学んでいると、いろいろな日本製の漢字に気がつく。それである中国人から、こんな質問をされた。

「『峠』っていう漢字は必要ですか? 『山の上と下の間にあるところ』という意味は分かりますけど、『山頂』という言葉だけあればいい気がします」

中国には「峠の茶屋」という文化がないらしい。
先ほどの中国人ガイドは日本語を勉強していて、「幹部」という漢字についてビックリしたという。

「幹部という漢字は、今の中国で本当によく使われています。だから、これが日本から伝わった漢字だと知ったときは驚きました!」

 

「文明」も日本から中国に伝わった言葉だ。

 

幕末や明治時代に、日本人は西洋から入ってきた言葉を次々と日本語にしていった。
たとえばこの時代に、日本人は英語の「freedom」を「自由」、 「right」を「権利」と訳している。
作家の司馬遼太郎氏によると、それをしたのは福沢諭吉だ。

近代思想は自由と権利というふたつの言葉の概念によって集約されるであろう。この二つの言葉を英語から訳してあたらしい日本語として加えたのは、福沢諭吉である。

「幕末における近代思想(司馬遼太郎)」

*freedomを「自由」と日本語訳したのは、福沢諭吉ではないという説もある。しかし、「自由」という言葉と概念を日本中に広げたのは福沢諭吉と考えていい。

 

 

幕末〜明治時代の冥土、おっと、メイド・イン・ジャパンの言葉は洪水のように中国社会に流入し、今では中国人すら分からないほど中国語に溶けこんでいる。
そうした現状をふまえて、別の日本語ガイドがこんな話をした。

「中国で反日感情が高まると、中国の新聞が『日本製品を使うな!』と不買運動を呼びかけることがあるんですよ。でも、あいつらはバカです。文明・経済・共産主義・社会主義といった言葉は全部、日本製の言葉なんです。これがどういうことか、分かりますか?」

「日本製の言葉を使わなかったら、中国の新聞は記事を書くことがむずかしくなる。ということですか?」とボクが聞くと、彼はこう言った。

「むずかしくなるというより、日本の言葉を使わなかったら、記事を書くことができなくなります。自分たちは日本の言葉を使っていながら、他人に日本製品のボイコットを呼びかける。そういう中国メディアはバカなんです。日本製品の不買運動をしたら、困るのは中国人です。新聞は理性的になって、『ボイコットをするな』って書かないといけないのに、不買をあおっているんですから、話になりませんよ」

なるほど。

ちなみに、日本人がつくった言葉を使っているのは韓国も同じだ。

日本人が作った西洋語の訳語である「哲学」も「科学」も「資本主義」も「共産主義」も「帝国主義」も、みんな韓国で使われています。

「日本の驕慢 韓国の傲慢 (呉 善花)」

 

いつも使っている言葉はもともとは日本語だったと知って、驚く中国人は今もいる。
Record chinaにそんな記事(2017年7月28日)があった。

知らなかった!「警察」という単語も日本語由来だったのか!―中国ネット

「警察」、「社会」、「幹部」、「通貨膨張」、「神経過敏」、「経済学」、「不景気」、「最後通牒」など、現代中国語の中には日本語由来の単語が800以上もあるという。
それにはこんな背景がある。

清王朝末期に強制的に開国させられて以来、諸外国との交流が多くなり、特に日本との交流が増え、日本から大量の漢字を使用した単語が流入してきたという。

 

ちなみに、「警察」という言葉には「まず警戒をし、それから調べる」という意味合いがあるという。

 

 

これは中国人に言っていいか迷うのだけど、実は「中華人民共和国」の7割は日本語(日本漢語)だ。
NHKの「歴史に好奇心」で明治大学の加藤徹教授がこう話している。

一九四九年に成立した「中華人民共和国」という国名のうち、純粋の「中国製漢語」は「中華」だけで、「人民」も「共和国」も日本から輸入した日本漢語です。実際、建国直前にこの国名を決めたとき、毛沢東らは国名の三分の二が「日本語」になってしまうことに頭を抱えました

「日中二千年 漢字のつきあい (日本放送出版協会)」

 

頭を抱えたが、ほかに良い案が思い浮かばなかったため、結局、「中華人民共和国」に落ち着いたという。
韓国紙・中央日報のコラムにも同じことが書かれている。(2001年07月05日)

「中華」は中国製だが、「人民(people)」と「共和国(republic)」は日本製単語だ。明治維新(1868年)を前後とし、西欧の文物と思想を率先して輸入した日本の知識人らの血のにじむような努力が、漢字宗主国の国名にまでに影響を及ぼしたわけだ。

造語後進国

 

日本語由来の中国語は、「商店街、看板、现充(リア充)、残念、腹黑(はらぐろ)、宅/宅男/宅女/阿宅(おたく)」などたくさんあるのだ。
個人的には、「紫陽花(あじさい)」という言葉が中国語だったのは意外だった。

梅雨と紫陽花(あじさい)は、日本人と中国人のコラボレーション。

約1600年前、日本に漢字が伝わり、近代では日本から周辺国へ伝わった。

 

おまけ

中国の古い街の様子

 

 

こちらの記事もいかがですか?

中国 「目次」

読めない!日本人のアナウンサーや首相が間違えた難漢字!?

今の韓国人は漢字をどう思う?漢字を読めないハングル世代はいつから?

韓国のソウルを漢字で書けない理由:漢城?京都?首爾(首尔)?

外国人「独とか蒙古って漢字は差別だろ?」、日本人「えっ?」

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

コメント

コメント一覧 (8件)

  • あなたのブログ、嘘だらけですね。

    現在の中国は漢字宗主国ではないですよ。

    大昔漢字を使っていた中国人と現在の中国人は全くの別民族です。

    現在の中国人は100年ぐらい前まで(文字を使えたとしても)ローマ字しか使えない民族でした。

    中国人なのに漢字が使えないのはかっこ悪いというので、中国から日本に毎年大量の留学生を寄こして、漢字を10万語日本に教えて貰い中国に持ち帰り、漢字が使えるようになったのです。

    それに、中華人民共和国は、1949年10月1日に北京市で建国式典(中華人民共和国開国大典)を開催したことで成立した。と、ウィキペディアにもある通り、昔の中国と現在の中国では民族だけではなく国も違います。

    日本では歴史が古いから、日本の歴史をうらやんで、それよりも古くしようと「中国4千年」とか嘘を言い出したらしく、現在では七千年とかどんどん増えていったそうですが、中国は民族も国も、昔からずっと続いてきたわけではありません。

  • >中華人民共和国は、1949年10月1日に北京市で建国式典(中華人民共和国開国大典)を開催したことで成立した
    この記述以外は、日本にあるどんな歴史教科書にも書いてないでしょうね。
    複数の専門家が確認した、信頼性の高い資料を参考にしたほうがいいです。

  • 良いブログをありがとうございます。昔中国から出版された 輸入語? だったか本を見かけましたが、今は不都合だとして見かけませんね。出来れば入手したいもんです。

  • […]  19世紀末から20世紀初頭にかけて、日本が西洋の科学技術や思想を積極的に取り入れる中で、多くの新しい用語が作り出されました。これには「経済」も含まれており、これらの新しい用語のいくつかは再び中国に伝わり、現代中国語の一部として定着しました​ (TYG)​​ (BLCU Japan)​​ (ゆかしき世界)​。 […]

  • 現在使われている中国語の70%は日本語を移植したもの

    日本は幕末明治時代に西洋からいろんな知識を輸入し日本語化してきた
    中国は遅れて西洋化しようとして西洋に行かずに日本に留学生を送って学習した
    なので清の時代に存在しなかった西洋の概念を日本語を通じて学んだ
    その範囲は広範囲におよび、政治経済法律用語科学用語とありとあらゆるものを日本から学んだ
    なので日本の漢字がそのまま中国に浸透し、現在の言葉の70%が日本語由来ということになっている

    このことは日本人には知られていないが、中国人はよく知っている

  • むかし、日本語ガイドの中国人が「日本語由来の中国語を使わなかったら、新聞は記事を書くことができなくなる」と言っていました。

コメントする

目次