日本最古の鏡といえば、それは弥生時代から古墳時代の遺跡で発掘された銅鏡のこと。
この銅鏡の中でも下の「三角縁神獣鏡」(さんかくえんしんじゅうきょう)は特に有名で、日本では300以上も発掘されている。
三角縁神獣鏡
中国メディア「百家号」が、日本で出土した1700年以上前の三角縁神獣鏡を中国製だったとする記事を掲載したらしい。
サーチナの記事(2020年9月11日)
日本で出土した貴重な「銅鏡」、その精巧さと品質に「きっと中国製に違いない!」=中国報道
記事によると中国には、魏の皇帝から邪馬台国の女王・卑弥呼に100面の銅鏡を贈ったという記録があり、日本で見つかった銅鏡の中には魏の年号を記したものがあるという。
当時の中国と日本にはすでに交流が始まっていたから、貴重品を贈り合うのは珍しいことではなかったから、三角縁神獣鏡が中国製だったとしてもまぁ不思議ではない。
そうした時代背景とは別で、中国人がそう考える背景には「大中華」の精神があるようだ。
記事の見出しにあるように、三角縁神獣鏡はとても精巧にできていて質が高いということで、「中国製といえる」とこの中国メディアは結論づける。
「日本にあるすばらしい物は中国由来では?」と考える人が中国にはいるから、この記事はそういうテイストの人には受けるはず。
でも実際には、三角縁神獣鏡が日本製か中国製かは誰にもわからない。
まずこの鏡は中国や朝鮮半島で出土した例はなく、日本でしか見つかっていないのだ。
それに『景初四年』という実際にはなかった年号が記されていたこと、銅の産地は日本の神尾銅山と推定されることなどから、三角縁神獣鏡は日本製という説が根強くある。
中国製という説には物的証拠がないのが残念。
日本のネットの反応を見ると、どちらでもおかしくはなさそう。
・んなわけねぇw
・1700年前なら流石に中国製だろ
・たぶんこれは中国から来た物
・チャイニーズジョークも結構笑えるレベルになってきたなw
・まあ、中国製でもいいよ別に
・壮大な物語が今、始まる!
・だとしても現代の「メイド イン チャイナ」とは全然意味が違う
個人的には三角縁神獣鏡は日本製と思っているけど、中国製だったと判明しても驚きはしない。
たしかにこんな質の高い鏡を、本当に弥生時代の日本人につくることができたのか疑問はあるし、当時の中国は世界的な先進国だったから、中国由来でもじゅうぶん納得はできる。
でもくり返すけど、日本では300以上も見つかっているのに中国ではゼロ。
文献以外の証拠がないと、中国製と断言することはできない。
銅鏡はいいとして、「んなわけねえだろっ」「それが本当なら凄いDeath!」」というのがこれから書く話。
戦国時代にやって来た宣教師のルイス・フロイスは、その人物を見てこう思った。
・優秀な武将で戦闘に熟練していたが、気品に欠けていた。
・極度に淫蕩で、悪徳に汚れ、獣欲に耽溺していた。
・抜け目なき策略家であった。
・彼は本心を明かさず、偽ることが巧みで、悪知恵に長け、人を欺くことに長じているのを自慢としていた。
・ほとんど全ての者を汝(うぬ)、彼奴(きゃつ)呼ばわりした。
優秀だけど人徳者ではなさそうなこの人は、織田信長の家来で天下を統一した豊臣秀吉。
秀吉は右手の親指が1本多い6本指で、信長からは「六ツめ」と呼ばれたという。
この絵で指を不自然なほど小さく描かれているのは、秀吉がそれを気にしたからだとか。
「豊臣秀吉は日本人ではなくて中国人だった」という珍説は、秀吉の朝鮮出兵(文禄・慶長の役)について17世紀ごろに朝鮮人の柳成龍(リュ・ソンニョン)が書いた歴史書『懲毖録』(ちょうひろく)に記されている。
〔彼はもともと〕中国人で、倭国に流れてこんで薪を売って生計をたてていた。ある日、国王が外出中に〔たまたま〕道ばたで出会い、その人となりの尋常でないのを見て〔配下の〕軍列に加えた。
「懲毖録 (平凡社東洋文庫)」
中国出身の秀吉は貧しい暮らしをしていたけれど、ある日たまたま「日本国王」(織田信長)と出会い、才能を認められて家来になった。
前半はファンタジーだけど、後半は歴史の事実だ。
*もちろん信長は日本の王じゃない。
「豊臣秀吉は中国人だった説」は朝鮮で生まれたのではなく、中国人がつくり出したもので、のちに朝鮮半島へ伝わった。
この話が登場したのは朝鮮出兵がおこなわれたときで、日本を統一して中国大陸に攻め込もうという大人物は、日本人より中国人と考えたほうが自然と思った中国人がいてその説が多くの共感をよんでこんな話が出来上がったという。
ということは、朝鮮出兵は中国人による「朝鮮侵略」だったのか。
精巧で質の高い三角縁神獣鏡を見て「中国製に違いない!」と思う現代の中国人と共通するところがある。
中華(中国)こそ世界の中心で、その文明は神聖にして世界最高であるという中華思想の残り香か。
こちらの記事もどうですか?
ま、別に三角縁神獣鏡が中国製であったとしても不思議じゃないとは思いますが。
そのように主張したいのであれば、1枚でも、自国の中で神獣鏡を発見してから主張することですね。
中国人がどのように主張しようが、それは「負け惜しみ」にしか聞こえませんよ。
ルイス・フロイスはキリスト教に都合の悪い人はボロクソに書く傾向がかなり露骨なので
かなり差し引いて見る必要があると思います^^;
歴史上の人物は、創作物でかなりイメージが変わったりするのは常ですが
豊臣秀吉はその傾向が強い気がしますね。
大河ドラマだと晩年の残酷なエピソードはあまり描かれませんし。
だからと言って人間的魅力が無かったかとは言えませんし、難しいですよね。
時代によって常識や価値観は違いますから、いまから見たら「は?」という記述はよくありますね。