韓国はジェットコースターのように変化が激しい。
ドイツの首都ベルリンで、公共の場所としては初めて慰安婦像を建てることに成功し、大喜びしたと思ったら、日本政府がドイツ側に慰安婦問題について正しい説明をおこない像の撤去を求めると、管轄区のベルリン・ミッテ区が一転して慰安婦像の撤去を命じた。
勝利から敗北に突き落とされた韓国側は、そこから猛烈な巻き返しをはかる。
国会議員113人が韓国のドイツ大使館に撤去命令の撤回を求める書簡をおくり、ベルリンでは韓国の市民団体・コリア協議会を中心に数百人が、少女像からミッテ区庁までデモ行進して像の維持を要求した。
同時にコリア協議会は、撤去命令の効力執行停止の申請を行政裁判所におこなう。
以上、さまざまな圧迫をうけたミッテ区は結局、慰安婦像を撤去するかどうかの判断を裁判所にまかせることにした。
これには数か月かかるというから、当面の間、像はそのままベルリンに設置されることになる。
像の設置で勝利に喜び、撤去命令で怒り絶望し、命令の効力が消えて再び喜んだりと韓国の反日団体はとにかく忙しい。
慰安婦問題は2015年に日韓両政府が最終的な解決を確認し、韓国の尹長官は「両国が受け入れうる合意に達することができた。これまで至難だった交渉にピリオドを打ち、この場で交渉の妥結宣言ができることを大変うれしく思う」と語った。
にもかかわらず、韓国の団体は慰安婦問題を蒸し返してドイツに像を建て、さらに「第2次大戦当時、日本軍がアジア地域で女性を強制的に連行して性奴隷にした」といった何の根拠もない碑文まで設置する。
韓国側の合意違反と歴史わい曲に対して、日本政府が全力で象の撤去を求めるのは当たり前。
ベルリンの慰安婦像については、裁判所の判断待ちでとりあえずは落ち着いた。
すると今度は韓国国内で、政府に対する批判の声が上がり始める。
これまでムン政権は対日強硬・反日的態度を全面的にアピールして、国民の反日感情をあおって政権の支持率アップに利用してきたのに、今回はドイツの慰安婦像を守ろうとする動きがまるでなかった。
この二重基準に国民が怒りだす。
中央日報の記事(2020.10.13)
国内政治に「親日対反日」フレームを作って国民感情を刺激していた韓国政府が、いざ日本より外交力を発揮すべき事案には後ろ手を組んだのだ。
反日を率先した韓国政府、ドイツ少女像撤去には対応見せず
「後ろ手を組んだ」というのは、政府は見て見ぬふりをして、像を守るためにドイツ側へ何も働きかけなかったということ。
実際きょねんの夏、日本が対韓輸出の管理強化を発表すると、ムン大統領はこう激怒した。
「加害者である日本が、盗っ人たけだけしく、むしろ大きな声で騒ぐ状況は絶対に座視しない」
「今後起こる事態の責任は全面的に日本政府にあることをはっきり警告する」
他の政治家も口々に「日本の経済侵略」と悪意に満ちた表現をして、国民感情を刺激するのだから、日本製品の不買運動が全国的に盛り上がるのは必然だった。
被害者中心主義とか正義のためとか言うけど、ムン政権の反日はつまるところは損得。
きょねんの反日的言動は国民の怒りを日本に向けさせ、政権への支持集めをねらったものだけど、今回の場合、ドイツに慰安婦像が建ったところで、その功績は韓国の団体のもので政府には関係ない。
むしろ国として対応すると、日本やドイツとの関係が悪化する可能性が大。
特に韓国政府はいま日中韓3か国首脳会談を年内に実現させたいと考えていて、そのためには菅首相の訪韓が必要だから、いまは日本と対立するのはマズい。
「ドイツの少女像」はムン政権にとって美味しいところがないのだから、後ろ手を組んで顔を背けるのは当然といえば当然。そしてそれが最善でもある。
でも、これまで利用してきた国民の反日感情が、今回はブーメランとなってムン大統領を直撃する。
全国紙の朝鮮日報もこう非難した。(2020/10/13)
反日を国内政治に利用したという批判を受けてきた韓国政府が、肝心の外交力が必要な事案では「手をこまねいている」という指摘がなされている。
反日は韓国国内用?
批判の矢面に立たされた韓国外交部(外務省)は、「前に出ていないだけで手放しにしているのではない」と、「やる気はあるけど、まだ出してないだけ」みたいなあやふやなことを言う。
つまり、韓国政府はそれだけ苦しい立場なのだ。
損得を正義と言い換えてご都合主義で反日を利用するから、自分が育てた国民感情に追い込まれることになる。
5年前に打った「ピリオド」とは一体何だったのか。
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