新婚旅行先でフランスを選んだ友人がいて、もうすぐ妻となる彼女と現地での行動計画を立てていたとき、ヴェルサイユ宮殿とモンサンミッシェルへ行くことはすんなり決まったけど、料理のチョイスでじゃっかんもめたらしい。
海外の珍しいモノにチャレンジしたいと思った夫が「どうせならカエルを食べない?フランスでは有名だし」と提案すると、「だったら別れる」と言われて高速で却下した。
まぁどーでもいい話だけど、食の違いは時として人間性の否定につながるほど大きい。
フランスで食用にされるヨーロッパトノサマガエル
主にモモの肉が食べられていて、調理法ではソテーやパン粉焼きが多いという。
カエルが食材になるのは中国や東南アジアでもあるし、世界的にはそう珍しくはない。
ボクがベトナムで食べ料理は味付けが強すぎて「カエル肉」の味はよく分からなかったけど、鶏肉に似ているとよく聞く。
フランスの人たちがこれを好きなことは知っていたし、三つ星レストランから庶民的なビストロまでフランスでは多くの店でカエル料理を出しているのも聞いていたけど、2017年の食用ガエルの消費量が4000トンになるほどフランス人に愛されているというのは知らなんだ。
でも最近では海外産に押されていて、フランスの生のカエル肉は現在では希少だとか。
AFPの記事(2020年10月10日)
「国内で消費されるカエルのうち、生のカエルはトルコから、冷凍ガエルはアジアからなど、99%が外国からの輸入物だ」と話している。
フランス人が愛する食用ガエル、99%外国産? 養殖増えるも国産は希少
このニュースに日本のネットの反応は、
・蛙とカタツムリは食いたくないな
・大きめのカエルもも肉はチキンのドラムスティックよりでかいぞ
・あんだけ跳ねるんだから脚とか絶対美味しいだろ
しらんけど
・シャルル・ド・ゴール空港は兎の巣穴だらけ
食うんだよ普通に
・カエル4000トンって何匹くらい?食べ過ぎじゃね
フランス人がカエルを食おうが馬を食おうが勝手だけど、そういう食文化のない国で、ステルス的に食べさせていたシェフが話題というか問題になったことある。
後年、エスコフィエはロンドンの「カールトン・ホテル」で評判となった冷製料理「妖精・オーロラ風」がカエル料理だったことを明かし、イギリス食通のあいだに騒動を巻き起こした。
以前ドイツ人と話をしていたときに彼が、「日本に来るまでボクは、日本人と韓国人と中国人は犬を食べると思っていた。でも日本人はそうではなかったから安心したよ」てなことを言う。
その代わり、クジラやイルカを食べるけどね。
とは言わなかったけど、まぁそのへんは徳川綱吉に感謝ですね。
そこから話題が変わり、ドイツとフランスの違いを聞かれて答えに窮した。
言語が違うのは当然として、ほかに何があるか?
どっちも隣り合うキリスト教文化圏の国で、むかしから交流があって文化や伝統も似てるっぽいし、もし知らない街や料理の写真を見せられても、それが独仏のどちらかさっぱり分からない自信がある。
「フランス人にはゲルマン魂がない!」と言っても、「ゲルマン魂ってなに?」とドイツ人に聞かれたら困るし。
そのドイツ人にとっても最大の違いは言語という。
例えば車を走らせていて、看板がいつの間にかフランス語になっていると「あ、ここはフランスなんだ」と気づくぐらい自然や建物はよく似ている。
南フランスはドイツとかなり違うという話を聞いたことがあるけど、彼はそこに行ったことがないから詳細は不明。
そこでボクが「ドイツ人もカエルを食べるの?」と聞くと、「いやいやいや、それはない!馬を食べるドイツ人はいるけどカエルはない。そこは違う」と全力否定する。
この反応は、「日本でも犬を食べるの?」と外国人に質問された日本人と同じだろう。
フランスとの国境に近いドイツ人でも、カエルを食べるなんて話は聞いたことがないというから、この食の違いは独仏のかなり大きな違いのひとつだ。
食文化の違いは偏見や差別につながりやすい。
まえにネットで中国人と言い合いをしていた欧米人らしき外国人がキレて、「ドッグイーターのくせに!」と言うのを見たことがあるし、個人的にも外国人から「イルカを食べる野蛮人」と罵倒された経験がある。
イルカを食べたことがないにもかかわらず。
フランス人が嫌いなドイツ人の中は、直訳すると「カエルを食べる人」(カエル喰い野郎?)とフランス人をバカにする人もいるらしい。
実際、フランス人を軽蔑する言い方で「フロッグ・イーター」、「ジョニー・クラポー」(クラポーは仏語でカエル)という表現があるし、単に「フロッグ」と言うだけでフランス人を指すこともある。
でもそのへんはどっちもどっち、上品に言えば目くそ鼻くそ。
ドイツ人が嫌いなフランス人には、「ザワークラウトを食べるヤツ」と呼ぶ人もいるという。
ザワークラウトとはドイツの有名なキャベツの漬物で、日本語では「酢キャベツ」と表現されることもある。
コストコのホットドッグの上にあるのがザワークラウト
調べてみたらたしかにそういう悪口がある。
第一次・第二次世界大戦の英米軍では、ドイツ兵を指すのに「クラウト」(「キャベツ野郎」程度の意、複数形ではクラウツ)という蔑称を使った。
何を口に入れても出てくるものは同じだけど、やっぱり食文化の違いはアジアでもヨーロッパでも、人の見方を左右するほど大きいのだ。
犬・イルカ・カエル・キャベツなら、キャベツが一番マイルドな悪口と思う。
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>ドイツとフランスの違いを聞かれて答えに窮した。言語が違うのは当然として、ほかに何があるか?どっちも隣り合うキリスト教文化圏の国で、・・・
どちらもキリスト教国ではありますが、フランスはカソリックが主流であり、ドイツはルター派他プロテスタントの発祥の地であったと思いましたが? 現地はそうでもないのかな?
それぞれ多くのカトリック・プロテスタントがいますし、基本的な考え方や価値観は似ていますから。