世界を変えた空爆:日本の真珠湾攻撃と英軍のタラント空襲

 

きょう12月8日は、太平洋戦争がはじまった日。

1941(昭和16)年12月8日、日本軍がハワイの真珠湾にあったアメリカ軍基地を攻撃したことから、日米の全面戦争がぼっ発。

ことしの8月6日、広島に原子爆弾が落とされたことをボクがSNSで伝えたら、知らないイギリス人からこんなメッセージがきた。

America remembered Pearl Harbour and they wanted their revenge 🙁
(アメリカは真珠湾を覚えていて、その復讐をしたかったんだ。)

「これから戦争を始めるぞ」という開戦通告より先にこの攻撃が開始されたことから、アメリカで真珠湾攻撃は「日本の卑怯なだまし討ち」と一般的に思われている。
米国だけなく、海外では多くの人がこう理解しているはずだ。

 

真珠湾上空を飛行する日本の攻撃機

 

ではここでクエスチョン。
下の地図の赤い点、イタリア南部にあるこの都市名は何でしょう?

ヒント:タランチュラ

 

 

この都市はタラント(ターラント)という港町で、ここがあの恐怖の毒グモ・タランチュラの語源となったのだ。
くわしいことはこの記事を。

【イタリアの歴史と文化】タランチュラ・タランテラ踊りの起源

 

地中海への出発地となるこの地には20世紀はじめ、イタリア海軍の重要な拠点があって、こんな感じに軍艦がズラリと並んでいた。

 

1930年代のタラント

 

タラント

 

ドイツ軍のポーランド爆撃によって第二次世界大戦が始まると、イギリスは、大型戦艦や多数の駆逐艦を配備していたタラント軍港を攻撃することを決め、1940年11月11日に実行した。
イギリス軍の攻撃機はタラントに爆撃をくわえ、イタリア軍が反撃するものの、結果は戦艦3隻が大損害を受けたイタリアに対して、イギリスの損害は雷撃機2機のみ。

イギリス側の一方的な勝利で、「圧倒的じゃないか、我が軍は」とイギリス軍の誰かが言ってもおかしくない状況だ。

この攻撃で大ダメージを受けたイタリアはタラントを捨て、地中海へのアクセスが悪いナポリへ主力艦を移動することにした。これによってイタリア海軍の動きは消極的となり、第二次世界大戦の戦局にも影響を与えることとなる。

 

とまぁここまではヨーロッパの話なんだが、タラント攻撃が真珠湾攻撃の1年前、1940年に行われたことにご注目あれ。
アメリカとの全面戦争を決意した日本軍がイギリス軍のこの「大成功」を研究しないのは不自然だ。
実際、真珠湾攻撃にはこのときの攻撃を彷彿させる事例がある。

タラント(水深12メートル)同様に外洋に比べて真珠湾は水深が浅いためイギリス海軍と同じ手順である、「魚雷に改良を加え、低空で魚雷を投下すること」を真珠湾攻撃で行っている。

タラント空襲

イギリス軍の動き

タラント空襲は真珠湾攻撃やマレー沖海戦と並び、世界に大艦巨砲主義からの転換を求めるきっかけとなった。

 

真珠湾攻撃もそれだけに限っていえば、イギリス軍のタラント攻撃と同じく“成功”と言えるものの、最終的には2発の原子爆弾を落とされ敗戦したところは正反対。
ただアメリカ人が憎んだ「だまし討ち」については、それは結果としては正しく、日本の意図としては間違い。
日本はアメリカ側に最後通牒を渡してから攻撃するつもりだったのに、その文書の作成に時間がかかってしまった。そのため、アメリカが開戦通知を受け取る前に真珠湾攻撃が始まってしまい、事実上の“奇襲攻撃”となる。

でもそんな事情はアメリカ軍には関係なく、「リメンバー・パールハーバー」の戦争の合言葉はいまでも使われる。

 

 

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3 件のコメント

  • 山本五十六がこれを参考にして真珠湾攻撃を立案したのは有名なは話。

  • >ただアメリカ人が憎んだ「だまし討ち」については、それは結果としては正しく、日本の意図としては間違い。

    本当にそう言えるかのどうか、少々疑問ですね。大日本帝国軍(の一部の上層部)は、もしかすると、宣戦布告がまだ米国側に届いていないだろうことを分かっていて、奇襲に出たのかもしれないですよ。偶然にしては、あまりに都合が良すぎる。
    日本の中野学校(戦前の陸軍士官学校)では、採るべき戦術を教えるのに、「織田信長の桶狭間奇襲」「源義経のひよどり越え奇襲」「関ケ原合戦での敵方武将凋落騙し討ち」を成功例として教えていたそうですから。
    その辺の実情を、終戦直後に米国が調べて把握したであろうことも、「リメンバー・パールハーバー」という感情に影響しているのかもしれない。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。