囲炉裏みたい?インド人とタイ人の『ココナッツの使い方』

 

少し前に、4人のインド人とタイ人ひとりを囲炉裏のある古民家に連れて行って、日本の伝統文化を体験させてみた。
なのでこれから、インド人とタイ人のココナッツの使い方を紹介しよう。

 

 

「日本には四季があるけど、インドの季節は3つしかない。ホット・ホッター・ホッテストだ。」

インドを旅行中、こんな話を日本人旅行者からよく聞いた。がこれはネタであってリアルではない。
北部のヒマラヤあたりでは雪が積もるし、首都デリーの周辺でも、冬には5度ぐらいにまで気温が下がることもある。
年末年始にインドを旅行したときは、ユニクロのウルトラライトダウンが本当に役立った。

でも南インドについては、たとえばタミルナドゥ出身のインド人に年間の最低気温をきいたら「20度ぐらいかな」と言っていたから、季節区分は「ホット・ホッター・ホッテスト」と考えていい。
タイの気候も大体そんな感じ。
このときいた4人のインド人は南部出身で、タイ人もふくめてみんな囲炉裏のような暖房器具(設備?)とは無縁で育ってきた。

 

 

この家で生活していたオーナーさん(86歳)に話をうかがうと、囲炉裏はとても優秀でまったく無駄のないことが発覚。
役割としてはこんなものがあるらしい。

・部屋を暖める。
・ここでお茶を飲んだり簡単な食事をつくって食べる。
・家族や近所の人とコミュニケーションをとる。
・柱や壁、天井に煙がつくことで防虫や防臭の効果がある。
・衣服を乾かす。

さらに、木炭を燃やしたあとに出る灰は畑にまいて野菜の肥料にする。
そんな聞いて感心するインド人とタイ人さん。
煙や灰まで利用できるという、囲炉裏の高性能っぷりを知ったインド人は「まるでココナッツみたいだ」と言う。

そうそう。ココナッ、ツ?

 

 

 

なんでこんな話から、南国の果実を連想するのか?

彼に話をきくと、ココナッツは木も実も枝も、すべての部分を使うことができてまったく無駄がないから、煙や灰まで利用するという囲炉裏の話を聞いて、南インド人にはすごく身近なコレが思い浮かんだという。

インドでは昔は簡単に飲料水を手に入れることができなかったから、ココナッツウォーターはのどの渇きをいやすために重宝された。
それにこれはただの水ではなくて、栄養たっぷりらしい。

そんな話をインド人Aがすると、インド人Bが、ココナッツはプージャー(ヒンドゥー教の神聖な儀式)で神様へのお供え物として数百、数千年前から使われていると話す。
「すべてを利用することができて無駄がない」という視点ならココナッツも囲炉裏も同じだと、タイ人もインド人の話に同意する。

*ちなみに日本語の「供養(くよう)」は古代インドのサンスクリット語のプージャー(またはプージャナー)に由来する。

 

タイのレストランで飲んだココナッツ・ウォーター
個人的な感想だが、当たりはずれが多すぎる。

 

後日このときのインド人とタイ人に、母国でのココナッツの使い方についてメールでたずねると、こんな返事がきた。
*名前はすべて仮名

〇マハラジャさんの意見

According to my knowledge
Coconuts are mostly use in South. Especially Kerala n Karnataka (Mangalore)
Dry coconuts they use to make fire like irori.
Even now most of the villages they cook on fire or they heat the water for bath

ボクの知ってる限りでは、特にインド南部でココナッツが使われている。特にケララ州、カルナタカ州(マンガロール)。
乾燥したココナッツは燃料にして火を起こす。イロリみたいにね。
現在でもほとんどの村ではその火を使って料理をしたり、お風呂のために湯を沸かしたりする。

 

〇マハラニさんの意見(女性)

Most of the south India!
Near sea side and mountain valley side they use coconut, tender coconut, coconut oil, we use for kitchen, cosmetics or Ayurvedic purpose!
Coconut shell give and keep fire and heat for long time so we use it as heating element like iriori!

南インドのほぼ全域でココナッツが使われています!
海の近くや山間部では、ココナッツ、テンダーココナッツ、ココナッツオイルなどが使われていて、料理や化粧品、アーユルヴェーダの目的でも使用されています。
ココナッツの殻(から)を燃やすと火を長く保つことができるので、イロリのような発熱体として使われます。

 

〇ダルシムさんの意見

Still in my area we use dry woods and coconut shell to cook and boiling water!
Coconut thread also made by over sponge of coconut, this sponge also used for shower sponge!
Every part of coconut tree possibly consumed for some purpose from bottom to top!

わたしの地域ではいまでも乾燥した木とココナッツの殻を使って、料理やお湯を沸かしたりしている!
ココナッツの糸もシャワーを浴びるときのスポンジに使われる!
ココナッツの木は下から上まで、きっとすべて何らかの用途に使われている!

ネットを見ると東南アジアではココナッツの木の一部を使って、家や船、家具などをつくっている。
またココナッツの繊維は断熱材として利用されているという。

 

 

フィリピン人がココナッツミルクを使ってつくったケーキ

 

〇タイ人のサワディーさんの意見

In Thailand, we also use the coconuts.
And the most important part is coconut milk which is a necessary ingredient in many Thai dishes.

タイでもココナッツを使っています。
一番重要なのはココナッツミルクで、タイ料理にこれは欠かせませんね。

 

ここまでに出てきた使い方のほか、タイのレストランではココナッツの殻がデザートの器になっていたし、ベトナムではココナッツシュガーからキャンディーが作られていた。
そういえば、ナタデココもココナッツミルクを発酵させたものだ。

ということで、ココナッツには捨てるところが何もない!
その点ではたしかに囲炉裏と共通するスグレモノ。

 

ココナッツについてさらにくわしい情報はここでゲットされたし。

外皮からはココナッツファイバーと呼ばれる強靭な天然繊維が得られ、ロープやマットなどに加工される。
殻は加工して食器や工芸品、あるいは未加工のまま燃料として利用される。

ココナッツ

 

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2 件のコメント

  • インドのように人口の多い国でみんながココナッツだけを特に頻繁に利用していたら、あっという間にココナッツが枯渇してしまうように思うのですが・・・。
    おそらく、当地の気候も関係して、ココナッツは植物の中でも特に成長が早いのでしょうね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。