ことし1月、慰安婦問題をめぐる訴訟で、韓国の裁判所がムン大統領さえおどろかすような判決をくだす。
その少し前に、韓国の大学教授がこんなことを言っていた。
「日本が主張する国家は外国での裁判を免除されるという主権免除は、国際秩序を守るためには必須の要素」
「元徴用工訴訟で予想外の判決が出たため、日本では心配する見方もあるが、国際的な常識から考えれば日本政府が敗訴する可能性はないのではないか」
上のコメントはこの中央日報日の記事から。(2020.12.29)
韓国の日本学科教授「慰安婦訴訟で日本政府敗訴時は韓日関係は破綻」
すべての国は平等というのが世界の常識だから、一国が他国の裁判権に服することは考えられない。
ましてや個人が他国の政府を訴えることが可能になったら、この世は大混乱になってしまう。
そんなことからこの訴訟では、「国際秩序を守るためには必須の要素」である日本の主権免除が認められるものだと日韓の多くの関係者は考えていた。
でなれば「日韓関係は破綻してしまう」のだから。
でも、いまとなってはすべてがフラグ。
韓国の裁判所は「国際的な常識」を否定する判決を出し、日本政府に元慰安婦への賠償を命じた。
この異常判決に日本は絶句し、そのあと猛抗議をしたのは当然として、韓国政府にとってもこれは想定外の結果で、ムン大統領が公式の場で「正直、少し困惑している」と言う。
新聞ハンギョレの記事(2021-01-19)
当初政府は、韓国の裁判所が「他国の主権行為は裁判できない」という国際慣習法上の国家免除の原則を尊重し、この判決を棄却するだろうと予想していたという。
文大統領「慰安婦判決、正直少し困惑しているのが事実」
ムン大統領をトップとする韓国与党『共に民主党』は2020年の総選挙のとき、自分たちに票を入れるのは愛国行為で、野党に票を入れるのは「親日行為(=裏切り者)」というキャンペーンを行った。
与党が国民の反日感情を刺激すれば、それに応えた支持者がこんなポスターを制作し、ネットで拡散させるのは韓国の必然。
そのポスターをここに載せたいところだが、転載は問題がありそうなので「2020 韓国 総選挙 韓日戦 ポスター」で画像検索してほしい。
ヒドイ画像がでてくるから。
与党側は国内選挙を『韓日戦』と国民にPRして、結果的には大勝利を収めた。
そんなふうに反日世論を利用してきた政権与党側でも、今回の裁判については「国際慣習法上の国家免除の原則を尊重」すると考えていた。
でも韓国の裁判所は政府の想像を超えていた。
日本政府の主権免除を否定した今回の判決について、ジャーナリストの池上彰氏はこう話す。
反日教育を受けて育った世代が、いまの裁判所の中枢を占めています。彼らにとっては、法理より情理が大切。反日世論に迎合した判決を出しているのです。
「そうだったのか!朝鮮半島 (集英社) 池上彰」
ごめん。ウソです。
これは2014年に発行された池上氏の本の中にある文章だから、7年前の韓国の社会や司法について語ったもの。
2012年に三菱重工と新日鉄に対して、元徴用工の韓国人が「日本企業に動員されて過酷な労働を強いられた」と損害賠償を求めて訴えた。
この問題は1965年の日韓請求権協定ですでに解決済みで、いまさら日本に賠償請求をすることはできない。
はずだったのに、韓国の裁判所はこの合意をひっくり返して「個人賠償請求権は有効」という判断をする。
これについて池上氏は、「これには韓国政府も頭を抱えています。日本に請求すべき筋合いではないことがわかっているからです」と言う。
このときの韓国はパク・クネ政権の時代で、ムン大統領は野党側にいた。
そのあと、2015年の日韓慰安婦合意は破棄しないといけない!などと反日感情をあおる選挙キャンペーンを行って、ムン氏は大統領の地位を手にいれた。
そう考えてみれば、裁判所がまた「反日世論に迎合した判決」を出したのも不思議ではない。
自分がつくった土壌からうまれたものに、「正直少し困惑しているのが事実」なんて無責任なことを言ってはいけない。
困惑しているだけで具体的な解決策を提示しないと、韓国の教授が予言したように「韓日関係は破綻」してしまうではないか。
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