ほんじつ2月16日は「寒天の日」。
2005年のこの日にテレビ番組『ためしてガッテン』で寒天が取り上げられて、大ブームとなったことからこの記念日がつくられたらしい。
つまりは言ったもん勝ち。
ということでこれから、寒天が誕生した背景や海外での人気っぷりを見ていきましょう。
画像:self
寒天は12月~2月の寒い時期に、こんな海藻を干して乾燥させてつくられる。
寒天氷もち
画像:Nightshadow28
英語で「寒天」はマレー語に由来して「agar」という。
英語版ウィキペディアでは、海藻からゼリー状の物質をつくるのは江戸時代の日本人の発明だと紹介されている。
Agar may have been discovered in Japan in 1658 by Mino Tarōzaemon (美濃 太郎左衞門), an innkeeper in current Fushimi-ku, Kyoto
「may have been」とあるようにこれは確定した事実ではなくて、寒天は江戸時代、美濃太郎左衞門によって偶然発見されたと伝えられているのだ。
いまの京都市伏見区で「美濃屋」という旅館を経営していた太郎左衛門があるとき、客に出して余ったトコロテンを外に置いておき、しばらくするとそれが凍った状態になっているのを発見した。
すっかり干からびたトコロテンを見た太郎左衞門は、(たぶん興味本位で)お湯と一緒に溶かしてみたところ、普通のトコロテンよりも美しく、臭みのない「上物」が出来上がった。
「なにこれおいしい!」と思った太郎左衞門は、それを近くのお寺にいた中国人の僧・隠元禅師に食べて感想をきかせもらった。
ちなみに「インゲン豆」は、この隠元隆琦(いんげん りゅうき)が中国から持ってきたことからその名前が付けられたといわれる。
これは海藻からつくられたものだから、肉食を禁止されている仏教僧でも口に入れることができる。
隠元は精進料理の食材にちょうどいいと思い、これをつくるべきだと太郎左衞門にすすめ、このニュータイプのトコロテンに「寒天」と名前を付けたという。
たしかに「寒天(寒い日)」という字は中国語っぽい。
日持ちする寒天は遠くに運ぶのに便利で、このあと全国で食べられるようになった。
寒天はこうして爆誕したと伝えられている。
伏見区にある寒天発祥の碑
一体だれが建てた?
英語版ウィキペディアには、18世紀になると東南アジアで寒天が一般的な食材になったと書いてある。
「Over the following centuries, agar became a common gelling agent in several Southeast Asian cuisines.」
太郎左衞門が乾燥したトコロテンを見つけたころには、東南アジアへの朱印船貿易はなくなっているから、日本から寒天づくりが中国に伝わって、それから東南アジアに広がったのだろう。
「agar」がマレー語由来ということは、このころヨーロッパに伝来したかもしれない。
寒天はいまではフィリピン、ベトナム、インド、ミャンマーなどの料理や台湾のタピオカミルクティー(バブルティー)などで使われていて、オーストラリア、アメリカ、イギリス、中東などで見ることができる。
Agar jelly is widely used in Taiwanese bubble tea. The bubble teahouses such as Gong Cha and Chatime can be seen in Australia, the United States, the United Kingdom, Middle East and many Asian countries.
フィリピンの寒天入りドリンク
画像:Mark Guim
寒天はあんみつでよく使われる
画像:Yokohama
アメリカやヨーロッパでは現在、寒天はダイエット食品として注目されているらしい。
隠元禅師が精進料理にピッタリと思ったように、これを食べるヴィーガンの人たちもいる。
海藻ならイスラーム教徒やユダヤ教徒のタブーにふれないし、健康にもいいから世界中で受け入れられるかもしれない。
京都の旅館のオーナーが干からびたトコロテンを偶然見つけて、「これを水で戻したらどうなるんだろう?」と思い付いたことからはじまって、いまではここまでの国際食となっている。
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