100年ほどまえ、日本麦酒醸造會社(サッポロビールの前身)で開発されたのがエビスビール。
はじめはこのビール、エビスではなくて「大黒天」から名前を付けようとした。
でも時すでにおすし。すでに「大黒ビール」があったから、いまの「えびす」(恵比寿) を採用したという。
1900年代には、世界から賞賛されたこの日本のビールがいま苦境を迎えているらしい。
それでサッポロビールが心機一転、聖地でのビールづくりを再開するとか。
朝日新聞の記事(2021年3月5日)
エビスビール、「聖地」での生産に意欲 サッポロ新社長
ただこれは有料記事で無料で読める部分には、聖地がどこかという大事な情報がない。
だからネットでも、たくさんの人がそこに食いついていた。
・で、聖地ってどこよ
・メッカじゃね?
常識的に考えて
・エルサレムだろ。
・秋葉原に決まってるだろ
いまの東京・恵比寿駅はむかし、エビスビールの工場があったことからこの駅名になった。
それでこんなコメントも。
・昔、恵比寿駅に客車を利用したビアレストランがあった。
何回か行ったけど、お花を売る女の子が来たり、記念撮影いかがですかと女のカメラマンが回って来たな。
おもしろいレストランだったけど、そこで飲むエビスビールは最高に美味かった。
ではこれから、ビールや地名になっているこの神さまについて知っていきましょー。
日本でエビス神はよく七福神の中にいる。
この七柱は多文化共生をこの上なく実現していて、日本・インド・中国の神さまのユニットになっているのだ。
では大黒天、福禄寿、弁財天、寿老人、毘沙門天、布袋を、中国とインドの神に分けてもらおうか。
答えは大黒天、弁財天、毘沙門天がもとはインドの神で、福禄寿、寿老人、布袋が中国の神。
梵天、帝釈天、吉祥天など最後に「天」がついているのは、ヒンドゥー教から仏教に帰依したインドの神さまだから分かりやすい。
だから「大黒ビール」だとインドの神になるところだった。
右手に釣り竿を持って、左腕でタイを抱えていて満面の笑顔を浮かべるエビスは、イザナギ・イザナミの子の蛭子命(ひるこのみこと)とか、大国主命(大黒さん)の子の事代主命(ことしろぬしのみこと)といわれている。
商売繁盛や豊漁・豊作をもたらすエビス神はとにかくめでたい。
「えべっさん」とも呼ばれるこの福の神は、日本中の庶民に愛されるとても身近な存在だ。
異国の神々と仲良く同じ船に乗っている七福神は、「縁起の良いものなら何でもウェルカム」という日本人の大らかな宗教心をよく表している。
いつもニコニコして場を和ませている(ように見える)エビスは、「和を以て貴しとなす」の日本人の精神を象徴する神でもある。
最近、スペイン人・中国人・インド人とお寺に行ったとき、たまたま七福神があって(いて?)、話をきくと、一つの船に異教の神が乗っている「七福神」のようなグループは母国にはないと言う。特にキリスト教では。
中国の八仙(八仙人)が近いというけど、あれはすべて道教の神だ。
七福神のような発想は日本だけ、とは言わなくても世界的にも珍しいはず。
このほかにも、むかしはクジラを神格化して「えびす」と呼ぶことがあった。
日本各地には地域がクジラの到来により思わぬ副収入を得たり飢饉から救われたりといった伝承が多いが、特に能登半島や佐渡島や三浦半島で信仰が残っている。
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> 一つの船に異教の神が乗っている「七福神」のようなグループは母国にはないと言う。特にキリスト教では。
> 中国の八仙(八仙人)が近いというけど、あれはすべて道教の神だ。
それに仙人は神様じゃありません。もともと人間で、修行を積んで仙人になれたもの。
この「七福神」方式こそ、日本が誇りとしてよい多神教の真髄だと思います。世界の文化・文明・宗教対立問題を解決するのは、この方式しかないですよ。世界は、日本の七福神をもっと尊重すべし!
仙人は「中国本来の神々(仏教を除く)や修行後、神に近い存在になった者たちの総称」なので神と呼んでもかまいません。
特に八仙は信仰対象ですから。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%99%E4%BA%BA