【日本の元号】めでたいカメだ!霊亀・神亀・宝亀に改元だっ

 

広島にある「マリホ水族館」ではいま、めっちゃくちゃ珍しい生き物を展示している。
それが「白いナマコ」。
ナマコは普通、外敵から身を守るために黒や茶色の体をしていて、白いナマコは確率的には10万匹に1匹しか生まれないという。
この機会を逃したら、もう一生見ることができないかも。ということで、この貴重なナマコを見るために、いま大勢の人が水族館に集まっている。

写真を見たら、予想を超える白さだった。

 

 

このナマコさんにネットの反応は?

・うす切りにしたらはんぺんやんけ
・イタズラ書きしたい
目鼻とか
・色が違うだけでかわいくなってワロタ

全身真っ白という激レアなナマコが現れたら、現代なら水族館にたくさんの客が押し寄せて、写真をSNSにアップするぐらいだ。
でも古代の日本だったら、これで元号が変えられたかもしれない。

 

 

昭和、平成、令和…のように特定の年代に付けられる称号が元号。
このシステムは2000年以上前の中国、漢の武帝(前141年 – 前87年)の時代から始まった。
その後、清まで続いたけれど、20世紀はじめの辛亥革命によって、皇帝という存在と一緒に元号の制度も中国から消えた。

この発想は古代の日本にも伝わって、大化の改新(645年)の「大化」が日本初の元号と考えられている。
ちなみに「日本」という国号がうまれたのもこのころだ。
元号はベトナムや朝鮮半島でも使われていたものの、いまではもう廃止されて、これが残っているのは日本だけとなった。
だから元号はわが国だけの文化なのだ。

 

1人の天皇につき元号を一つ制定する「一世一元の制」が明治時代に採用されるまえ、日本では1人の天皇の時代に元号が変更されることは珍しくなかった。
そんな改元の理由の一つに、「めでたいことが起きたとき」というものがある。
縁起の良いものが世の中に現れると、「吉兆だ」「これからきっと良いことが起きる」と人びとの期待が高まって、新しい元号が制定されることがあり、それを「祥瑞(しょうずい)改元」という。

祥瑞改元の例には、650年に、珍しい白キジが天皇に献上されたことを祝って変えられた「白雉(はくち)」がある。
また黄金が献上されると「大宝」(701年~704年)になり、その水を飲んで体を洗った人が若返ったというめでたい泉が知られると「養老」(717年)と改元された。
逆に災害や疫病の流行など、不吉なことがあると元号を変える「災異改元」も多くあった。
おもしろいのは江戸時代の「明和9年(めいわくねん)」で、これだと「迷惑年」と読めるから「安永」に変えたという。

 

さて話はカメだ。
亀は昔から長寿の象徴で、とてもめでたい生き物(ラッキーアニマル)と考えられていたから、亀に関係する日本の元号はけっこう多い。
奈良時代だけでも「瑞亀(めでたいカメ)」が見つかったということで、これだけ元号が変わっている。

・甲羅に北斗七星の模様がある亀が天皇に献上され、「これはラッキーだ」ということで715年に「霊亀」となった。
・白い亀が献上されたことで、724年に「神亀」と改元。ちなみにこの時代の天皇が聖武天皇。
・甲羅に「天王貴平知百年」という文字がある亀(マジかっ)が献上されたから729年に「天平」へチェンジ。
・そして770年、白い亀が献上されたから元号は「宝亀」と改められた。
*これはさっきの「白ナマコ」のようにアルビノのカメだろう。

 

一世一元の制には「皇帝がその時代を支配する」という考え方があって、中国では明の時代からこれが採用された。
でも、日本がその制度を取り入れたのは明治時代になってから。
いまでは「皇帝が時代を支配する」なんて考え方もなくなり、元号は約1300年つづく日本文化になっている。
日本の歴史をみるとめでたいときや、不幸なことが起きて人びとの気分を変えたいときに、元号が変えられていたことがわかる。
奈良時代には「めでたい亀」の出現で4回も変わったのだから、改元はけっこうカジュアルだ。

現代ではネットで話題になるぐらいだけど、昔の日本で10万匹に1匹という「白いナマコ」が現れたら、それは改元の理由になったかもしれない。

 

 

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2 件のコメント

  • > 元号はベトナムや朝鮮半島でも使われていたけものの、
    ???
    一瞬「けものフレンズ」か「もののけ姫」の話か何か? と思ってしまいました(それも傑作ですが)。

    「亀の名がつく元号は縁起が良い」と考えるかどうかは人によるみたいで、例えば織田信長が政治の実権を握った際には、「元亀」→「天正」という改元を行わせています。いかにも日本人離れした派手好きな独裁者の好みに合いそうな改元ですよね。大人しく首を引っ込めるのはもうやめた!とばかりに。
    ただし、元号に「天」をつけるとかえって「世が乱れる」という説もあったようですが。
    この件、先の大河ドラマ「麒麟がくる」でも描かれています。天正十年当時、改元や改暦までも自分の意のままに行わせるようになった権力者の信長を恐れた「旧来勢力」が結託して、明智光秀を煽って、本能寺でクーデターを起こさせたものという解釈でした。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。