米教授の「慰安婦論文」を否定する、韓国側の”ズルい”やり方

 

「慰安婦は性奴隷ではなくて売春婦だった」

アメリカの名門ハーバード大学のラムザイヤー教授のこの指摘がトリガーを引いて、いま教授は「韓国の敵」と認識されている。

個人的には、当時の慰安婦には親に売られたり業者にだまされて、仕方なくそうなった女性もいたと思うから「売春婦」という呼び方はしない。
ただ、日本軍が嫌がる女性を強制連行し、性奴隷にしたという韓国の主張には何ひとつ根拠がないから、それを歴史の事実として認めるわけにはいかない。
ましてやそれを全世界に宣伝し、日韓に不信や憎悪をばらまく行為には断固反対。
“真実”を否定した教授に対して、韓国側が「慰安婦は性奴隷だった」という根拠を突き付けることができるかどうか注目していたのだけど、いまのところその動きはない。

証拠を提示する代わりに、いま韓国メディアはこんな報道をしてラムザイヤー教授をぶっ叩いている最中だ。
これらはすべて、朝日新聞や読売新聞のような韓国の全国紙の報道だから、ネットメディアのように読者の感情をあおったり、表現を誇張したりする要素は比較的ない。

中央日報の記事(2021.02.08)

「『慰安婦は売春婦』論文、みじめな欠陥」ハーバード教授反撃

中央日報の記事(2021.02.02)

保坂祐二教授、「慰安婦は売春」主張の米国教授に「親日派として知られている」

新聞ハンギョレ新聞の記事(2021-03-03)

慰安婦被害者遺族ら「ラムザイヤー『慰安婦』論文の撤回と歴史歪曲処罰法の制定を」

新聞ハンギョレの記事(2021-03-03)

「ラムザイヤー、歴史歪曲やめよ」慰安婦被害者イ・オクソンさん、保坂祐二教授ら声明

東亜日報の記事(2021/02/18)

世界の慰安婦研究者1129人「性奴隷の正当化を憂慮」、ラムザイヤー教授論文に声明

東亜日報の記事(2021/03/11)

日本の学界・市民団体、ハーバード大教授「慰安婦」論文に批判声明

まさに集中砲火、十字砲火を浴びせている。
でもこれは氷山の一角で、ラムザイヤー教授に対する韓国メディアの攻撃は本当にすさまじい。
「慰安婦≠性奴隷」という韓国のタブーにふれるとここまでされるのだ。

 

とはいえ、教授の論文には重大な問題があることはあぶり出している。
たとえば重要な証拠となる、韓国女性に関する契約内容がなかった上に、ラムザイヤー教授は出どころ不明のものを根拠としている。さらに引用について「誤りがあった」と認めたという。

韓国メディアによるこうした報道については反論ができないし、ラムザイヤー教授の論文もかなりアヤシイことはたしか。

と思ってしまいませんか?
専門家の見方は違う。

公文書研究の第一人者である早稲田大学の有馬哲夫教授は、客観的に見ると、ラムザイヤー教授の論文に問題はなく、「むしろ批判する側に問題が多々ある」と韓国側を非難する。

デイリー新潮の記事(2021年3月17日)

「韓国側の批判は筋違い」、ハーバード大教授「慰安婦論文」批判の悪質な点を指摘する

有馬教授は、日本軍が女性を拉致して性奴隷にしたというような「事実はない」と明言し、論文については「公平に客観的事実を見ればこの結論に至るものである」という。

 

で悪質な批判とはなにか?

まず、「韓国人女性の契約書」という表現には重大な問題がある。
というのは、韓国は1948年に建国されていて、慰安婦のいた戦前・戦中に「韓国人」はいなかったから。
日本国籍の朝鮮人ならいたし、「朝鮮人女性の契約書」または「朝鮮系日本人の契約書」なら存在するという。
だから「韓国人女性の契約書」なんて書き方はあまりに悪質で、有馬教授に言わせれば「根本的な誤表記」でしかない。

さらに「朝鮮人女性の契約書を探せ」という韓国側の意見には、「このような契約書は公文書ではなく私文書だということを知らないのだろうか」と反論。
公文書だったら公文書館へいけばあるだろうが、そこで私文書はみつからない。
「このような高度のプライバシーを含む文書が公文書館で公開されるはずもない」というのが、この分野の常識らしい。
だから韓国側の批判は、「日本、韓国、北朝鮮、および慰安婦のいたアジアの国々の個人宅を一軒一軒回って家探しして見つけろとでもいうのだろうか」というほど非現実的で無意味。ただの嫌がらせだ。

そしてここが肝心なところだが、こういう私文書が「ないことはまったく論文の主張とは関係ない。なぜなら、別の公文書が重要なことを示しているからだ」と言い、ラムザイヤー教授はその公文書を示しているから、論文は全体として問題はないと有馬教授は断じる。

 

多くの日本人の共感を集めたコメント

 

問題があるのは韓国メディアの報道。
相手の主張の一部を切り取るなどし、ゆがめた上で批判する「ストローマン論法」や、印象操作でラムザイヤー氏や氏の論文の信用を失墜させるという戦略をとる。
「みじめな欠陥」、「親日派として知られている」、「ラムザイヤー、歴史歪曲やめよ」といった韓国紙の見出しを見ると、印象操作をねらっているのは明らかだ。論文の内容と「親日派」を結びつけるのは本当に悪質。

韓国側がそんな方法をとった理由は、とらざるを得なかった理由は有馬教授の指摘するこれだろう。

ラムザイヤー教授の示した「ファクト」を正面から否定することは不可能である。

 

「慰安婦は性奴隷だった」という根拠を提示することはできない。
そして「ファクト」を正面から否定することも不可能だから、印象操作で信用を失墜をさせ、韓国に都合の悪い言論は封じようとする。
こういうやり方は覚えておいていい。
それとすべての韓国人がこういう報道を支持しているわけではないことも。

こんなことをしておいて「過去と向き合え」と迫るから、韓国嫌いの日本人が増えてしまう。
それにしても「韓国人女性の契約書」はヒドイ。

 

 

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1 個のコメント

  • 慰安婦問題に関しての韓国側の主張は、「悪魔の証明」を公然と要求する行為なんですよね。
    「無い事を証明出来ないから嘘つき」と非難してる。
    論理的に無理があるんだけど、凄い剣幕で繰り返しまくしたてると印象操作としては成功してしまう、と言う・・・・。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。