【最悪の関係】韓国の「易地思之」で動くほど日本は甘かない

 

韓国の文大統領は3月1日の演説で、日本に対して「易地思之」というメッセージをおくった。
この四文字熟語は日本語にないらしく、読み方がわからんが韓国語では「ヨクチサジ」と言う。
易地思之とは「相手の立場になって考える」という意味で、日本との関係を改善したい韓国政府はつまりこう言いたいらしい。

新聞ハンギョレの社説(2021-03-02)

日本政府は「関係改善の契機は韓国が作らなければならない」という硬直した姿勢から脱し、対話に乗りだしてほしい。

文大統領「相手の立場を考えての対話」、日本も応じてほしい

 

なるほど。
相手の苦しみを自分のものと感じて手を差し伸べる。
そんな「易地思之」は確かに尊くリッパな考え方だけど、いま日本が韓国に求めているのは韓国語にある「結者解之」だ。
これも日本語にはないようで読み方がわからない。
韓国語では「キョルチャヘジ」と言い、自分が起こした問題は自分で解決するという、これはこれで素晴らしいことばだ。
日本語でいうなら「自己責任」か。

これ以上ないほど悪化した日韓関係について、茂木外相は最近こう話した。

「ここ数年間、韓国によって国際的な約束が破られ、また、二国間合意が実施されていない状況というのがある。こうした現状では、問題を解決したいという韓国側の姿勢の表明だけで評価を行うことは難しい」

請求権協定と慰安婦合意を一方的に破って、これ以上ないほど関係を悪化させたのは一体どちらか?
一方的に合意をひっくり返した韓国に、日本はその是正を何度も求めたけれど、文大統領は相手にしなかった。
いまになって「相手の立場を考えての対話、日本も応じてほしい」と言っても手遅れだ。
だから韓国が「易地思之」と言うのなら、日本は「結者解之」で返すしかない。
問題を解決したいという”意思”だけを示しても、それは「結者解之」にならないから、文政権が具体的な行動を見せない限り、日本が対話に乗りだすことないだろう。

そのへんは多くの韓国人も分かっていて、大統領にこう迫るメディアもある。
中央日報日本語版のコラム(2021.03.02I

文大統領が述べたように易地思之の解決策提示が韓日関係改善の第一歩だ。

【時視各角】「韓国防波堤論」は日本に通用しない

 

2013年、当時の安倍首相が靖国神社を参拝し、それに韓国が反発して関係が悪化したとき、駐日大使の経験もある日本通のシン・ガクス氏はこう話した。

韓国経済新聞/中央日報日本語版の記事(2013.12.29)

韓日関係の重要性を考慮した管理が必要だ。日本が“結者解之”できるよう外交的圧力を加えなければならない。

日本が「結者解之」できる外交圧力を…申ガク秀・前駐日韓国大使(1)

 

韓国の立場に立って考えると、いまの逆転した状況では、日本は両国関係を考慮しながら、韓国が“結者解之”できるよう外交的圧力を加えなければならない、ということのようだ。
茂木外相が韓国の外務大臣や駐日韓国大使と会談しないのは、”放置”という圧力をかけているのだろう。

 

韓国には「難兄難弟」という四文字熟語もある。
これは日本語にもあって「なんけいなんてい」と読む。
兄と弟も優秀でどちらが上か判断できない、どちらも五分五分で甲乙つけがたいということだ。
「優秀」という意味を抜いて、韓国政府は自分と日本が「難兄難弟」の同じような立場、どっちもどっちだから、一緒に考えて問題を解決しようと目論んでいるようだ。
でもそれは甘いし、何より不公平。

「ここ数年間、韓国によって国際的な約束が破られ」ということが現在の関係悪化の原因で、その責任は韓国にあるのだから、解決の義務も文政権が負わないといけない。
「結者解之」とはそういう意味のはず。
でも困ったことに当事者に当事者意識がなく、「易地思之」(相手の立場になって考えよう)というメッセージをおくってからもう一か月ほどたつが、文大統領に動きはない。
日本の立場からしたら「一体どの口が」で、そんなことばで日本を動かせるほど「戦後最悪の関係」は簡単ではないのだ。
さて次はどんな四文字熟語を使うのだろう。

 

これはあとで知った話。
韓国で政治の中枢にいる人たちが集まる青瓦台(大統領府)の各執務室には「春風秋霜」という四文字熟語が掲げられているという。
これは「他人には春風のような温かい態度をとり、自分には秋の霜のように冷たく厳しくせよ」という意味。
おいおいおい…。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

国 「目次」 ①

韓国 「目次」 ②

韓国 「目次」 ③

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

支援が私怨に? 無条件の日本支援を“許さない”韓国の対日世論

 

1 個のコメント

  • > 易地思之とは「相手の立場になって考える」という意味で、

    どわははは、片腹痛いわ。
    日本側の立場になって、いかに自分たちがひどい馬鹿げた行動をとっているか、考えなさいよ。

  • コメントを残す

    ABOUTこの記事をかいた人

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。