【音楽や博物館の由来】芸術の神ミューズってこんな娘たち

 

きょう4月9日は日本語だと「死・苦」とか「しくしく」とか不吉な響きがあるんだが、海外では「美術展の日」になっている。
1667年のこの日、パリで世界初の美術展が開催されたことからこんな記念日ができた。
絵画や彫刻の振興を目的とし、1648年につくられたフランス王立絵画彫刻アカデミーがこの会を主催したというから、このへんはさすが芸術の都と呼ばれるだけはある。

 

19世紀の美術品の展覧会(サロン)

 

美術館や博物館を英語で「ミュージアム(museum)」と言い、音楽を「ミュージック(music)」、そして娯楽を「アミューズメント(amusement)」と言う。
これらの単語の元になっているのが「ミューズ(muse)」でこれは、音楽・舞踏・学術・文芸などをつかさどるギリシア神話の女神「ムーサ」を指す。

主神のゼウスを父、記憶の神ムネーモシュネーを母にして生まれた9姉妹がムーサ(英語でミューズ)で、その名前と担当分野はこんな感じ。
*人数や役割については異説あり。

クリオ(賛美する女)は歴史
エウテルペ(喜ばしい女)は抒情詩
タリア(豊かさ)は喜劇
メルポメネ(女性歌手)は悲劇
テルプシコレ(踊りの楽しみ)は舞踊
エラト(愛らしい女)は恋愛詩
ポリュムニア(多くの賛歌)は賛歌
ウラニア(天上の女)は天文学
カリオペ(美声)は叙事詩

この9人(柱)の娘がそれぞれの分野の守護者とされている。
彼女たちに愛された詩人や音楽家は霊感を与えられた一方、ムーサのプライドは高かったようで、調子に乗る歌人は厳しい罰を受けた。
楽人のタミリスが「オレはムーサにも負けない!」と豪語したのを聞いた彼女たちは怒り、タミリスの視力を奪って、さらに歌ったり竪琴をひいたりすることをできなくした。
また、マケドニアにいた歌が自慢の九姉妹が挑戦してきたときには、ムーサは返り討ちにして、九姉妹をカササギに変えてしまった。
美しい歌声で有名な怪物セイレーン(スターバックスのシンボル)もムーサには敗北したという。

そんな学術と芸術の女神ムーサを祀った建物がムセイオンで、これがミュージアムの語源となる。
そう言えば「モザイク(mosaic)」の語源もムーサだった。
「ラブライブ!」に出てくる「μ’s(ミューズ) 」の由来ももちろんこの女神たち。
メンバーはいまのところ、祝福を与えられているらしい。

 

芸術の神アポロン(中央)とムーサたち

 

きょうアメリカ人とイギリス人と一緒にガストでランチを食べたので、ミューズについてたずねてみた。
すると、歌や詩などの創作活動ですごくいい刺激やひらめきを与えてくれる人のことを英語で「ミューズ」といい、「あなたは私のミューズだ!」みたいに言うらしい。
でもこのフレーズは普通の会話で使うにはちょっと大げさで、ドラマのセリフや歌詞なんかで出てくることが多いとか。
古代ギリシアの芸術の女神は、いまでも欧米社会のいろんなところに息づいている。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。