前回書いたように、日本と台湾の関係はこの上なく良好。なのに同じ隣人の韓国とは「戦後最悪」と言われるほど関係は冷え切っている。
この最大の原因は日韓請求権協定と慰安婦合意という、両国関係の土台となる超重要な約束を韓国側がひっくり返したことにある。
日本は韓国に対して、これによってうまれた国際法違反の状態を解消するよう求めているけれど、文政権が動かすのは口だけ。
だから「塩には塩を」で、最近の日本政府は韓国の外務大臣との会談に応じないなど「戦略的無視」で対応している。
戦後最悪にふさわしい状態だ。
関係悪化の原因はこのほかにも、国内には反日、日本に対しては協力を訴える韓国の二重基準がある。
例えば先日ソウル市内で、相星孝一駐韓日本大使と会った韓国のホン・ナムギ副首相兼企画財政部長官は、両国の経済的な協力関係の重要性をアピールした。
中央日報日本語版の記事(2021.04.08)
韓国経済副首相が駐韓日本大使と面会…「韓日の協力が重要」
ホン副首相はこう語る。
「韓国・日本経済は相互補完性と依存性が高く、新型コロナ危機による経済構造急変に迅速に対応する必要がある」
「近隣の韓国と日本が協力することが非常に重要だ」
そして相星大使は、「気候変動、少子高齢化問題は韓国と日本の建設的な協力が可能な分野であり、日本政府の力点課題として、今後、意見および情報交換など協力ができるはず」と述べた。
日韓が共通して直面している問題を解決するため、または利害が一致していることについてはお互い協力は可能だ。
今回はそういう常識的で原則的なことを確認しただけで、実質的な中身は何もない。
結局、韓国政府が問題解決の意思を行動で見せない限り、日韓の間では空疎な意思確認を行うだけで、関係はよくて現状維持、実質的には徐々に悪化していくだけだろう。
その2日後、同じ韓国メディアの紙面を飾ったのはこんな記事。
中央日報日本語版(2021.04.10)
日本、結局は海に汚染水放流へ…恐怖広がる韓国
国際基準を満たした安全な処理水を「汚染水」と言い換えるのは、悪意ありすぎ。
たしかに放射性物質のトリチウムは専用装置でも除去できないから処理水に含まれる。
でもそれを基準値以下に薄めて海に放出することは海外でもやっていることで、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は昨年、日本の海洋放出について「科学的な分析に基づくもので、環境に影響を与えない」と太鼓判を押した。
でも、韓国紙は大げさな表現を使って国民の恐怖をあおる。
基準値以下に薄めるとしても海洋生態系に放射性物質が流入する場合、食物連鎖を破壊し、魚類を通じて各種がんを誘発するおそれがあるという理由からだ。
個人的には日本政府や国際原子力機関の見解が正しいと思うけど、韓国ではこの説を信用する人のほうが多いだろう。
日本の対応には「恐怖広がる」と言うが、両国を客観的な数字で比べた場合、“放射能汚染”はむしろ韓国のほうが深刻だ。
韓国で懸念や関心が高まっていることを受けて、韓国の日本大使館はほぼ毎日、「日本と韓国の空間線量率」を公開している。
それによると4月9日のデータは以下のとおり。(単位:μSv/h)
福島市(0.123) いわき市(0.058) 東京(0.036) ソウル(0.119)
韓国で最も人口が密集しているソウル市が福島市と同じレベルで、いわき市は半分以下、東京では約3分の1だ。
これでも韓国で恐怖が広がっていないのは、みんな知らないからで、国民が知らない理由はメディアが報道しないからだ。
結局、どんな意図をもってどう情報の出すかによる。
「恐怖広がる韓国」の見出しは本当にヒドイ。
日本には、「経済は相互補完性と依存性が高く、近隣の韓国と日本が協力することが非常に重要だ」と訴える一方、国民には反日感情をあおって客観的な事実とかけ離れたような報道を行う。
韓国が日本との関係を非常に重要だとホンキで思うのなら、政府の立場で風評被害をなくす見解を発表すればいい。
そのほうが日本の政府や国民には響く。
ネットのおかげでこういう韓国のメディアや政治家の、都合のいい二重基準をいまの日本人はよく知っている。
だから韓国側が何を言っても、とくにキレイなことばを口にするほど心が離れていく。
日韓関係が戦後最悪となった大きな原因にこれがある。
こちらの記事もどうぞ。
韓国政府の反日が招いた“いま”。韓日友好 vs 屈辱的な姿勢
欧米にはない韓国(日本)の敬語文化。“年下のため口”に怒る人
韓国メディアの問題は、今が最悪だと思います。
韓国のマスコミは「正確な事実を伝える」というよりは、マスコミの主観をより重視して報道します。
それで、読者たちは自分たちが判断する前に言論社の主観に従うようになるのです。
朴大統領弾劾事件も無分別なマスコミの偽ニュースが読者の感情を刺激したために可能だったのです。
韓国の問題···。
一つや二つではありません。
> それを基準値以下に薄めて海に放出することは海外でもやっていること
それどころか、少なくともこれまでは、韓国の原発が放出しているトリチウム水の方が日本よりもずっと多いのですよ。理由は以下の通りです。
トリチウム水はデューテリウム水と同様に、「重水(=普通の水よりも重い水)」の一種です。日本の原発は全て、炉心冷却材として普通の水(軽水、H2O)を循環させて使用する「軽水炉」です。ところが、韓国の原発の一部(月城原発だったかな?)には、冷却材として重水(DHOやTHO)を使用する「重水炉」がありますから、その種の原発では、日本の原発とは比べ物にならないくらい大量のトリチウム水(THOを含んだ水)が出ます。
その処理方法は福島原発と同様に、基準値以下に薄めて海洋放出しています。しかもその基準値は、日本に比べてずっと甘いレベルなんです。
韓国以外の外国ではそのことを(少なくとも専門機関が分かっていて)正しく報道されているので、さほど非難の声が上がらないのです。
朴大統領弾劾事件も感情的で一方的な報道が多かったように思います。
韓国人の知人もネットニュースやユーチューブの政治動画で感情をあおるものが多く、問題だと言っていましたよ。
私は韓国人ですが韓国ニュースを見てから4年経ちました。政権の肩を持つ偏ったニュースばかりですからね。
むしろyoutubeの放送から正しいニュースを探しています。
そして客観的なNHKニュースを見ます。
> ネットニュースやユーチューブの政治動画で感情をあおるものが多く、問題だと・・・
そのことを理解している韓国人も多いでしょう。特に、日本へ働きに出てくるような程度の学力・教養を身に着けて海外へ活躍の場を求めるような韓国人には。
YouTubeにも正確な番組はありますね。
玉石混交から玉を見つけることは、日本でも世界でも大事です。