歴史が動いた。
というのは大げさとしても韓国が変わった。
長年にわたる日韓の最大の外交問題だった慰安婦問題について、2015年に両政府が最終的・不可逆的な解決を確認した。(下の12・28合意)
それと国際法を尊重し、きのう韓国の裁判所が日本政府の主張を認める判決を言い渡す。
日本に賠償を求めていた、元慰安婦や支持者の主張は認められず。
「韓国を『国際法を違反する国だ』と罵っている」と怒っていたチョン外相にとっては、この結果は朗報だ。
韓国は必ずしもそんな国ではないことを示すものだから、安堵したに違いない。きっとそうだ。
でも国際法や合意より、国民情緒を優先する人たちにとってこれは青天の霹靂で寝耳にウォーター、まさかの結果で左派のハンギョレ新聞はこう嘆く。(2021-04-22)
慰安婦問題の最終解決策として12・28合意を認めたのである。(中略)慰安婦問題解決のための30年に渡る闘争史にとって、重大な分岐点となったのだ。
30年の慰安婦闘争史で「最大の暗礁」…日本政府による謝罪と賠償、行き詰まり
韓国の地裁が今回の逆、ことし1月に日本敗訴を言い渡したことをハンギョレ新聞は、「裁判所が国際慣習法上の主権免除(国家免除)原則を破って」とフツーに書いている。
自分たちの“正義”は国際慣習法をも上回ると、当然のように考えているところがオソロシイ。
そんな暴走にブレーキをかけた今回の判断は、これまでとは一線を画すものだ。
「日本政府による謝罪と賠償、行き詰まり」と言われても、2015年に韓国政府がその終了を確認したはずで、今回の判決はそれを追認しただけのこと。
それで「30年の慰安婦闘争史で『最大の暗礁』」と衝撃を受けるのなら、その人間の価値観や認識がそもそもおかしい。
でも今回の結果はそういう“闘争”に疲れたり、嫌気のさした人たちが多く出てきたことの表れでは?
きょねんから多くの韓国民が、元慰安婦の支持団体を“うさんくさい”と気づき始めている。
朝日新聞の記事(2021年4月15日)
慰安婦支援、崩れた「聖域」 韓国で起きた変化
慰安婦問題や韓国政府に大きな影響力を持っていた市民団体『正義記憶連帯』(旧挺対協)の前理事長で、いまは国会議員のユン・ミヒャン氏が約1千万円を横領したとして業務上横領や詐欺罪などで在宅起訴された。
しかしこの人物のカネにまつわる疑惑はこんなもんじゃない。
「慰安婦おばあさんを支援して、日本から真の謝罪を勝ち取ります!」と国民に宣言して活動をしていた正義連。
でも実は元慰安婦を“利用”して、国民からは寄付金、政府からは支援金などを集めをしていたことがきょねんバレた。
2020年に元慰安婦のイ・ヨンスさんが「30年間も利用され、だまされてきた」 と“偽善”を告発したことから、ユン氏や正義連の“聖域”にほころびが生じ、例えば朝鮮日報のこんな記事が堂々と出るようになる。(2020-05-26)
空腹訴える元慰安婦に「カネはない」と言っ放った尹美香氏、家5戸を現金で購入していた
*尹美香(ユン・ミヒャン)
すると今度はユン氏が逆襲。
イ・ヨンスさんは本物の慰安婦ではないとほのめかして、韓国社会は大騒ぎとなる。
そのとき見た韓国のネット掲示板には、「私たちのほうが日本に謝らないといけませんね」という印象的な書き込みがあった。
このあたりから韓国のネットでは、「もう何を信じていいのかわからない。ウソと金の話ばかり」といったコメントがよく書き込まれるようになる。
きょねん朝鮮日報はユン・ミヒャン氏を「神聖な権力」と呼び、政府を動かせるような絶大な力をどのように手に入れたのか分析する記事を載せた。
あれはもう一民間人が持つ権力ではない。
韓国の全国紙・東亜日報で編集局長を務め、日韓関係にくわしいシム・ギュソン氏は、こうしたことでそれまでタブーだった『正義連』への批判ができるようになり、「聖域が崩れた」と言う。
慰安婦問題について韓国政府はもう、正義連などの支援団体の顔色をうかがう必要がなくなった、とは言えないまでも、確実にこれまではよりは減った。
不正やカネの問題で神聖な権力や聖域が崩れていき、それと同時に国民は関心をなくしていき、嫌悪や疲労が高まっていく。
韓国ではこの一年で、そんな『慰安婦問題離れ』が進んでいった。
「30年の慰安婦闘争史で“最大の暗礁”を迎えた」と知っても、せいせいする韓国民も多いはずだ。一体あと何年つづけるつもりなのか。
今回、韓国の裁判所が国際法に基づく公平な判断ができたのも、こんな背景があったからだろう。
読売新聞の記事にあるように、この判決に対して韓国の世論は「半々」といった感じ。(2021/04/22)
歴史を無視・判決は妥当、韓国紙が賛否で二分…元慰安婦の賠償請求却下
大きく見て、この判決を支持する人が二分の一もいるのなら、韓国社会はやっぱり変わったと思う。
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> 大きく見て、この判決を支持する人が二分の一もいるのなら、韓国社会はやっぱり変わったと思う。
あはははは、それは実に楽観的な。
「韓国は確かに変わった」と安心して友好の手を差し伸べる→まさかの関係悪化 とならなければいいですね。
まあ、単に支持率の低下した文大統領から離れたいというだけの、一時的な現象だと思いますが。
どうせそのうち、また反対のことを言いますよ。たとえば最高裁判所とか。