【ホルホル】コロナ禍のフランスで、日本人の評価が急上昇

 

コロナに苦しむ欧米では、感染者や死者の少ない日本が注目されている!

といってもそれはきょねんの夏ごろの話。

「女子SPA!」の記事(2020.07.16)

マスクにスリッパ…日本人の評価がパリで爆上がり。81歳パリ在住の弓さんに聞く

在仏55年以上の弓・シャローさんが、このころフランスでは日本人に対する見方が大きく変わったと話す。
評価が「爆上がり」したワケは、コロナ対策としてフランス人が見習わないといけない生活スタイルが日本にあったから。
この振る舞いや価値観の違いは、そのままフランス人と日本人の国民性を反映している。

まずはマスクの着用だ。
日本ではコロナのまえから花粉症や乾燥対策、風邪やインフルエンザの対策などでマスクを着けて外出する習慣があった。
これは自分のためであり、誰かにうつしてはいけないという他者への配慮でもある。
シャローさんのまわりにいるフランス人はこの習慣を称賛して、取り入れようとする人が増えていると言う。

そして次に、家の中では靴を履かないという習慣。
日本人のように靴を脱いで中に入る人もいるけれど、フランスでは屋内でも靴を履いているのが一般的。
でもそれはコロナ禍での生活にふさわしくない。それで日本人の習慣を採用する人が増えた結果、アパルトマン(アパート)がこうなった。

我が家のアパルトマンでも、気が付けば各戸の前の廊下にはいろいろな靴がずらり。
そこで脱いで、家の中ではスリッパや室内用の靴に履き替える習慣が定着しつつあるようです

 

情熱的なフランス人と冷静な日本人での習慣の違いは他にもある。
あちらの人はハグや握手などの身体接触が好きだし、つばを飛ばしながら議論をすることもよくある。が、こうした行動がコロナ禍で見直された。
それで会釈やおじぎといったあいさつの仕方や、日本人の静かなしゃべり方まで注目されるようになったという。

これに日本のネットの反応は、

・ゴーンの国だっけw
・部屋履きサンダルはむかしから真似してる人いたろ
・評価とかどうでもいいから室内土禁だけは広がって欲しい
・土足で家の中を歩き回り、ベッドに乗ったりなんて考えただけでも汚ない
・コロナ以前から、欧米の大家さんの中には靴を脱いで生活する日本人を歓迎する人もいたらしい
・パリに住んでいたがあいつらハグだけで終わらないからな

といったところ。
意外とホルホル(うぬぼれる・自画自賛)する人は少なかった。

 

 

この記事から1年ちかくが過ぎたいまはどうなのか?
フランス在住の日本人にきいてみたから、以下、その見方を紹介しよう。

 

まず上の記事が出たのはフランスでロックダウン(都市封鎖)が終わったころ。
レストランやカフェの営業や人々の行動が大きく制限されていて、息詰まる生活から解放されたころだったから、確かに『日本礼讃』は盛んだった。

ヨーロッパではロックダウンになるまえ、昨年の年末年始にかけて、日本がコロナの厳戒体制に入っているというニュースが流れて、子どもから大人までみんながマスクをしてバスや電車に乗っている様子が映し出された。
フランスをはじめヨーロッパでは、もともとマスクを付ける習慣がない。
医療関係者や入院が必要な患者ならマスクをするけど、一般人がそれを付けて買い物にでかけるといったことは普通はない。
当時は「マスクでは予防にはならない。無意味だ」という見方がフランスでは支配的だったから、日本で多くの人がマスクをして街を歩いたり、公共機関を利用している光景には違和感しかない。
なんでそこまするのか?理解できない。といった見方をするフランス人が多かった。

でもコロナの感染が広がって、患者や死者が急増すると一変。

マスクをつける習慣がなかったから当然、流通している量も少なくて、フランスではマスクがすぐに売り切れて『マスク難民』が続出。
医療従事者でさえマスクの入手が困難になったころ、初めてマスクの重要性が認識されるようになった。
とはいえマスクの供給量が突然増えることはないから、手作りのマスクや家にある布を医療従事者など最前線でがんばっている人たちに届けるようになる。
これはSNSで拡散され、全国的な活動になった。
でもコロナの侵略をおさえることはできす、ヨーロッパの国が次々とロックダウン状態となっていく。

が日本を見ると、そこに広がるは別世界。
人口比を考えると、コロナの感染例はフランスの10分の1程度だったことから、「マスクの効果はすごい!あれが正解だったんだ」とマスクの着用に話題が集中する。
それと並行して、日本人の生活習慣全体がフランス人の関心を集め、靴を脱ぐ習慣も良いのではないかと言われ始める。
最低限の外出しかできなかったロックダウンの最中、靴を脱いで屋内に入ることが望ましいというフランスメディアの報道があったから、その影響もあったと思う。
アパルトマンの入り口のや、階段の踊り場に靴が並ぶようになったはそのころ。
「外出から戻ったらすぐにシャワーを浴びよう。服は60度で洗いましょう」といったことがメディアで推奨されて、ウンザリするフランス人も多かった。

ここ一年、「日本はロックダウンをしないのに、なんでコロナの患者が少ないのか?人々はどんな生活をしているのか?」ということを多くの人に聞かれた。
それで、日本人は思いやりを重視するから、いつもまわりに配慮して行動している。電車の中で大声で話す人や電話で話す人は本当に少ない。日本人は自分勝手な行動はしない。といった話をする。

フランス人はどちらかというとこの反対側にいる人たち。
だから、こういう話を聞くと「へ~そうなんだ。それは素晴らしいですね」と感心するけど、口でそう言うだけで、見習う人はほぼ皆無。
外出禁止令が出ると、かえってそれに反抗したくなって、あえて野外パーティーを行うことがよくある国の人間からすると、「それは素晴らしい!」と思ってもマネできないものもある。

というのが、ここ一年でのフランス社会における日本人観の変化。
でもいまは完全にフェーズ(局面)が変わった。
現在のフランスでは、日本のオリンピック開催を悲観的に考える人ばかり。
だから最近の日本についての話題は「日本人の生活習慣を取り入れよう!」から、「日本はなんでオリンピックを中止しないのか?本当にできるのか?」という疑問や批判が多くなった。

仏在住の日本人から聞いた話はここまで。

 

欧米ではいまワクチン接種が急ピッチに進んでいて、日常生活が戻りつつある。一方、日本はその正反対の方向へ進んでいる。
3月の終わりに緊急事態宣言が解除されたと思ったら、今度は『まん延防止等重点措置』が発令されて、それでもダメだったから東京や大阪ではまた緊急事態宣言が出された。
今度は「なんで欧米ではワクチン接種が早くて、日本はこんなに遅いのか?」ということを日本人が考えないといけないらしい。

 

 

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外国人から見た日本と日本人 15の言葉 「目次」

ヨーロッパ 目次 ②

ヨーロッパ 目次 ③

ヨーロッパ 目次 ④

 

3 件のコメント

  • > 日本人のように外で靴を脱ぐ人もいるけれど、
    ???
    ちょっと何言ってるか分かんないのですが。

  • > 気が付けば各戸の前の廊下にはいろいろな靴がずらり。

    まあその、日本人に見習おうとするその考え方は理解できるのですが・・・。
    たとえば家の中に「仕切り」を設ける(材木を置くとか、レンガを並べるとか)ことはしないのでしょうか? その状況では他の住民から「邪魔だ、臭い、避難時の障害になる!」と苦情が出そうだし。
    そもそも靴が盗まれないのかな? (さすがに南東側の半島の隣国とは違うか。)

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。