【和歌山の由来】日本屈指の“影薄い県”でも、豊臣秀吉が名づけた

 

2018年に「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家が死亡して、つい先日、55歳離れた元妻の女性が殺人の容疑で逮捕された。

この事件について『北野誠のズバリ』(4月30日放送)で、北野誠さんが事件そのものより地名に注目し、「なんで“和歌山のドンファン”と呼ばないのか?」と疑問を投げかけた。
紀州は江戸時代に使われていた呼び方なのに、3年前の事件になんでその言葉を使うのか。
もしわが静岡で同じような事件があったとしても、「駿河のドン・ファン」と世間で呼ばれることは考えられない。

北野さんの話では、和歌山には知名度やインパクトがない。
和歌山県の知事がそれに頭を悩ませていて、まえに北野さんと会った時には「和歌山をみなさんが知らないこと」が一番の悩みと語ったとか。
和歌山県民のなかには初対面の人に、「大阪出身」と言う人もいるらしい。
備長炭、梅、みかんといった和歌山の特産品を東京などで売り出す時には、それぞれ紀州備長炭、紀州梅、紀州みかんにしたほうが「和歌山」より売れるという。

つまり和歌山はブランド力で紀州に負けているのだ。

 

和歌山は全国屈指の「影の薄い県」。
そのことは県民がよくわかってらっしゃるようで、主観と独断で書き込めるChakuwikiの和歌山にはこんなことが書いてある。

・近畿のおまけ
・大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県「あれ?いたの?」
・大阪に隣接していることだけが頼り。大阪に寄り添う和歌山市だけが中核都市として繁栄できる。
・「近畿2府4県は?」と聞かれると必ずと言って良いほど和歌山県が出てこず、三重県や福井県と答える人が多いらしい。
・ほうぼうからボロカスに言われている和歌山県であるが、実は、昔の関西文化を最も色濃く残している地域である。
・近畿地方以外では和歌山は四国にあると思っている人が多い。

 

和歌山城

 

でも知人のアメリカ人は一度も行ったことがないのに和歌山を知っていて、しかも「覚えやすい」と言う。
静岡、愛知、滋賀、大阪、奈良と日本の地名は漢字二文字が圧倒的に多くて、言葉を見ただけでは区別がしずらい。

*その理由は奈良時代に朝廷が「二字令(好字二字令)」という命令を出したから。

欧米人の不満。日本や韓国の地名が漢字2文字の理由は?

だから漢字三文字の「和歌山」は、そのアメリカ人にとっては分かりやすいらしい。

 

さてこのまえ、「岐阜」という地名をつけたのは織田信長という話を書いた。

【天下布武】「岐阜」の由来・改名した織田信長の思い

岐阜が信長の命名なら、「和歌山」と名づけたのは豊臣秀吉という話をご存じだろうか。
戦国時代にやってきた宣教師のルイス・フロイスが、

「紀州の地には四つ五つの共和国的な存在があり、いかなる権力者もそれを滅ぼすことができなかった」

と言っているように、当時の和歌山(紀州)は様々な勢力が群雄割拠している状態で全然まとまっていなかった。
そこへやってきた秀吉が武力で統一。
そして昔から有名な名勝地「和歌浦」に対し、「和歌山」と命名したということがニュース和歌山に書いてある。

決定的なのは1585年、羽柴秀吉による紀州統一です。秀吉は和歌山城を建てる場所を岡山に選び、南にある和歌の浦を合わせ、初めて「和歌山」という地名を書状に記しました。

和歌山県の「和歌」 その由来は?

 

和歌浦(わかのうら)は和歌山県の北部にある景色のいい場所で、『万葉集』に詠まれたこともある。

 

和歌浦

 

奈良時代のまえは「弱浜」(わかのはま、よわはま)と呼ばれていたのが、724年にここを訪れた聖武天皇によって「明光浦」(あかのうら)になった。
聖武天皇と同時代の歌人、山部赤人は万葉集に「若の浦」と書いているから、この表現も使われていたことがわかる。
この「若」がいつごろか「和歌」になったらしい。

そして豊臣秀吉が現在の和歌山を決定づけた。
だから全国ではきわめて透明度の高い県だけど、命名した人物の影響力やキャラの強さは日本史でもトップレベル。
でもこの由来は全国ではあまり知られていないような?
影が薄くて、みんなあえて調べようと思わないのか。

 

 

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1 個のコメント

  • > でも知人のアメリカ人は一度も行ったことがないのに和歌山を知っていて、しかも「覚えやすい」と言う。
    静岡、愛知、滋賀、大阪、奈良と日本の地名は漢字二文字が圧倒的に多くて、言葉を見ただけでは区別がしずらい。
    > だから漢字三文字の「和歌山」は、そのアメリカ人にとっては分かりやすいらしい。

    漢字を覚えるのが非常に困難な欧米人にとっては、単に文字数だけで区別できる「和歌山」「北海道」は、他の都府県に比べて区別しやすく覚えやすいというのは納得です。
    それ以外にもう一つ、「和歌山」「大阪」「青山」などの地名は彼らにとって発音しやすいらしいです。カナで表現すると「ワヵヤ~マ」「ォォサ~カ」「ァォヤ~マ」といった感覚ですかね。多音節ではあるが、アクセントを置く場所をハッキリさせやすく、それが発音のしやすさと覚えやすさにつながっているらしいですよ。
    それに比べて、「キシュ(紀州?九州?)」「シズヵ(静岡?鈴鹿?)」なんかは発音もしづらく、聞き分けも難しいとのこと。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。