【漢字文化】台湾で女性に「勝男」という名前をつける理由

 

日本人は漢字がわかるから、中国人や台湾人と筆談でのコミュニケーションができるし、同時に誤解もうまれやすい。
以前、「愛新覚羅 浩」という中国人の名前を見て、てっきり男かと思ったら「浩(ひろ)」という女性だったでござる。
しかもよくよく調べてみたら、この女性は嵯峨 浩(さが ひろ:1914年 – 1987年)という日本人。
彼女は中国最後の皇帝・愛新覚羅溥儀の弟、溥傑(ふけつ)と結婚した女性だった。

 

溥傑と浩の婚礼(昭和12年)
文字だけ見て「同性婚?」とカン違いする日本人が続出するのでは。

 

abcといったアルファベットではなくて、亜・井・鵜といった漢字にはそれぞれ意味があるから、日本人だと、どうしても文字の意味に引っ張られてことばを判断する傾向がある。
それで最近ビックリしたのが、台湾人の「勝男」という女性。

台湾ドラマ『結婚なんてお断り!?~必娶女人』で「郝勝男」という女性がいたから、「いやいや。これはドラマの中での話で、娘にそんな名前をつける親は現実世界にはいないでしょ」と思ったが、でもひょっとして?という疑念もわいた。

それで台湾人や台湾社会をよく知る日本人に、女性に「~男」と名づけることがあるのかどうか、もしあったとしたらそれは一般的なことかきいてみたから、それに寄せられたコメントを紹介しよう。

 

・「男に勝つ」という言う名前です。
ドラマのキャラ設定のためにつけた名前だと思います。
一般人では少ないです。

・男のようにしっかりと自立して、強く生きてほしいという親の願いを込めて、女の子に「男」の字を使うことがあると聞きました。

・男尊女卑の影響が強かった昔なら、女性に「~男」とつけることはありました。

・伝統的な考え方をしていた両親は男の子がほしかったので、生まれた女の子に男っぽい名前をつけることがあった。それにはこんな願いがある。

1,この女の子は男の子のように、強くたくましく生きてほしい。
2,次は男の子が生まれてほしい。

・わたしのおじいさんの時代には、やっぱり男の子が生まれてほしいから、女の子が生まれたら「男」で名づける場合もあった。
また昔は家族によって命名のルールがあった。
例えばうちの一族の場合、昔は女性の名前の三文字目は「蘭」で、みんな「〇〇蘭」となっていた。

・今の女の子はあまり「〜男」を名付けてないですね!
でも70代以上の世代なら、男の子がほしい家族はそのような名前を女の子につけました。ほかにも、「弟がほしい(招く)」という意味で「招弟」という名前もありました。

・友達にいました。
次は男の子が生まれてほしいから 親はその女性に「ケン(漢字忘れた)男」と名づけたそうです。

 

男尊女卑の考え方が強かった時代に、「男のように強く育ってほしい」「次は男の子が生まれてほしい」という願いから、親が女の子に「~男」と名づけたというのは、説明を受けたらまぁ理解はできる。

そういえば今年3月に台湾のスシローが、名前に「鮭魚」の文字がある人は無料でスシが食べられるというキャンペーンをしたところ、役所に行って名前を変えて「鮭魚」のある名前にする人が続出してニュースになった。

食べ放題キャンペーン、台湾人とロシア人の“らしい”発想 

そんな簡単に名前を変えていいのか?と思ったら、台湾では3回までなら名前を変えることができるから、食べ終わったらまた役所に行って元の名前に戻すので問題ないらしい。

 

日本人と台湾人は同じ漢字を使う民族だから、わかり合えることもあれば、それが理由でカルチャーショックを受けることもある。
漢字の世界ってホントにおもしろいし奥深い。

 

 

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1 個のコメント

  • 女の人に「勝男」ですかぁ・・・。そう言えば、サザエさんに登場する男の子が「カツオ」でしたね。でもイタリア語では、その名前を名乗るのは止めた方がいいです、女の子も男の子も。なぜかと言うと、イタリア語の「Cazzo!」は、「バカヤロー!」「こん畜生!」「チ◯ポ!」なんていう意味なので。(これは本で読みました。)
    もう一つ、日本人の名前と外国語の話で、忘れられない実体験があります。30年くらい昔、スペインで、私の友人が「マイ・ネイム・イズ・ヨシ~ダ(吉田)」と完全に正しい英語で自己紹介したとき、相手のスペイン人はなぜか怪訝な顔つきを。その理由は後で聞いて初めて知りました。スペイン語でSIDAはAIDS、YoはI、つまりさっきの自己紹介は、スペインでは「私はAIDSです」というとんでもない意味になってしまうのです!

    その理由を教えられたとき友人が気の毒で・・・。だけど、どうしても爆笑を止められなかった。
    お詫びとして、そのスペイン人ガイドの可愛らしい人形みたいな女の子の相手は、友人に譲りました。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。