自分の気持ちをハッキリ表現しない日本人と違って、アメリカ人は自分の考えをシッカリ言葉であらわす。
自己中心的なアメリカ人と違って、日本人は周りの人に配慮して行動する。
国に限らず、「大阪人は明るくフレンドリーだ。でも京都人はそんな大阪人を嫌う」といった先入観や思い込みをステレオタイプという。
これ自体は良い/悪いの問題はではなくて、ある国や地域に特定のイメージを持つことは世界中の人がやっていることだ。
「それは人によって違う」という当たり前でつまらない意見より、よっぽど発展性がある。
大事なことはその内容と表現方法で、ポジティブなものならいいけど、差別や蔑視と受け止められるネガティブなものだと問題になる。
それでこのまえ日本人の音楽グループが大失敗して、ちょっとした国際問題になった。
さてワタクシ、外国人との付き合いがわりと多いもんで、「あの日本人の態度やことばにはムカついた!」という話はチラホラ聞いたことがある。
なのでこれから、インド人とベトナム人がぶちまけた怒りや不満を紹介しようと思う。
インドとベトナムに対して、こんなステレオタイプのイメージを持っている日本人はほかにもいるのでは?
日本の会社で働いていたインド人(20代男性)があるとき、日本人から国際交流っぽいパーティーに誘われた。
彼は日本の社会に溶け込もうと日本語を学んでいて、日本人の友人をつくりたかったからお礼を言って、当日、インドの食べ物を持参してその日本人の家へ行く。
そこには外国人との交流が好きそうな日本人が数人いて、彼はみんなから笑顔と握手で迎えられる。
フレンドリーな人たちとテーブルの上に並んだ食べ物や飲み物を見て、これから楽しい時間が始まる予感しかしなかった。
でも、彼を誘った主催者の日本人から、「君はインド人なんだから、手でつかんで食べなよ」と言われて絶句。
「いやいやそれはダメですよ。〇〇さん」という声が飛んできて、「冗談だよ。箸で食べていいよ」と主催者が言い直す。笑顔を浮かべたままで。
インド人は手づかみで物を食べることがよくある。
といっても、さすがにこういう場で刺身や麺などを手で食べることはない。
インドはイギリスの植民地支配を受けていて、社会には日本以上に西洋化した部分もある。
小学校から大学まで英語の授業を受けてきたそのインド人は、そこにいたどの日本人よりも流暢な英語を話して、ナイフとフォークを上手に使うことができたと思う。
なのに「手で食べろ」というのは人種差別レベルの侮辱で、「箸で食べていいよ」という言い方にも腹が立ったと言う。
その場で帰ってやろうと思ったけど、これまで主催者の日本人から、自分への悪意や敵意を一切感じたことがなく、好人物と思っていた。
それで、もう少し様子を見ようと思いとどまる。
最低最悪の気分から始まったものの、料理はおいしかったしそこにいた人たちとの会話も楽しかったから、結果としてはハッピーエンドで終わることができた。
結局、主催者の日本人は基本的に善人で、無礼な性格というよりは無知から、あれが冗談になるとホンキで思ったのだと彼は感じた。
インド人夫婦に招かれた食事会で出されたメニュー
きょねん知人のベトナム人からも、日本人の無神経な一言でムカついたという話を聞いた。
何かの集まりで、ベトナムに興味があるという日本人と知り合い、日本語を学んでいた彼はその日本人を食事に招待することにした。
彼は知人友人のベトナム人をアパートに集めてよく食事会をしていて、そこは「誰でもウェルカム」のフレンドリー空間だから、日本人が来ても問題ない。むしろ来てほしい。
それで声をかけた彼にその日本人は、「ありがとう。でも犬肉は出さないでね」と笑いながら言う。
これはまったく冗談になっていない。
というのはそのベトナム人は母国の犬肉食には反対で、あれを“蛮行”と嫌悪していたから。
この日本人はある程度ベトナムのことを知っていて、悪い人間でもないのだろうけど、言っていいことと悪いことの区別がつかないのだと考えた。
とにかくその一言ですっかり心が冷えて、視線も冷たくなったという。
「インド人はカレーばかり食べている」とうステレオタイプのイメージで、日本人の音楽グループがインド人を怒らせて、「インド人は手で食事をする」という先入観が不快にさせた。
たしかにベトナムには犬肉を食べる習慣があるけど、それに反対する人はたくさんいる。
どの国や社会にもそれぞれ独特の文化や特徴的な一面があるとしても、それが全てじゃないし一言で片付けてはいけない。
それを強調すると冗談では済まず、相手を不愉快にさせることもある。ということは、「日本の男はほとんどが性犯罪者だ。女性で痴漢の被害にあわない人はいない」と言った外国人(実話)のことばを聞けば納得できるはず。
これほどひどくはないとしても、日本に住んでいる外国人に向かって何も脈略もなく、「あなたは箸で食事ができますか?」とか「納豆を食べられますか?」と何度も何度も日本人からきかれて、「いい加減うざっ」と思う外国人はけっこういる。
なんで、できないことが前提なのか?
ステレオタイプのイメージには要注意ですよ。
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あー、こういう「場違いな冗談をかます」日本人って、結構多いです。原因はおそらく、コミュニケーション能力の低さ(←単なる英会話能力の話じゃないです)ゆえに「自分の周りの日本人以外の人々がどういう考え方をしいるのか」に思いを巡らすだけの「想像力」が足りないのでしょう。
外国人とのコミュニケーションに限った話ではありませんが、ステレオタイプの考え方に陥って失敗するのは、結局「勉強が足らない」からです。教科書を丸暗記するだけが勉強じゃありません。ネットの世界を覗いてみたり、もしも相手を不愉快にさせたならその理由をちゃんと聞いてみるとか、あるいは大失敗して警察に捕まってしまったらどうしてそんなことになったのかよく考えること、そんなことも勉強です。
ま、自分も似たような失敗をしたことはあるし、されたことだって何度もありますけどね。
それと、たとえ相手を不愉快にさせてしまっても、そのような場では「何も言わずに黙っている」よりはるかにマシだと思いますよ。たとえ結果的にその外国人がパーティの途中で帰ってしまったとしてもです。
誰しも失敗はします。大事なのは早くリカバーすること、同じ失敗を繰り返さないことです。
ステレオタイプの考え方には要注意だけど、注意ばかりで一歩も前へ踏み出さなければ進歩はありません。
外国人なんて日本人に対してそのオンパレードだけど。