【インド人が見た日本】遅れてる/素晴らしい!と思うところ

 

5月26日は、東名高速道路全通記念日。
1969(昭和44)年のこの日に、大井松田IC~御殿場ICが開通したことで、東京から愛知(小牧市)までの東名高速道路が全線開通した。
これに名神自動車道をくっつけて関東~関西を結ぶ大動脈が完成したのだから、この全通が日本の経済や発展に与えた影響ははかり知れない。

 

さて数年前、「富士山を見たい」と言うインド人がいたから、静岡県民の義務として、彼と友人を乗せて東名高速道路を使って行ってきた。
*その後2、3日、車内から“カレー臭”が取れなかったことは言うまでもないだろう。

その帰り道に富士山の感想を聞いたら、「富士山は本当にキレイだった」というよくある反応のなかに、「それとは別で、わたしは日本の高速道路も本当にすばらしいと思う」と一人のインド人さんが言う。
なのでそのワケを聞いてみた。

まず日本の高速道路には非常用の電話がたくさんある。
インドのハイウェイにもSOS用の電話はあるけど、その間隔がすごく離れているから、非常時に助けを求められないこともある。
でも日本なら、ドライバーはすぐに必要な支援を受けることができる。
それに電光表示板があって渋滞が起きている理由や、渋滞を抜けるまでのおよその時間が表示されていた。
インドは不親切だから、ドライバーにそんな情報を知らせるものはない。

すると後ろの座席にいたインド人も話に加わって、「もしインドにそんな電光表示板ができても、きっとすぐに壊れる。そして誰も直さないから、いつまでも壊れたままだね」と言って笑う。

近年のインドは経済的に発展していて金持ちもたくさんいる。その数はきっと日本よりも多い。
ハイウェイにはBMWやベンツのような高級車も走っているけど、でもそれは「金持ちがいる」ということを示すだけ。
日本の高速道路のようにドライバーのことを考えて、安心して走りやすい道を造ってはいない。
「先進国というのは、こういうハイウェイのある国なんだよ」という意見にほかのインド人も賛成していた。

 

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彼らと見た富士山と、写真を撮るシク教徒のインド人。

 

 

そんなふうに賞賛し、日本人をホルホルさせてくれるようなインド人もいれば、「日本のIT環境がここまで遅れているとは思わなかった」と不満を口にするインド人もいた。

彼が日本に来たとき、銀行口座を開くためには書類に記入して印鑑が必要なこと、さらに口座を開くまでに1週間ほどかかったことに心底ビックリしたという。
インドならそんなことで手書きの作業はないし、ネットを使ってすぐに口座を開くことができる。
彼にとってはこれが日本の第一印象も同然で、本当に強烈だったらしい。

そういえばこのインド人は、コロナ対策として外出自粛が強く求められているのに、日本では書類に印鑑を押すため/もらうためだけに、電車に乗って上司と部下が出勤する会社もあると聞いて「開いた口がふさがらない」という状態だった。
21世紀の世界トップレベルの先進国の話とは思えないと。
まぁこのバカバカしさは、多くの日本人も指摘していたんだが。

ほかにもセブンイレブンでアルバイトをしていたインド人留学生から、店内にファックスがあるのを見て絶句したという話を聞いたことがある。
20代の彼は昔どこかで見た記憶はあるけど、いまのインド社会でファックスは絶滅したも同然。
母国なら博物館にありそうなシロモノが日本では現役で、しかもけっこう利用する人が多くて店に利益を与えている。
これには本当に驚いたと言う。

 

そんな彼らに高速道路で感心したインド人の話をすると、「IT環境ではインドより遅れている面はあるけど、総合的に見ると日本はだんぜん住みやすい」と納得の様子。
日本に来てから数年の間、停電なんて一度もなかったし、使っているモノが壊れることもなかった。
インドに比べて、基本的に日本にある物はすべて質が良い。
それにインドの道を自転車で走るのはチャレンジだけど、日本の道路はメンテナンスも含めてしっかりしているから安心して走ることができる。

別のインドから、インドでは夏になると道が溶けるという話を聞いたことがある。
日本人にはちょっと理解できないこの異常現象について聞くと、「そうそう。だからそういう箇所ではスピードを落とすんだよ」と彼らは笑って言う。

日本の道はすごい!暑いインドは、道が溶けて蚊も飛べない。

日本なら建設会社や役所の責任問題に発展するような重大事でも、インドなら「ノープロブレム」で済んでしまう。(いや済ませるな)

日本に住んでいると「え?」と思うこともあるけれど、「さすが!」と感心ことのほうが多い。
インドなら絶対にないような細かい配慮があるから、住みやすさでいえば、日本は間違いなく世界有数の先進国というのが彼らの意見だ。

 

 

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1 個のコメント

  • > そんな彼らに高速道路で感心したインド人の話をすると、「IT環境ではインドより遅れている面はあるけど、

    確かに、日本が「遅れている面」もあるでしょう。
    だけど、そんな彼らが言うところの「インド(という国)」「インド人」って、どこまでの範囲なのですかね?
    インド亜大陸の隅々までIT環境が普及していますか? インドはどこでもスマホが使えるのですか?
    インド人は全体で約13億人もいるそうですけど、そのうちスマホを使っていて、IT環境の恩恵に預かることのできるのは何人くらいですかね? カースト上位クラスに属さない国民はインド人ではない?
    全国土・全国民に対する割合で考えると、未だに日本の方がIT環境(←広い意味での)は、「より優れている」と思いますよ。まだまだ「上級国民」も「下級国民」もさほどの違いはありません。

    ただし、その「平等性」も、昨今ではデジタル化の普及とともに次第に崩れつつあるのですけどね。
    そのように、ある意味、デジタル化には必然的に「弊害」をも伴うことを、心優しい多くの日本人は直感的に悟っているのでしょう。だから根強い反対論があるのだと、私はそう思います。

    でもねぇ、今後、デジタルを武器にした世界の経済競争に勝ち残っていくには、ある程度の「犠牲」をも払わねばならない。そんな冷酷な実情が当然あるのですけどね・・・。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。