日本の国民食といえばカレー。
海上自衛隊には毎週金曜日にカレーを食べるというお約束があって、海上や海中で生活している隊員はカレーを見て、「お、今日は金曜日か」と曜日感覚を忘れないでいる。
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イギリス海軍にもそれと同じ理由で、毎週金曜日にフィッシュアンドチップスを食べる伝統がある。
フィッシュ&チップスは白身魚の揚げ物とフライドポテトという「高カロリー&高カロリー」の組み合わせで、イギリスでは国民食になっているし世界的にも有名な一品だ。
この「チップス」はイギリス英語でフライドポテトを意味していて、日本でいうポテトチップスのことではない。
英海軍の空母「クイーン・エリザベス」が先日のフィッシュアンドチップスの日を祝って、カレンダーのない生活ではこの食べ物が金曜日に気づかせてくれるとツイートした。
Taking the oppor-tuna-ty to wish you all a happy National Fish and Chips day.
For those of us on board without a calendar, Fish and Chips is often the only reminder that it’s a Friday!
🐟🍟 pic.twitter.com/v32aI0aj3O— HMS Queen Elizabeth🇬🇧 (@HMSQNLZ) June 4, 2021
6月の第1金曜日はイギリス全体で「フィッシュ・アンド・チップスの日」という記念日になっているから、この日にパブなんかでこの料理をほおばる国民は多い。
イエス=キリストが金曜日に処刑されたことから、カトリックでは伝統的に、この日は肉を食べることを控えて代わりに魚を食べることがあった。(魚は肉カウントされない)
この影響から「金曜日は魚を食べる日」という考え方がイギリス社会にある。
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フィッシュ・アンド・チップスは産業革命という時代が生んだ食べ物でもある。
産業革命によって鉄道網が整備されて蒸気船が登場し、新鮮な魚をロンドンなどの大消費地に運ぶことが可能となった。
また1880年代からは、トロール漁業によって大量の魚を獲ることができるようになる。
こうした技術革新のほか、安くて栄養のある食べ物(つまり高カロリー)がほしいという肉体労働者の需要から、フィッシュアンドチップスは労働者の間で広く食べられるようになった。
階級社会のイギリスでは当初、これは肉体労働者の食べ物として、中・上流階級の人間からは相手にされなかったらしい。
この食べ物は国民にとってとても大事だったから、イギリス政府は第一次世界大戦中、魚とチップスの供給はしっかりと守った。
これは、国民に十分な食べ物を与えることができなかったドイツと違って、家族が健全でいることの重要性をイギリス政府が認識していたからという。
the British government made safeguarding supplies of fish and chips during World War I a priority: “The cabinet knew it was vital to keep families on the home front in good heart, unlike the German regime that failed to keep its people well fed”.
英政府は第二次世界大戦のときにも、魚とチップスの供給は守った。
こうしたことから、フィッシュアンドチップスは全イギリス人から愛される国民食としての地位を築いていく。
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この fish and chips なんですが、どうして英国ではフライドポテトのことが chips なんですかね? 英国のフライドポテトは形が太短いから?
米国での呼び方も分かりません。どうしてこれが French fries なんですか? あの食にうるさいフランス人が、こんな物そんなに食うわけないと思うのですが。(今の若い人達は違うだろうけど。)
ちなみに、「フライドポテト」は完全な和製英単語なんだそうですよ。ただ英米人にも、いちおう意味は伝わるらしいですが。
う~ん、なんででしょうね。
わたしにも分かりません。
米国の Wikipedia で French fries の Etymology(語源)を調べてみました。
in the 1856 work Cookery for Maids of All Work by E. Warren: “French Fried Potatoes. – Cut new potatoes in thin slices, put them in boiling fat, and a little salt; fry both sides of a light golden brown colour; drain.”[17] This account referred to thin, shallow-fried slices of potato (French cut)
米国では19世紀の料理本に「フレンチ・フライド・パテイトゥズ」という料理が紹介されていて、そこではじゃがいもを薄くスライスして浅く揚げた料理を「フレンチ・カット」と呼んだ記録があるそうです。
In the early 20th century, the term “french fried” was being used in the sense of “deep-fried” for foods like onion rings or chicken.[18][19]
20世紀の初頭には、オニオンリングやフライドチキンのように「しっかり揚げる」ことを「フレンチ・フライド」と表現しているとのこと。なるほど、「フレンチ」とは、油にどっぷり漬ける揚げ方のことだったのですね。
あれ、もしかして「フレンチ・◯ス」とか「(米国で使われる)フランス語のソワサン・ヌフ」って、そっちから来たのかな? いかにも「どっぷり漬ける」って感じなので。