最近の米国は”白人受難”？『白雪姫』で初めてラテン系女優

黒人奴隷を家畜のように扱い、豚や牛と同じく「一頭、二頭」と数えていた白人絶対優位の時代はもう昔の話。
現代ではよく人種差別事件の加害者側に置かれ、白人の社会的な立場は”弱まっている”ようだ。

その象徴が「Black Lives Matter」（黒人の命は大切）という人種差別撤廃運動。
2020年５月に白人の警察官が横たわる黒人男性の首にひざを当て、全体重をかけるように上から押しつけて死亡させる事件が発生すると、アメリカはもちろん世界中で人種差別への抗議運動が巻き起こった。

そのころ「ザ・シンプソンズ（The Simpsons）」という有名なアメリカのアニメに変化があった。
これはアメリカのアニメ史上、最も長く視聴されているコメディ番組で、いまでは世界60か国以上で放送され、毎週6000万人以上が視聴しているという。
そんなアメリカを代表するようなアニメで、登場するキャラクターと担当する声優の人種を一致させることがきめられた。
それまでは黒人・アジア系・ヒスパニック系など有色人種のキャラの声を白人が担当することがあったけど、これからはそれを禁止にして、それぞれの“肌の色”の声優をキャスティングするということだろう。
くわしいことはこの記事を。

【BLM】日米の価値観の違い：キャラと声優の人種を一致する

アメリカの視聴者は声で人種が分かるのか？
これで白人は仕事を失い、そのぶん有色人種がチャンスをもらうことになるから、平等といえば平等か。
アニメキャラと声優の人種を合わせるという、日本だったら絶対ないような配慮をしないといけないのがいまのアメリカ社会。
「それは人種差別だ！」と批判されると、社会的に抹殺されたり大ダメージを負ってしまうこともあるから、これは必要な予防策だ。

この決定もそういう配慮からなのか？

AFPの記事（2021年6月23日）

実写版『白雪姫』にラテン系女優ディズニーが起用

『白雪姫（Snow White）』ではこれまで、主役の白雪姫を演じる女優は白人ときまっていた。
それが今回ガテン系の、いやラテン系（コロンビア系）の米国人レイチェル・ゼグラーが起用されたことで、そんな発想は時代遅れとなった。

レイチェル・ゼグラー

この女性は３万人による公開オーディションを勝ち抜いた逸材だから、実力は折り紙つきなんだろうけど、どうもそれだけが理由とは思えない。
まぁどっちにしてもアメリカのことだから、アメリカ人の好きにしたらいいですよ。
とりあえず、「ディズニープリンセス＝白人女優」という図式は完全に崩れたとみて間違いなさそう。

でこれに日本のネットの反応は？

・黒い白雪姫なんてありなのかよ
・白でも黒でもええやん
・ハリウッドも大変だな
・ポリコレ棒で殴られた感じの絶妙なルックスだな。
・そのうち、心は女の男がプリンセスをやる日が来る
・『肌は雪のように白く、髪は黒檀のように黒く、唇は血のように赤い』だったのに
・これが有りなら北欧系白人の三國志も有りだよなぁ

白雪姫＝白人ではないし、白＝美しいというワケでもない。
これまでのステレオタイプのイメージをぶち破る、新しい白雪姫はそんな多様化した価値観の表われだ。
でも最大の問題は、この『ニュー白雪姫』が成功するかどうかだ。

白人の俳優が多く受賞することから、近年のアカデミー賞は「白すぎるオスカー」と批判されてきた。
ことしのアカデミー賞ではそんな「白偏重」ではなくて、中国出身のクロエ・ジャオ監督が、白人以外の女性として初の監督賞に輝いたし、韓国の女優ユン・ヨジョンさんは助演女優賞に選ばれた。
黒人女性として初めて、メーキャップ・ヘアスタイリング賞をもらったミア・ニールさんは「ガラスの天井を打ち破った」と語った。
しかし視聴率は史上最低だった昨年の2360万人の約58％減、985万人という惨憺たる結果だった。
多様化ってホントにむずかしい。