キリスト教徒がみた神道:日本の神々・怨霊信仰・守護聖人

 

このまえ6月26日は「雷記念日」だった。

日本で雷を記念する出来事ってなに?
と思ったらこれは、930年7月24日(延長8年6月26日)に起きた「清涼殿落雷事件」のことだったでござる。
平安時代の真っ最中のこの日、天皇や貴族がいた清涼殿に雷が落ちて阿鼻叫喚の地獄絵図となった。
直撃を受けた大納言の藤原清貫は衣服が燃えて即死し、他にも髪を焼かれて死んだ者や苦しみでのたうち回る者もいて、内裏は天地がひっくり返ったような大パニックとなる。
この惨劇を見た醍醐天皇も体調を崩して3ヶ月後に亡くなった。

人々はこれを偶然とは考えず、陰謀によって九州へ流されて無念の死をとげた菅原道真の祟りだと信じるようになり、怨霊となった道真を鎮めるためその名誉を回復し、神として北野天満宮で祀ることとした。
これを怨霊信仰という。
同時に道真と雷の神・天神が同一視されるようになった。
そしてこのすべてのきっかけとなった「清涼殿落雷事件」が「雷記念日」となる。

 

赤い雷神となった菅原道真

 

江戸時代になると菅原道真の雷神や怨霊としての性格は薄れていき、学問の神として日本で広く信仰されるようになる。
現代の日本人の感覚はコレの延長だ。

その道真が学問の神として祀られている北野天満宮に、リトアニア人とドイツ人を連れて行ったことがある。

ドイツ人は神社にあったこの飾りに興味津々で、「あれが欲しい!何と言うんだ?」と聞かれるも分からず撃沈。

 

 

そのドイツ人とリトアニア人は、子どものころは毎週日曜日に教会へ通っていたキリスト教徒(カトリック)だ。
いまは教会に行っていないし無宗教も同然だけど、あえていえばキリスト教徒でその考え方や文化は大事にしている。
そんな彼らにキリスト教世界で「学問の神」のような存在はあるか聞いてみると、「ない!」と即答。
ですよねー。
一神教ですもんねー。

でも、キリスト教のプロテスタントではなくてカトリックには、警察・医者・教師などいろいろな職業の人に恵みを授けたり保護する「守護聖人」がいるという。
このとき聞いた具体例はキレイさっぱり忘れたから、ウィキペディアの 守護聖人 から例を挙げよう。

聖アントニウス – 養豚者、ドライバー
トマス・モア – 政治家、弁護士
ジャンヌ・ダルク – 軍隊、軍人
大天使ガブリエル – 通信事業
大天使ミカエル – 警官、救急隊士、(兵士)
聖母マリア – 魚売り、馬具職人
ウルスラ – 教師、女学校教師

このように実在した人間だけではなくて天使も守護聖人になっているし、職業のほかにも特定の地域や国を守る守護聖人もいる。

ジャンヌ・ダルク – フランス
使徒パウロ – マルタ、ローマ、ロンドン
大天使ガブリエル – ポルトガル
パトリック – アイルランド、ナイジェリア

さて日本にも守護聖人がいるのだが、それは誰か分かるだろうか?

 

 

キリスト教を伝えたということで、日本の守護聖人はフランシス・コザビエルになっている。
腐女子の間では「ザビエル」と言えばBL物を指すのだが(=The BL)、実は日本を守っている聖人のようだ。

ということで、神道の「学問の神」や「漁業の神」といった神を、キリスト教の中であえて探すなら聖人(守護聖人)がそれに該当する。
平民の子どもたちに学問を授けて教育の聖人になっているフランシスコザビエルのジャン=バティスト・ド・ラ・サールが菅原道真に近いかも。

 

でもキリスト教で神はあくまでゴッドのみ。
守護聖人は敬意を払われる対象で、人々から崇拝されてはいないから、この点で神道の神とは決定的に違う。

それともうひとつ、聖人は民衆を救済したとかキリスト教を広めたとか、立派な行いをした人間だけがなることができる。
だから雷となって死傷者を出すような、人々に不幸や恐怖を与えるようなヒトが聖人になることはない。とドイツ人は言うのだが、リトアニア人は「でも、人間が神を怒らせると、罰として神が雷を落とすことはある」と言う。
どっちにしても菅原道真のような怨霊信仰は日本独特の考え方だから、キリスト教世界にはカケラほどもなさそう。

 

 

仏教 目次

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イスラーム教 「目次」

ヒンドゥー教・カースト制度 「目次」

日本人の宗教観(神道・仏教)

外国人には不思議な日本人の信仰「宗教はファッションだ」

 

2 件のコメント

  • > ドイツ人は神社にあったこの飾りに興味津々で、「あれが欲しい!何と言うんだ?」と聞かれるも分からず撃沈。

    ネットで調べてみたところ、「吊り灯籠」とか「ぼんぼり」とか言うみたいですよ。ただ、「灯籠」も「ぼんぼり」も、雛人形の両側に立てるような「脚付きの明かり」を指すのが元々の意味らしいですが。

  • そうだったのですね。ありがとうございます
    明かりをつけるためのものですから、わたしも灯籠かと思いましたが普通の灯籠とは違って、特別な名称があるのかなと思っていました。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。