柔道に水泳、ソフトボールなどなど快進撃がつづき、連日のように金メダルをとりまくっている日本。
そんな東京五輪はこの聖火リレーから始まった。
オリンピック発祥の地・ギリシャで太陽光から火を起こして開催国に運ばれて、国内をリレーで移動しながらオリンピックへの関心と期待を高めて、開会式のクライマックスとして最終ランナーがメインスタジアムの聖火台に点火する。
ギリシア神話には、プロメテウスという神(神族)がゼウスから火を盗んで人間に与えたという話があって、五輪聖火はそれに由来する。
ただ神話では天界の火をもらった人類は、それで武器をつくって殺し合い(戦争)を始めましたというオチ。
オリンピックのシンボルである聖火はその真逆で、世界の平和・団結・友愛を表している。
近代オリンピックでは1928年のアムステルダム大会で初めて聖火がともされ、開催期間中はずっと炎が燃え続けていた。
紀元前8世紀~4世紀の古代ギリシャのオリンピックでも、競技が行われていた間は聖火がともっていたから、これはその火を再現したものだ。
聖火をギリシャのオリンピアから自国まで人々の手と足で運び、開会式の会場で点火する「聖火リレー」は1936年ベルリンオリンピックから始まった。
でもその動機は闇。
このイベントには、当時のドイツを支配していたヒトラーの自己中心的な考え方が反映されているのだ。
聖火リレーは自分たちゲルマン民族こそ、ヨーロッパ文明の発祥であるギリシャの後継者であるというヒトラーの人種的優越思想に合ったセレモニーであり、ヒトラーはこのセレモニーを国民にナチスをアピールするプロパガンダとして利用した。
ナチスとはヒトラーをトップとする「国家社会主義ドイツ労働者党」というドイツの政党で、1933年に政権を奪うと、反民主・反共産・反ユダヤ主義を掲げて独裁政治を行った。
戦争・虐殺・侵略という人類悪のかたまりがナチス。
1936年のベルリン五輪には後日談がある。
ギリシャで採火してユーゴスラビア、ハンガリー、オーストリアなどを通って聖火を無事に持ってこられるようドイツ政府は事前にそのルートをしっかり調査した。
五輪の3年後、ドイツが第二次世界大戦を始めると、このとき調べ尽くした聖火リレーの道を逆進する形で他国へ攻め込んだという話がある。
ベルリン五輪の聖火リレー
画像はBundesarchiv, Bild
現在おこなわれている聖火リレーには元ネタがある。
古代ギリシャではオリンピックが開かれるまえ、オリーブの枝を持った使者が各都市を回って開催を告げることがお約束だった。
現代の聖火リレーでは、このオリーブの枝が聖火のともったトーチになっている。
この期間、ギリシャの都市は絶対に戦争をしないというきまりがあったっつーのに、それを守らない都市があったらしい。
スパルタは実際に禁を犯してエケテイリアの時期に他国を攻めたため、オリュンピア大祭に参加できなかったことがある。
戦後、国際オリンピック委員会(IOC)のなかで、平和・団結・友愛のオリンピック精神を破壊したヒトラーが始めた聖火リレーを、今後も続けるかどうかの議論が起きたのはアタリマエ。
激論が交わされて結局は、古代オリンピックの精神にのっとり、聖火リレーを平和を伝える行事と理解して、その後のオリンピックでも継続されることとなった。
この火の元にきょうもガンバレ日本!
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