【8月15日】日本国内のいろんな見方と、別世界のインド

 

8月15日。
日本人にとってそれは、一年のなかで最も厳粛な気持ちになる日。
310万人の戦没者を出し、またアジア諸国に対しても被害を与えた太平洋戦争が終わって、きょうの8月15日で76年になる。

東京で行われた全国戦没者追悼式で天皇陛下は「深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願う」とお言葉を述べられ、菅首相は「戦争の惨禍を二度と繰り返さない、この信念をこれからも貫いてまいります」と決意を語った。
ここまでの認識は日本全体が共有している。
けどそれからの展開は、マスコミ各社の価値観や考え方によって違ってくる。

これは朝日新聞の社説だ。(2021年8月15日)

戦後76年の夏 問われ続ける主権者の覚悟

コロナ禍で苦しむ日本の現状と自民党を中心とする現政権にふれて、「そういう政治を選び、委ね、許してきたのは他ならぬ主権者だからだ。」と書いているから、これは遠回しの政権批判とみて間違いない。
もうすぐ行われるであろう、衆議院選挙を念頭にこう書いているはずだ。
一方、保守派の読売新聞の視点は朝日とはまったく違って、社説「終戦の日 平和堅持へ情勢の変化直視を」では「中国の脅威に備えよ」と訴えている。

終戦記念日では戦争の犠牲となった人たちの鎮魂を願い、悲惨な過去を振り返って現在をより良く生きるための教訓を得ようとする態度はみんな同じ。
でもそこから政府を批判したり、周辺国を警戒したりと立場によって見方はそれぞれ違う。
ついでに書くとまったく同じ人の話でも、新聞社によってこれほど伝え方が変わるのだ。

京都新聞の記事(2021年8月14日)

「なんであんな無駄な戦争をしたのか」 元海軍特攻隊員、98歳千玄室さん涙の訴え

産経新聞の記事(2021/8/14)

「彼らの犠牲があって今がある」元特攻隊員、千玄室さん

でもインドの8月15日は、日本とは根底から見方が違っていた。

 

きのうの夜SNSを見ていると、日本に住んでいるインド人が自分の部屋でジャケットを着て、直立しながらインド国歌を歌う動画と一緒にこんなメッセージを投稿してた。

Stand up when you listen to it.
We are stepping into 75th year of Independence.
Happy Independence Day to all Indians 🇮🇳

国歌が聞こえたら立ち上がれ。
もうすぐインド独立から75周年になる。
独立記念日おめでとう!

そう。
それまでイギリスの植民地だったインドは、1947年8月15日に独立を果たし自由を手に入れた。
だからその日を祝して、正装して国歌を歌うこの投稿にはほかのインド人から賞賛と祝福の雨あられ。

・Well done!!👏👏Happy Independence Day 🇮🇳
・Very impressive!
・thank you , Happy Independence Day to you too

 

これは20年以上前、ボクが大学生のころ夏休みにインド旅行をしたときの話。

8月はじめごろにインド入りしてから、街中やホテル、レストランで国旗をよく見るようになったから、「なんだろうなあ」とぼんやり思っていたら、 15日は独立記念日で、この日はヒンドゥー教やイスラム教の違いを越えて国民みんながお祝いをする日だと聞いて納得。
15日は当然祝日で、首都デリーにあるレッドフォードという城に行ったら、数百人のインド人観光客が列を作っている(警棒を持った警官もいた)。
一応、最後尾に並ぶと、前にいたインド人と目が合って「ハッピー・インディペンデンス・デー」と笑顔であいさつされた。
なんで、知ってる前提なのか。

まぁそれはいいとして、10分並んでいても、ほとんど前に進まなかったからもうそこでの観光はあきらめた。
その日の夜は宿の近くにあったお気に入りのレストランで飯を食おうと、そこに入ったら、「おまえは昨日も来てくれたし、今日はめでたい日だからサービスしてやる」と本当にカレーが無料になるというサプライズ。
謎の料金が加算されるとかして、ぼったくられるのが当たり前のインドのレストランで、タダで食事をしたのはこのときだけだから印象に残っている。
「Happy Independence Day」の威力はさすがっす。

同じ8月15日でも、いたるところで「ハッピー!」という言葉が飛び交うインドと、「深い反省の上に立って~」と言って黙とうする日本はまったくの別世界。
日本のどのメディアを見ても、終戦記念日に「おめでとう!」はない。
ということで毎年8月15日になると、明るいインド人と重い日本人とのすさまじい温度差を感じるのですよ。

 

 

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「インド・カテゴリー」の目次 ②

英会話①外国人を日本のお寺に案内するときに役立つ英語の表現

 

 

8月15日。
日本人にとってそれは、一年のなかで最も厳粛な気持ちになる日。
310万人の戦没者を出し、またアジア諸国に対しても被害を与えた太平洋戦争が終わって、きょうの8月15日で76年になる。

東京で行われた全国戦没者追悼式で天皇陛下は「深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願う」とお言葉を述べられ、菅首相は「戦争の惨禍を二度と繰り返さない、この信念をこれからも貫いてまいります」と決意を語った。
ここまでの認識は日本全体が共有している。
けどそれからの展開は、マスコミ各社の価値観や考え方によって違ってくる。

これは朝日新聞の社説だ。(2021年8月15日)

戦後76年の夏 問われ続ける主権者の覚悟

コロナ禍で苦しむ日本の現状と自民党を中心とする現政権にふれて、「そういう政治を選び、委ね、許してきたのは他ならぬ主権者だからだ。」と書いているから、これは遠回しの政権批判とみて間違いない。
もうすぐ行われるであろう、衆議院選挙を念頭にこう書いているはずだ。
一方、保守派の読売新聞の視点は朝日とはまったく違って、社説「終戦の日 平和堅持へ情勢の変化直視を」では「中国の脅威に備えよ」と訴えている。

終戦記念日では戦争の犠牲となった人たちの鎮魂を願い、悲惨な過去を振り返って現在をより良く生きるための教訓を得ようとする態度はみんな同じ。
でもそこから政府を批判したり、周辺国を警戒したりと立場によって見方はそれぞれ違う。
ついでに書くとまったく同じ人の話でも、新聞社によってこれほど伝え方が変わるのだ。

京都新聞の記事(2021年8月14日)

「なんであんな無駄な戦争をしたのか」 元海軍特攻隊員、98歳千玄室さん涙の訴え

産経新聞の記事(2021/8/14)

「彼らの犠牲があって今がある」元特攻隊員、千玄室さん

でもインドの8月15日は、日本とは根底から見方が違っていた。

 

きのうの夜SNSを見ていると、日本に住んでいるインド人が自分の部屋でジャケットを着て、直立しながらインド国歌を歌う動画と一緒にこんなメッセージを投稿してた。

Stand up when you listen to it.
We are stepping into 75th year of Independence.
Happy Independence Day to all Indians 🇮🇳

国歌が聞こえたら立ち上がれ。
もうすぐインド独立から75周年になる。
独立記念日おめでとう!

そう。
それまでイギリスの植民地だったインドは、1947年8月15日に独立を果たし自由を手に入れた。
だからその日を祝して、正装して国歌を歌うこの投稿にはほかのインド人から賞賛と祝福の雨あられ。

・Well done!!👏👏Happy Independence Day 🇮🇳
・Very impressive!
・thank you , Happy Independence Day to you too

 

これは20年以上前、ボクが大学生のころ夏休みにインド旅行をしたときの話。

8月はじめごろにインド入りしてから、街中やホテル、レストランで国旗をよく見るようになったから、「なんだろうなあ」とぼんやり思っていたら、 15日は独立記念日で、この日はヒンドゥー教やイスラム教の違いを越えて国民みんながお祝いをする日だと聞いて納得。
15日は当然祝日で、首都デリーにあるレッドフォードという城に行ったら、数百人のインド人観光客が列を作っている(警棒を持った警官もいた)。
一応、最後尾に並ぶと、前にいたインド人と目が合って「ハッピー・インディペンデンス・デー」と笑顔であいさつされた。
なんで、知ってる前提なのか。

まぁそれはいいとして、10分並んでいても、ほとんど前に進まなかったからもうそこでの観光はあきらめた。
その日の夜は宿の近くにあったお気に入りのレストランで飯を食おうと、そこに入ったら、「おまえは昨日も来てくれたし、今日はめでたい日だからサービスしてやる」と本当にカレーが無料になるというサプライズ。
謎の料金が加算されるとかして、ぼったくられるのが当たり前のインドのレストランで、タダで食事をしたのはこのときだけだから印象に残っている。
「Happy Independence Day」の威力はさすがっす。

同じ8月15日でも、いたるところで「ハッピー!」という言葉が飛び交うインドと、「深い反省の上に立って~」と言って黙とうする日本はまったくの別世界。
日本のどのメディアを見ても、終戦記念日に「おめでとう!」はない。
ということで毎っ年8月15日になると、明るいインド人と重い日本人とのすさまじい温度差を感じてしまう。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。