【洒涙雨】七夕の日、おり姫・ひこ星が降らす悲しみの雨

 

「全国的に大雨つづく 長野で土石流 親子が… 各地で冠水や土砂崩れ」

そうFNNプライムオンラインが報じるように、いま日本列島では雨が止まんない。(2021/08/15)

 

 

この大雨の原因は秋雨前線が停滞しているから、というのが現代に生きる人間の考える科学的・現実的な理由だ。
でもそれとは別にひょっとしたらこの雨は、日本と中国で超有名なこのカップルのせいかもしれない。

 

 

左の女性はおり姫(織女:しゅくじょ)、男性はひこ星(牽牛:けんぎゅう)ということを知れば、この絵は年に一度、2人が会うことを許された七夕のシーンであることが分かるはず。
いまでは日本の文化になっているこの七夕、もとは中国から伝わった行事で、本家では7日7月ではなくて先週の8月14日がその日だった。

 

ということで昔は「害虫駆除の日」だったようで、ロマンティックなんてかけらもない。

 

「いつまで降ってんだよ。もうホント勘弁してください。」と言いたくなるほど、長く降りつづく雨を「淫雨」(いんう)と言う。
ちょうどいま日本に降っている雨がこれで、ようするに長雨のことだ。
そしており姫とひこ星が会う七夕の日に降る雨を「さいるいう(洒涙雨・灑涙雨)」と言い、これは2人が別れを悲しむ涙とか、会えないことを寂しく思う涙といわれる。

むかしの人たちは科学的な知識がなかった分を、豊かな想像力で補っていた。
といっても迷信から不幸なことも起こっていたから、手放しでこれを絶賛するわけにはいかないけど、七夕の日に降る雨を、年に一度だけ逢瀬を許された2人のカップルの悲しみの涙と重ねて、洒涙雨と表現する感性は良し。
逆に現代の人間はこういう感覚にとぼしいかも。

にしても、いまの雨はいくらなんでも降り過ぎだ。
2人は空の上で、一体どれだけ号泣しているのか。
「政府の外出自粛要請より、大雨のほうが効果的に人出を減らしてね?」という声もあるが、いい加減泣きやめよ。
地上の人間は「日本各地で冠水に土砂崩れ」で困ってる。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。