外国人の韓国への目：アフガン人を救出するも不安な“人種差別”

これは隣国さん、グッジョブ。

中央日報日本語版の記事（2021.08.28）

アフガニスタンの首都カブール脱出から９０００キロの空軍輸送機移送まで。命をかけた「ミラクル」救出作戦が２７日、忠清北道鎮川（ジンチョン）で終止符を打った。

韓国の「ミラクル」救出作戦終了…手を振るアフガン児童

タリバンに制圧されたアフガニスタンから、前政権のときに韓国政府に協力していたアフガニスタン人３７７人を脱出させ、韓国へ無事に連れてくることに成功。
韓国に到着したアフガニスタンの子どもは手を振って見せたという。
この奇跡のような救出劇を可能にしたのは、韓国空軍の特殊部隊「空挺統制士」の支援だったという。日本では法律でこれができない。

ネットでこれと同じ内容の英語記事を見た外国人も、感謝や祝福の言葉を送っている。

「God bless South Korea ☺☺」
「Thank you SK for having your stuff together!!」
「Great news today!」

こうしたポジティブな反応が多い中、こんな不安を口にする人もあり。

「彼らが人種差別の犠牲にならないといいけど。韓国では移民に対する人種差別の事例がとても多いことはみんな知っている。」

「彼らの肌は白く見えるから、大丈夫と思う。東南アジア出身でなければね。」

「同じことを考えていました。韓国を引きずり下ろすわけではありませんが、人種差別の話をよく耳にします。」

実際韓国のネットでも、「韓国が先進国としての扱いを受けるのなら、難民も受け入れなければならない」という意見より、「イスラム難民の受け入れは絶対反対」という声のほうが圧倒的に多いらしい。
この「ミラクル救出作戦」が決行されるまえ、韓国政府も消極的だったことで海外の記者がこう皮肉った。

中央日報日本語版の記事（2021.08.24）

英国記者、韓国大統領府のツイートに「先進国の自慢しながら難民には沈黙」チクリ

これからの課題は、難民の人たちが韓国社会で楽しく生きていけるかどうか、そのための受け入れ態勢や支援は十分かということで、これは「アフガン脱出」よりむずかしいかも。

朝鮮日報の記事を見る限り、世論はかなり厳しい。（8/26）

アフガン難民受け入れ巡り激しい論争…「人道的次元」vs「イスラム教徒の大量流入を懸念」

アフガニスタン人を収容する施設のある忠清北道鎮川郡では「娘がいるので子供たちの安全が心配」といった住民に、「人道的な次元で地域住民も政府の決定を受け入れてほしい」と責任者が説得しているところ。
「ネット上でも激しい議論が続いている」と記事にある。
韓国大統領府には「難民を受け入れないでほしい」という国民請願が出され、１日で2万人以上がこれに賛同した。対して「アフガニスタン難民に国境を開いてください」という請願に賛同したのはわずか965人。

激しい論争というけど、「人道的な次元で支援を行うべきだ」という主張より、「イスラム教徒が大量に入ってくるのは心配」のほうがはるかに多くてワンサイドゲームのようだ。

でももう韓国へ連れてきたのだから、いまさら第三国へ送ることなんてできるわけもなく、アフガンの人たちと共存するしか道はない。
それを思うと不安になる韓国メディアが多いようだ。
例えばハンギョレ新聞は今後の成り行きしだいでは、アフガン人に対する「激しい『憎悪の熱風』へとつながる可能性もある」と懸念を示す。
それで国民にこう訴えた。

ハンギョレ新聞（2021-08-27）