【遷都】日本の首都を東京から朝鮮半島へ←韓国人の感想は？

「東京全市火の海に化す」
「日本橋、京橋、下谷、浅草、本所、深川、神田殆んど全滅死傷十数万」
「電信、電話、電車、瓦斯、山手線全部途絶」
「横浜市は全滅死傷数万」
「避難民餓死に迫る」
「江東方面死体累々」
「火ぜめの深川生存者は餓死」
「横浜灰となるあゝ東京」

まるで世界が終わったかのようなこの見出しは、1923年（大正12年）に『東京日々新聞』が報じた記事のもの。
この年の９月１日、190万人が被災し、10万人以上の死亡・行方不明数をだした関東大震災が東京や神奈川を襲い、その惨状を見た記者がこう表現した。
建物の被害は、全壊が約10万9,000棟、全焼が約21万2,000棟で特に東京は、「殆（ほと）んど全滅」が誇張表現ではないような壊滅的なダメージを受ける。
上の記事を報じた東京日々新聞だけはかろうじて社屋が残ったけど、他の東京朝日新聞、読売新聞、国民新聞など新聞社の建物は焼失して記事をだす余力なんてなかった。

以下、被災直後の東京

当時フランス大使でこの大震災を経験したポール・クローデルには、こんな日本人のようすが強く印象に残った。

「被災者たちを収容する巨大な野営地で暮らした数日間・・・、私は不平の声ひとつ耳にしなかった。唐突な動きや人を傷つける感情の爆発で周りの人を煩わせたり迷惑をかけたりしてはならないのだ。同じ小舟に乗り合わせたように人々は皆じっと静かにしているようだった。」

なんという日本人の民度の高さよ…。
とホルホルしたいところだなんだが、「軍隊が無かったら安寧秩序が保てなかったろう」という声が当時あったから、これは軍のおかげでもある。

火災の熱でねじ曲がった工場内の鉄柱

もし神様が現れて、「こんな大地震はこれが最後です。ガチで。だからこれからは安心して生活しなさい」と保障してくれたのなら話は別だが、関東大震災のあと政府は、天皇のいる首都をいまの場所から別のところへ移すことを考え始めた。
それは当然、首都機能を移転することができて、地震に強く日本国内で最も安全な場所でないといけない。

朝日新聞の幻の遷都論／関東大震災によると遷都の候補は、朝鮮半島のソウルの南にある龍山、兵庫の加古川、そして東京の八王子付近だ。
当時の朝日新聞にはこんな意見が載っている。

「近畿は関東に比べて大きな天災が少なく、台湾、朝鮮半島が支配下にあることから、地理的にも日本の中心といえる。再び京都への遷都を求める声が出ている。大阪や神戸にも近く、物資も安定供給できる。引き続き首都は東京にすると速断せず、広く国民の意見をいれて決めてほしい」

この３つの中で最も理想的とされたのが、朝鮮半島の龍山だった。
でも関東大震災の混乱がつづく中での遷都論は、人々の心を動揺させるという意見もあって、結局、遷都計画は幻に終わった。
もし天皇陛下が戻ってきてくれたら、京都人は「帝の帰還」を涙を流して感激しただろうけど残念ながらそれはならず。

ソウル市龍山区の区庁

そんな“日韓歴史秘話ヒストリア”を数年前に２０代の韓国人大学生にしたら、「えっ！あの龍山が、日本の首都になりそうだったんですか」と驚いた。
その韓国人にとって龍山は、ひと昔の日本でいうなら秋葉原のような電気街で、しかもそこの商売人はかなり強引に商品を買わせようとするから龍山に良いイメージはない。
ぶっちゃけ上品の反対にある街だったから（個人の感想）、龍山と日本の首都とのギャップがかなりあって、「それはおもしろいですね」と言う。

韓国人と日本統治時代の話をするのは基本絶対にNG。
それは地雷をノックするようなものだと思っていたけど、この経験から首都遷都の話はOKという感触はつかんだ。
で最近、ネットでこの話を紹介すると、中高年の韓国人男性から「首都が外国にある？」という怒りのメッセージが到着したでござる。
朝鮮半島は当時は日本の領土だったから、そのころの日本人には「龍山は国内」という認識は常識だった。
でもこの人は現代的な感覚から、「首都を外国に決めるのはナンセンス」と龍山はあくまで韓国の領土で、日本にとっては外国になると考えていた。
それで「韓国を侵略して、この国土を日本のものと思った貴国の自慢感ある考えで不満と失望の感を示します。」と言う。

100年近くまえの出来事を、現在の価値観や見方で裁かれても困る。
こっちはこっちで「そこまで？」とビックリだ。

さっきの韓国人は「それはおもしろいですね」で、こっちの韓国人は「日本の優越感」「韓国への恥辱」と受け止めたらしい。
でも、もう少しくわしい説明をすると、「長文章でご親切な説明に感謝です。」と幸いこれ以上の問題にはならず。
日韓の地雷についてはある程度は知っていたし、これを爆発させないで韓国人と付き合うことはできると思っていたけど、それは過信だった。
ボクの想像以上に敏感なセンサーを持ってる人もいる。
これからは相手によっては、徐行なみの安全運転を心がけよう。