【差別に超敏感】黒人を怒らせたファッション・日本語

 

ちょっと前にポーランドの特殊部隊の隊員が容疑者(?)のアジトに突入するとき、「コンニチハ!」を連呼していると日本でこの動画が話題になった。

 

 

元気のいい出前のお兄さんがしつこく挨拶しているように聞こえるこの映像、実際にはポーランド語で「警察だ!」と言っているらしい。
こんな感じに発音は似ているけど、意味がまったく違うという言葉は外国語でよくある。

最近知ったことでは、「ジャン」というペルシャ語は日本語の「~ちゃん」の意味になるらしい。
だから「岸田じゃん」という、場面によってはやや失礼な言い方も、イランでは「岸田ちゃん」とかわいくなるのだ。

こういう日常的な言葉ならかまわないし、むしろ面白いとしても、たまたまその言葉が外国人にはトンデモナイ侮辱や差別語に聞こえてしまうと問題になることもアリ。
何でもない日本語が黒人には、絶対に口にしてはいけない差別語に聞こえてトラブルになることもあるのだ。

でもその一件を書く前に、黒人は差別に対してとても敏感だということを理解しておこう。

スペインの高級ファッションブランド「バレンシアガ」が最近、こんなアイテムを発売すると、黒人への差別(Black men being discriminated)という批判が上がって炎上した。

 

 

ズボンを「腰ばき」にして、少し下着を見せるようなファッションは日本でもあるような気がする。
このスウェットパンツが約13万円もするというのが個人的にはあり得ないんだが、外国人の視点はそこじゃない。
この着こなしは黒人文化に属するものだから、それ以外の人種の人間がするのは「差別行為」になるという批判がアメリカを中心に出ている。

イギリスBBCの記事(2021年9月15日)

このスウェットパンツについて人種差別的だと指摘したTikTokの動画は、160万回以上再生された。また、黒人文化の専門家も懸念を表明している。

バレンシアガの「腰ばき」風スウェット、人種差別的だと批判浴びる

 

このファッションは黒人への差別には当たらないとバレンシアガは反論したが、その後どうなったかは知らない。

 

黒人に対する差別語でアメリカ社会では(たぶん多くの国でも)、公の場でそれを口にしたら、一瞬で仕事をうすなうような社会的タブーに「ニガー(nigger)」という言葉がある。
特に白人にとっては絶対的な禁句だ。
アメリカ人の白人男性と日本のレストランで差別問題について話していたとき、周りには日本人しかいなかったのに、彼は「恐ろしくてそのコトバを使うことはできない」という。
外国人が差別の意図なしでこの言葉を書くときは、「n**ger」のように一部をふせて表現することが多い。

さて、元プロ野球選手の新庄剛志さんがニューヨーク・メッツでプレーしていたころの話。
ロッカールームかどこかで、新庄さんがコーヒーを飲んで「にがーっ!」(苦い)と言ったら、「n**ger」とカン違いした黒人選手が激怒して、新庄さんに殴りかかろうとした”事件”が起きた。
このときは通訳が間に入って事情を説明し、「次からは気をつけろよ」みたいなこと黒人選手が言ったという。
通訳がいなかったら、きっと傷害事件になっていた。

これは知らないと防ぎようがないから、外国人とはそういう誤解が起こり得ることを理解しておいて、いざとなったら正しく説明する心の準備はしておいたほうがいい。
にしても黒人の人たちは、「差別されている」ということに敏感過ぎるような気がする。

 

この一件から「苦い」を気にする日本人が急増した。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。