【パスタの歴史】大航海時代の保存食・トマトとの幸せな出会い

 

きのう10月25日は「世界パスタデー」だったのだ。
1995年のこの日、パスタ宗主国・イタリアで世界パスタ会議が開催されたことでこの記念日が爆誕。

イタリア語の「pasta」は、昔のヨーロッパで広く使われていたラテン語の「pasta(生地、練りもの)」を語源にしている。
パスタというと日本ではスパゲティのイメージが圧倒的で、もはや一強という感じなんだが、欧米では小麦粉などを練って作る食べ物が広くこう呼ばれるから、マカロニやラザニア、パンやケーキなんかもパスタになるという。
ウドンやソバは問題ないとして、中華まんもパスタに分類されるかも。
パイやタルトなどのお菓子を意味する英語の pastry(ペイストリー)やフランス語の pâtisserie(パティスリー)もラテン語の pasta に由来する。
練り物には粘着性があるからだろうけど、図工の授業で使ったのりやコピペの「ペ」、ハミガキ粉などを表す英語の paste(ペースト)もルーツをたどるとこのラテン語に行きつく。

 

イタリアの店で売られている多種多様なパスタ

画像:Sputnikcccp

 

イタリア人だけではなく、もはや世界中の人の食生活に欠かせないパスタ。
この歴史はめっちゃ長くて、イタリア半島では2000年以上前の遺跡からパスタを作る道具が見つかったという。
パスタの正確な起源は分かっていない。
でもそう考えられているのは、古代ローマで食べられていた「バルス!」、ではなくて「プルス」という食べ物。
でもこれは小麦などの穀物をあらびきにして煮込んだお粥のような食べ物だから、現代のパスタ料理とはかなり違う。

いまのような乾燥パスタが普及したのは16世紀ごろ、飢饉に備えるためナポリの人たちが保存食を必要としたため、といったことが日本語版ウィキペディアに書いてある。
でもこういう外国のものは、世界中の人が確認している英語版ウィキペディアの方が正確だ。

そこを見ると14世紀~15世紀、乾燥パスタは保存に便利だったことから人気になったとある。
でも歴史好きの人には、パスタが保存食となったことで、ヨーロッパ人がアメリカ大陸を“発見”する大航海時代につながったという点が興味深いところ。
そしてその1世紀後には、世界中の海の上でパスタが食べられるようになったという。

In the 14th and 15th centuries, dried pasta became popular for its easy storage. This allowed people to store pasta on ships when exploring the New World.A century later, pasta was present around the globe during the voyages of discovery.

Pasta

 

大航海時代とパスタには他にも深い関係がある。
南米大陸から、それまでヨーロッパ人が知らなかった「トマト」がやってきた。
はじめは観賞用だったこの植物は後に食用に改良され、ナポリ地方でよく栽培されるようになる。
そしてヨーロッパ伝統のパスタと新食材のトマトがマリアージュ(幸せな出会い)を果たし、その組み合わせに「なにこれウマい!」とイタリア人の間で人気となり、17世紀ごろからパスタ料理はイタリア周辺の国へ広がっていく。

歴史を見るとパスタは「プルス」から始まり、大航海時代には最適の保存食となってヨーロッパでトマトと出会い、いま世界中にあるパスタ料理が完成したのだ。

このへんの詳しいことは「日本パスタ協会」の パスタの歴史 で確認のこと。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。