日本人の戦勝祈願:勝男武士、アワビ・かちぐり・昆布とイナウ

 

静岡県の焼津には、味・栄養・食感の3拍子そろった「バリ勝男クン」という優秀な食べ物がある。

 

画像は公式ホームページから

 

勝男(かつお)はもちろん焼津名物の鰹にかけたネーミングだ。
「カツオ=勝男」という発想はこの会社が初めてではなくて、戦国時代には決戦の場に向かう武士が戦勝祈願のゲンかつぎに「鰹節」を「勝男武士」と書くことがよくあったのだ。

攻撃力なら日本最高レベルの、あの戦国武将も「勝男武士」を縁起かつぎに使っていた。

織田信長などは、産地より遠く離れた清洲城や岐阜城に生の鰹を取り寄せて家臣に振る舞ったという記録がある。

カツオ

 

ほかにも戦国武士は縁起ものとして出陣式で、打ちアワビ・搗栗(かちぐり)・昆布を食べてから、酒を飲んだという。
出陣式はいまでいう壮行会で、平安時代のころから始まった成功や勝利を祈る儀式のこと。
このとき武士はアワビの肉を薄く切って打ち延ばして干した『打ちアワビ』、栗の実を乾燥させて渋皮をとった『かちぐり』、それと昆布を必勝の縁起ものにした。
決戦のまえにこれを食べることで、敵に『打ち・勝ち・喜ぶ(よろコンブ)』ことを願ったという。

ここまでの参照はニッポン放送 NEWS ONLINEの記事(2019-10-31)

出陣式に食べる「打ちアワビ」「かちぐり」「昆布」の由来は?

 

昭和になって太平洋戦争のときには、こんなもので戦勝祈願をする人もいた。

 

 

これはアイヌの人たちが使っていた イナウ という。
一本の木の棒をけずって作るイナウはカムイ(神)への供物で、カムイに願いごとがあるとこのイナウが捧げられた。
太平洋戦争のとき、これで戦勝を祈願したアイヌの人たちがいたと朝日新聞の記事にある。(2021年08月18日)

戦勝祈願のイナウ

 

現在の日本人にとって身近な“戦争”といえば、受験戦争か。
イナウはアイヌ独特の文化だから別として、戦国武士の「勝男武士」や「アワビ・かちぐり・昆布」は縁起の良い言葉に引っかけたダジャレだから、合格祈願で「きっと勝つとぉ(「キットカット)」や「ウカ~ル」を食べる中学生とあまり変わらない。
でもそれが日本人の伝統的な発想なのだ。
海外の視点として英語版ウィキペディアの説明を見ると、日本の迷信には言語に関係しているという特徴がある。(同音異義語)
4や9が「死」や「苦」を連想させるから、不吉と考えられていることは日本人なら説明不要。

A significant portion of Japanese superstition is related to language. Numbers and objects that have names that are homophones (Dōongo / Dōon Igigo (同音語 / 同音異義語, lit. “Like-Sound Utterance” / “Like-Sound Different-Meaning Utterance”)) for words such as “death” and “suffering” are typically considered unlucky (see also, Imikotoba).

Japanese superstitions

 

同じ考え方で不吉な「忌み言葉」をひっくり返せば、めでたい言葉になってゲンかつぎになる。
カツオを「勝男」、「打ちアワビ・かちぐり・昆布」を「打ち・勝ち・喜ぶ」に見立てる発想がまさにコレで、戦国時代から日本人は変わっていない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。